慶応義塾の創設者・福沢諭吉の郷里、大分県中津市で慶応大野球部が17~19日、初めて合宿をした。ダイハツ九州スタジアムで練習し、18日には地元の小中学生を対象にした野球教室を開いた。昨秋の明治神宮大会を制し、大学日本一の栄冠をつかんだチーム…

 慶応義塾の創設者・福沢諭吉の郷里、大分県中津市で慶応大野球部が17~19日、初めて合宿をした。ダイハツ九州スタジアムで練習し、18日には地元の小中学生を対象にした野球教室を開いた。昨秋の明治神宮大会を制し、大学日本一の栄冠をつかんだチームを市は温かく迎えた。

 慶大は鹿児島県で23日に開幕する交流戦「薩摩おいどんカップ2024」に出場する。1万円札の肖像交代を7月に控え、中津では市を挙げて諭吉の功績を顕彰する「不滅の福沢プロジェクト」を展開中。その一環で、今回の事前合宿を誘致した。

 初日に市内の福沢諭吉旧居・福沢記念館の前で歓迎式があり、選手ら約40人を前に奥塚正典市長はチームの活躍をたたえ、「我々市民も勇気と元気をいただいた。ますますのご活躍を祈念する」と語った。

 野球教室は小学生がスポーツ少年団の約60人、中学生は今津中、緑ケ丘中、豊陽中の野球部から約50人が参加。守備のポジションに分かれてノックを受けたり、ロングティーで外野深くまで打球を飛ばす選手の練習を間近で見たりした。緑ケ丘中キャプテンで捕手の森銀次郎さん(2年)は「送球時の足の運びを教わった。いい勉強になりました」と話した。

 慶大の堀井哲也監督は「選手を指導するうえで、福沢先生の言葉をお借りすることがある。原点というか、福沢先生とはどういう存在だったのかを知ることができた。チームの士気は上がったと思う」。主将の本間颯太朗さん(21)は「福沢先生がつくった慶応義塾で勉強、そして野球ができていることに改めて感謝する気持ちが芽生えた。すごくいい合宿になった」と満足そうだった。

 大分市出身で、大分舞鶴高から1年間の浪人生活を経てこの春、慶大に入る奥本翼さん(19)も参加し、「大分に恩返しができればという気持ちで子どもたちと接した。後々、神宮球場で投げる姿を大分県の皆さんに見てほしい」と語った。(貞松慎二郎)