新型コロナウイルスの影響で延期されていた韓国・高麗大との定期戦が4年ぶりに上井草で決行された。有観客で開催されたこの試合には、久しぶりの国際交流の場を一目見ようと多くのファンが集まった。終始、試合の主導権を握っていたのは早大。前半8本のト…

 新型コロナウイルスの影響で延期されていた韓国・高麗大との定期戦が4年ぶりに上井草で決行された。有観客で開催されたこの試合には、久しぶりの国際交流の場を一目見ようと多くのファンが集まった。終始、試合の主導権を握っていたのは早大。前半8本のトライを決め50-0と相手に攻撃の隙を与えない。後半、さらに点差を広げ88ー7で圧勝。チーム伊藤は春シーズン初戦を勝利で終えた。

 

突破を図るFB久富

 高麗大に関して「未知数な部分が多かった」(SO伊藤大祐主将、スポ4=神奈川・桐蔭学園)と相手のプレースタイルを探りながら試合はスタート。前半4分、敵陣中央10メートルラインで素早いパスを展開すると、FB久富連太郎(政経4=島根・石見智翠館)が左サイドへと相手を引き付けながら、NO・8村田陣悟(スポ4=京都成章) にパスをつなげる。タッチライン際にいたWTB磯崎錬太郎(商4=徳島・城東) がボールを受け取ると、反転して相手をかわしそのままインゴールへと先制トライ。伊藤のコンバージョンキックも決まり、感覚をつかみ始めた早大は、その後、立て続けに3トライを奪う。前半20分にはラインアウトモールで出されたボールから巧みなパスがつながり、インゴール手前でフランカー粟飯原謙(スポ2=神奈川・桐蔭学園) へボールが渡る。いいリアクションで相手をかわし、インゴール中央へ飛び込んだ。その後もしばらく敵陣でのプレーが続き、さらに早大は1トライを追加。36分にはハーフライン付近でのマイボールスクラムから素早くBKラインが細かなパスをつなぎ22メートルライン内側へ前進。フッカー佐藤健次(スポ3=神奈川・桐蔭学園) のゲインで相手ディフェンスを押し込むと、最後はサポートに入ったCTB野中健吾(スポ2=東海大大阪仰星)がゴールポストを駆け抜けた。前半終了間際にはラインアウトモールからのトライも決まり、50ー0でハーフタイムを迎えた。

 


相手をかわすWTB磯崎

 後半は選手交代を重ね、リザーブの選手が多く出場。後半7分、佐藤が自陣から見事なステップで敵陣中央へ一気に前進すると、左サイドの磯崎へとパス。そのまま相手のギャップを突いてトライを決めた。その後、相手の攻撃で自陣22メートルラインへ攻め入られるが、堅いディフェンスでプレッシャーをかけ続ける。相手の乱れたパスを突き、インターセプトに成功すると伊藤がキックで陣地を回復。それをCTB岡﨑颯馬(スポ4=長崎北陽台)がキャッチし攻勢に転じ、相手を寄せ付けず独走トライを挙げた。16分には、フッカー安恒直人(スポ3=福岡) のゲインからボールを受けた伊藤が、インゴール内左端へキックパス。磯崎が見事に捕らえ、本日自身5本目となるトライに成功した。磯崎は「しっかりアイタッチして大祐にコールを送った」と意図したプレーでのトライに良い感覚を覚えたという。終盤、相手に1トライを献上したものの、圧倒的な強さをみせ、88ー7で快勝した。

 『ゲインラインバトル』をテーマに挑んだ本試合。そのテーマ通り、勝負どころで積極的なプレーを体現し、80分間果敢に相手に立ち向かう姿勢を貫いた。しかし、「まだまだレベルの低い段階」(村田)と今シーズン初戦を終え、各々課題を見つけチームの現状を確かめることができたようだ。2週間後には関東大学春季大会初戦の東海大戦が控えている。そこに向けて今回の国際交流試合の経験を生かすことができるか。シーズンは始まったばかり、チーム伊藤のさらなる成長に期待したい。

(記事 川上璃々、写真 濵嶋彩加、権藤彩乃)

コメント

大田尾竜彦監督(平 16 人卒=佐賀工)

――4年ぶりの高麗大と定期戦になりましたが、今回どのような経緯で行われたのか教えていただけますか

 元々交流があったのですが、新型コロナウイルスで止まっていたので、「情勢を見てまたやろう」という風な話になり、今日開催することができました。

――今日の試合全体を振り返っていかがでしたか

 今年初の対外試合となりましたが、Aチームが『WASEDA FIRST』をプレーで体現できており、それが試合に挑む姿勢にも表れていたので、初回にしてはいい方かなと思います。

――印象に残ったプレーはありましたか

 各々が得意とするプレーを出してくれて、こちらの求めているプレーが見れたのが印象的でしたね。磯崎、細川大斗(社4=東京・早実) 、久富、細矢(細矢聖樹、スポ3=国学院栃木)とか去年そんなにプレータイムがなかった選手たちの活躍が見れたのでそこは良かったかなと思います。

――今回見つかった課題はありましたか

 接点の部分でもっと激しくいけるのではないかなと思います。そこが課題です。

――セットプレーに関してはいかがでしょうか

 今回は回数も少なかったので、これからの試合で様々な課題がでてくるのかなと思います。

――次戦に向けて意気込みをお願いします

 6月25日の帝京大戦が終わるまでに去年のチームと同じレベルのチームを作り上げると話をしているので、いろんなところに目を向けてチームをレベルアップさせていきたいなと思います。

SO伊藤大祐主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)

――今日のゲームテーマを教えてください

 『ゲインラインバトル』です。

――どのような意図で設定したのでしょうか

 ディフェンスとアタックのどちらにおいても相手より前に出ようという意味を込めて設定しました。

――4年ぶりの高麗大戦となりましたが、相手について分析等はされていたのでしょうか

 高麗大は、歴史のある大学なので公式戦に挑む気持ちと変わらずに全員で相手をリスペクトして、赤黒ジャージーを着てプレーをしました。相手に関しては未知数の部分が多かったですが、とにかく自分たちが練習してきたこと、春シーズンに向けてやろうとしていたことを体現しようとしていました。体現できたり、できなかったりしたので、それを今後につなげられたらいいなと思います。

――今年初の試合でしたが、チームの噛み合わせはいかがでしたか

 まだまだ良くないところが多かったのが正直なところです。ですが、まだ初めてなので今後さらに良くなっていくと思います。

――具体的にどの点が課題となりましたか

 ラインアウトやスクラム、バックスの中でのコミュニケーションなど、一つ一つのプレーでもっとやらないと勝てないと思うシーンがありました。その点を今後高めていきたいなと思います。

――得点についてはいかがでしょうか

 第一印象は、僕がもう少しコンバージョンキックを決めていれば良かったかなという感じです。もっと練習して確実に決めていけるようにしたいです。また、どういったトライだったかにこだわって春シーズンは臨んでいきたいと思います。

――10番としてチームの中でどのような役割を意識して臨みましたか

 絶対にFWを下げないように前でプレーさせることを意識してチームをコントロールしました。これについても良い点、悪い点があるのでしっかり反省して次に生かせていけたらと思います。

――印象的なプレーはありましたか

 パスミスというか、ファーストプレーで噛み合わない部分があったので、そこはいけなかったなという思いが残りました。チームとしても個人としても試合の入りはもう少し頑張らないといけないなという印象です。

――次に向けて意気込みをお願いします

 2週間後に東海大戦があります。みんなそこをターゲットにやってきていたので、圧勝できるように頑張ります。Aチームだけではなくて全カテゴリーで勝てるようにしっかり2週間準備していこうと思います。

NO・8村田陣悟(スポ4=京都成章)

――春シーズンの初戦でしたが、どんな気持ちで臨んでいましたか

 4年生となって、清々しい気分で初めての試合だった中で、4年生が体を張って、一体となってできた試合かなと思っています。早稲田のスタンダードを上げていくというのが今年のテーマなのですが、まだまだレベルが低い段階かなと思うので、もう一段階上げていきたいと思います。

――具体的に今日の試合を振り返っていかがですか

 個人的には、自分の目標設定を「ジャッカル2本、ボールキャリー回数を10回」としていた中で、ジャッカルを2回成功できたので、チームに貢献できたかなと思います。チーム的に言えば、ボールがこぼれた時の反応だったり、気を緩めてしまう時が多くあったと思うので、次回はそこを詰めていければいいかなと思います。

――次戦に向けて修正していきたい課題はなんですか

 1つのプレーが終わった後、みんな自分のことばかりが気になっていて周りが見られていなかったので、次のプレーへの動きにしっかり集中できたらいいなと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

 今回80分間走り切れたとはいえ、最後に自分のディフェンスのプレッシャーミスでトライを取られたので、次回は、最後にトライを取られないように最後までこだわっていきたいと思います。

WTB磯崎錬太郎(商4=東京・城東)

――春シーズンの初戦でしたが、今日の試合を振り返っていかがですか

 個人としては、自分の強みであるスピードや体の強さを随所で発揮できたと思いますが、ディフェンスの部分では少しタックルが高くなって相手に抜かされてしまうことがあったので、そこは次の東海大との試合に向けて改善するべきポイントかなと思います。チームとして『ゲインラインバトル』というテーマをこの試合の前に設定していたのですが、テーマの通りにゲインラインを少しでも前に出るということを意識して試合に臨み、それが今日は体現できたと思うので、そこは一つの収穫だと考えています。

――4年ぶりの高麗大との試合でしたが、どのような心境で臨みましたか

 戦力が未知数なので、そういった相手に対しても臆せず、体を当てるというのは意識していました。個人としては、そういったところに加えて、トライを取りきるということを目標に設定していて、それが今日は達成できたと思うので、それをどんどん継続し、次の試合でも発揮できるように頑張りたいと思います。

――試合を通して何度もトライを取っていましたが、どのトライシーンが1番印象に残っていますか

 伊藤大祐のキックパスからのトライがあったと思うのですが、それは僕が相手の状況を見てアイタッチして大祐にコールを送りました。大祐がそれに反応してキックを蹴って、僕が外側から行って、という感じに意図したプレーでトライが取れたので、そこはすごく今日の収穫だったと思います。

――次戦に向けての意気込みをお願いします

 次は東海大戦ですが、東海大は留学生もいて、さらに体が大きい相手でフィジカルの強い相手です。そこに自分たちも臆せず、ファイトして戦って、そこでもゲインラインバトルを体現できるように心がけていきたいと思います。

 

定期戦
早大スコア高麗大
前半後半得点前半後半
5038
88合計
【得点】▽トライ 磯崎(5T)、岡﨑(2T)粟飯原(2T)、池本、佐藤、安恒、守屋、野中▽ゴール 伊藤(8G)、守屋(1G)
※得点者は早大のみ記載
5池本 大喜文構4東京・早実※◎はゲームキャプテン、監督は大田尾竜彦(平16人卒=佐賀工)

早大メンバー
背番号名前学部学年出身校
山口 湧太郎スポ2神奈川・桐蔭学園
佐藤 健次スポ3神奈川・桐蔭学園
下村 勇貴文3東京・早実
細川 大斗社4東京・早実
粟飯原 謙スポ2神奈川・桐蔭学園
永嶋 仁社4東福岡
村田 陣悟スポ4京都成章
宮尾 昌典スポ3京都成章
10◎伊藤 大祐スポ4神奈川・桐蔭学園
11磯崎 錬太郎商4徳島・城東
12野中 健吾スポ2東海大大阪仰星
13岡﨑 颯馬スポ4長崎北陽台
14細矢 聖樹スポ3国学院栃木
15久富 連太郎政経4島根・石見智翠館
リザーブ
16安恒 直人スポ3福岡
17勝矢 紘史スポ2長崎北陽台
18門脇 浩志スポ3神奈川・桐蔭学園
19藤井 将吾スポ4大阪・早稲田摂陵
20若松 泰佑文構3東京・早実
21永井 新之助スポ3東京・早実
22島本 陽太スポ4神奈川・桐蔭学園
23京山 秀勇人4福岡・東筑
24岡本 大輝スポ4東京・本郷
25高栁 壮史創理2東京・早大学院
26守屋 大誠政経3東京・早実