鳥取県三朝町の高校2年、福田桜穂(さほ)さん(16)が名を連ねるドッジボール女子日本代表が、1月に開かれたアジア選手権で優勝した。町内で活動するクラブチームで練習を重ねてきた福田さん。ドッジボールの魅力を多くの人に知ってもらいたいと、今後…

 鳥取県三朝町の高校2年、福田桜穂(さほ)さん(16)が名を連ねるドッジボール女子日本代表が、1月に開かれたアジア選手権で優勝した。町内で活動するクラブチームで練習を重ねてきた福田さん。ドッジボールの魅力を多くの人に知ってもらいたいと、今後も世界での活躍を誓う。

 福田さんがドッジボールに出会ったのは小学1年のとき。2歳上の姉に誘われ、小学校のドッジボールチームに入った。相手が力いっぱい投じてくる球を受ける「キャッチ」、敵のメンバーを狙って投げる「アタック」ともにメキメキ上達。6年生のときにチームは県大会で優勝した。中学1年で初めて、日本代表に選ばれた。

 ドッジボールの日本代表の選出方法は独特だ。国内では多くの人が小学校でドッジボールを経験する一方、競技としての認知度はそこまで高くないのが現状。そこで、日本ドッジボール協会は日本代表を「普及・振興のため全国の選手の目標・象徴となる」と定め、希望者にドッジボールへの熱意を確かめる書類審査を課す。その後、実技などでも合格した人が代表候補に選ばれるしくみだ。

 小学校の恩師の勧めで応募した福田さんは、「大好きなドッジボールをいろんな人に知ってもらいたい」と訴えて見事合格を勝ち取った。

 2019年、当時最年少で出場したW杯アジア予選は3位で本戦出場権を獲得。22年のW杯では銀メダルに輝いた。それでも本人は「緊張して積極的にプレーすることができなかった」と悔いが残っていたという。今回のアジア選手権でも「まだまだ直さないといけない部分がある」と反省しつつも「自分らしくプレーできたところもあった」と手応えを感じている。

 普段は、県立倉吉西高で所属している陸上部での練習で基礎体力を養いつつ、町内で活動するシニアチーム「ソウルファイターズ」で週2回、男女交じって練習する。

 父でチーム代表の徹さん(43)は「男子選手と一緒に練習することでスピードやパワーに対応する力がついてきた」と見守る。チーム主将の河井洸貴(こうき)さん(25)も「いつも冷静で周りを見る力がある。しっかり球をキャッチしてチームに勢いをつけられる選手」と評価する。

 年内にも開催予定のW杯は、日本よりやや狭く、外野がないコートで五つの布製の球を使う「マルチボール」で実施される。日本の球やルールで育ってきた福田さんには戸惑いもあるが、国際試合の動画を見るなどして勉強している。

 「1人でできることが限られるドッジボールでは何よりもチームワークが大切。みんなで力を合わせる楽しさがある」とドッジボールの魅力を語る福田さん。ドッジボールを広めるためにも次のW杯で見すえるのは、銀だった前回を超える世界一だ。(吉田博紀)