第2回に迎えるのは62代の女子主将としてチームを引っ張ってきた髙見愛佳女子主将(スポ4=エリートアカデミー)と1年生ながら目覚ましい活躍をみせている髙橋梨杏(スポ1=神奈川・横浜)の2人。髙見は今まで2回全日本学生王座決定戦(王座)に出場…

 第2回に迎えるのは62代の女子主将としてチームを引っ張ってきた髙見愛佳女子主将(スポ4=エリートアカデミー)と1年生ながら目覚ましい活躍をみせている髙橋梨杏(スポ1=神奈川・横浜)の2人。髙見は今まで2回全日本学生王座決定戦(王座)に出場しているが、今回は女子主将として出場する最後の試合となる。一方髙橋は初めての王座の舞台。それぞれどんな思いで試合に臨むのか、その心境を伺った。

※この取材は6月3日に行われたものです。

――初めにお互いの他己紹介をお願いします

髙見 髙橋梨杏ちゃん1年生です。横浜の出身で、スポ推(スポーツ推薦)の中では関東勢は久しぶりなんじゃないかなという感じです。いつも元気でパワフルな女の子ですが、アーチェリーをしたらしっかり集中して、みんなのことを引っ張っていけるような子です。1年生ですけど私はあまり1年生と思っていなくて、一緒に引っ張っていける存在だなと思っています。

髙橋 髙見愛佳さんです。女子の主将で、いつも優しくしてくれる本当にお姉ちゃんみたいな存在です。入学前から連絡を取らせていただいてたんですけど、その時からずっと優しく、すごいお話しやすくて大好きです。

髙見 告白されました(笑)。

――髙橋さんが早大に入学する前からお知り合いだったのでしょうか

髙見 最初は(昨年の)春ぐらいに、とある記録会で共通の知り合いから「早稲田に行きたい子がいるんだよね」っていうので紹介されたのがこの子で。高2の3月ぐらいにその話をしたと思っていたら、推薦で入試が始まっていて合格してから(早大入学を)知りました。

――髙橋さんが早大に入学する前のお互いの印象はありますか

髙見 (学年が)被ってないもんね高校は。

髙橋 私は(髙見さんを)写真で見たことがあって、愛佳さんが双子だっていうことを知らなくて。妹さんが選手にいらっしゃるじゃないですか。愛佳さんのことしか知らなくて、なんで愛佳さん大学掛け持ちしてるんだろうって(笑)。「大学って掛け持ちできるんだ。そんなことできるんだ」と思ってたら、双子でした(笑)。「あ、名前違った」と思って、アカデミーの集合写真を見て、双子だったんだっていうのを(笑)。

髙見 聞きましたそれは(笑)。

髙橋 本当に1人で2個大学掛け持ちしてるかと思ってました(笑)。

髙橋 できません(笑)。

――続いて、王座に向けてお聞きします。選考を終えた今の率直な気持ちを教えてください

髙見 率直にすごいホッとした気持ちが大きいかなと思います。1、2年で出させていただいてたんですけど、去年は選考で落ちてしまって。自分が射てなくて点数が出なくて落ちたっていう形だったので、率直に悔しいなと思って1年間必死に練習してきたところではありました。まずは一旦主将としてメンバーに入れたっていうところで、嬉しさというより本当に安堵(あんど)の気持ちの方が大きいかなと思います。4年生が私しか入れなかったので、しっかり後輩たちを引っ張っていかなきゃなっていう気持ちと、また点数を上げていかなきゃという気持ちと、いろんな気持ちがまた湧いてきたなっていう感じです。

髙橋 特に最後の円陣で(メンバーが)発表された時は何も思わなかったんですけど、早稲田に入ることが決まってからずっと目指してきた場だったので、今はすごく嬉しいなっていう気持ちと、応援側に回ってくださる先輩たちの気持ちも背負って、あと2週間しかないですけど点数を上げていって、もっともっと精神的にも技術的にも、もう少し成長して王座を迎えたいなっていう気持ちです。

――今回は激しいメンバー争いだったとお聞きしました。選考の期間中はどんな思いで過ごされていたのでしょうか

髙見 ちょっと今回の王座選考はトラブルが多くて、というか異例が多くて王座選考がうまくいってなかったというか。予定通りにそのまま進まず、そっちの対応に追われていたので、みんながいかに平等にできるか、どうやったらみんなが点数を出してくれるかっていうのを考えてずっとやっていました。自分のことに集中があまりできなかったところが多かったです。逆にそれで緊張しなかったのかなとは思うんですけど、練習時間は取れていたので自分と向き合いつつ、運営のことを考える時間も結構多かったかなっていう感じです。

髙橋 私は先ほど言った通り、高校生の時から夢に見ていた舞台だったので、絶対にメンバーに入ろうっていう気持ちがあった中で、どうしても自分の無意識のうちに緊張してしまっていた部分があったと思います。それで思うように点数を伸ばすことができなくて、練習ではもっと射てているのに、やっぱり点取りになると点数が下がってしまうなって思う場面が多くて。点数出したいのになかなか出ないっていう、すごいもどかしい気持ちが強かったかなって思います。

――髙見さんにお聞きします。去年の王座が終わってから、2月の全日本学生室内個人選手権までを振り返っていかがですか

髙見 波乱万丈だったなと思います。それこそ王座準優勝っていうのを応援側で見させてもらって、ここからは自分が引っ張っていかなきゃいけない、来年こそここに戻ってきて制覇しなきゃいけないっていうプレッシャーもありました。その中で自分はまだ選手になれてなかったし、点数も全然で。でも主将としては頑張らなきゃいけないっていうので、すごい大変でした。最初は本当に苦しかったなっていうのが1番で。でもやっぱり同期もすごいみんな支えてくれたし、後輩たちが特にたくさん支えてくれた1年だったなと思っています。自分がいくら点数を出さなくても他の子たちが頑張ってくれる、自分だけが引っ張らなくていいんだなっていうのがありました。きつかった部分ももちろんありますけど、やっぱり今振り返ったら、あっという間だったなっていうのが1番です。幹部だけでチーム作りをするんじゃなくて、部員全員で1つのチームを作っていこうっていう意識はすごいあったのかなとは思います。

――4月には1年生も入部しましたが、関東学生リーグ戦(リーグ戦)以降を振り返っていかがですか

髙見 率直に新しい風が入ってきたなっていう感じで。特に今の1年生って未経験者がすごい入ってくれて、さらに男子がたくさん入ってくれました。今までの早稲田のアーチェリー部の4月の段階ではなかったことだったので、単純に新しいなって思ったのが1番です。だからこそもっと賑やかになったし、円陣や声も大きくなってすごい楽しい雰囲気になったなと思います。4月からはリーグ戦がまずあったので、そこに向けて点数を上げていこうっていうのと、王座選考に向けて上げていこうっていうのがありました。練習では当たるんですよね、めちゃくちゃ。点取りにしても練習だったらめっちゃ当たるのに、点取りになったらやっぱり射てなくて、そこがまだやっぱり自分の弱さだなって思います。もっと壁を乗り越えていく練習をしていかなきゃなっていう中ではあって。アーチェリー的には、自分自身高校の時にいたところで練習させてもらっていました。環境もいいからすごい練習も充実しているし、すごいたくさん射てるしっていうので、ちょっとずつ筋力とかも戻りつつはあります。今のところはまたここから点数帯的に上げていかなきゃなっていう形です。

「自分で技術を安定させることができるようになった」(髙橋)


1年生ながらチームに大いに貢献している髙橋

――髙橋さんは早大に入学してからここまでを振り返っていかがですか

髙橋 自分はアーチェリー的には環境がやっぱり高校の時から大きく変わって、ずっと見てくれる先生がいるわけでもないし、1人でどうにかしなきゃいけないっていうふうな感じに切り替わりました。今までは調子が悪くなったら先生がどうにかしてくれたりとか、先生にアドバイスをいただいて修正してっていうのをやっていた中で、大学に入って急に全部自分でやらなきゃいけなくなって、どう点数が変わるか本当にわかりませんでした。少し怖かった部分もあったんですけど、やっぱり稚さん(園田稚、スポ3=エリートアカデミー)が自分の中で本当に大きな存在で。稚さんが全体練習の時とかに自分の見えるところで射っているから、点取りの時も稚さんの後ろで射ったりとかして、自分の中でモチベーションを保ち続けることができました。自分が思っていたより点数も下がらなかったし、むしろ高校生の時より平均的な点数帯が上がって安定しています。早稲田に入って2ヶ月間は、自分で技術を安定させることができるようになった期間だなっていうふうに思いました。部活的には同期が入るかどうか不安だったところがあります。合宿とかに参加させていただいた際にも、「新歓頑張るね」っていうふうに先輩たちに言われていて、どれだけ入るか不安だったんですけど、想像していた以上に同期が増えました。ちょっと大変だなって思う時もあるんですけど(笑)、部としてこれからやっていく中で、愛佳さんが言っていたように賑やかですし、盛り上がりは今までよりあると思うので、すごくいい期間だったなって思います。

――お2人にとって、王座はどんな舞台でしょうか

髙橋 王座はインターハイと同じくらい憧れていた舞台です。高校生でアーチェリーを始めてから、1年生の時はリアルタイムではないんですけど配信を見ていて、高2、高3ではリアルタイムで決勝トーナメントを見ていました。それを見て大学生ってこんなに上手いんだって思うこともあったし、これに私も出てみたいっていうふうに高校生の時から思っていました。昨年度の早稲田の決勝を見て、早稲田に行きたいってより一層思ったので、本当に私が今までアーチェリーを始めてたくさん色々試合に出させてもらった中で1番高い目標であって、これからも出続けなきゃいけないって思っています。これから先も1番の目標の試合です。

髙見 私はよく言っているかもしれないんですけど、恩返しの舞台だなって思っています。やっぱり過去の先輩方がずっとつないできた伝統があって、その中で選手として出させていただくっていうプレッシャーと責任もあります。やっぱり王座制覇っていう目標が早稲田の中では大きすぎる目標、あまりにも大きすぎて、逆に私たちがちょっとあがめている感じではあるなっていうのがこの間のチームビルディングでわかりました。やっぱり王座制覇をやったことがないからこそ、過去の先輩たちの思いも胸にっていうところなので、やっぱり勝って過去の先輩たちもそうだし、お世話になった全ての人に恩返しができる舞台はやっぱり王座かなと思うので、そういう舞台かなと思っています。

――王座のチームの中で、強みと課題を教えてください

髙橋 特に稚さんは世界ユース(世界ユース選手権大会)とかも出ていたり、世界大会に出ていて経験が特に豊富です。そういう面では、アーチェリーをしている中でチームの精神的支柱になってくださると思っています。愛佳さんは主将としていつも引っ張っていってくれているので、試合をしている中でもし自分が点数を出せていなくても、心が折れなさそうなチームだなと思います。チーム内の雰囲気が悪いと、どうしても試合でボロが出ちゃうというか、いつもの雰囲気が試合中の雰囲気だと思うので、そういう面では試合中に気分が落ちることは滅多にないチームかなと思います。

髙見 梨杏が言ったことは結構全てかなと思っています。それぞれ柱があって役割がある、団体戦ってやっぱりそういうものだと思うので、稚は絶対点数を出してくれるっていう絶対的な信頼があります。梨杏はやっぱり1年生でパワフルだから、1年生らしさという意味ですごい頑張ってくれるだろうなっていうのは私も思います。美冴(塚本美冴、スポ3=東京女学館)は初出場なんですけど、初出場だからこそできることって絶対あると思います。いい意味で慣れてないっていうところがあるので、それぞれの役割をしっかりみんなができるし、キャラクターが違うから合わさったらもっともっといいものになるのかなとは思います。チームの課題はやっぱりまだこの4人で団体戦の練習をしたことがないっていうのがあって。普通の全体練でもよく団体練とかやるんですけど、私は梨杏と組んだことないんですよ。結構たまたまなんですけど、組んだことない子が多分集まったから、本当に未知数というか、強いていう課題と言えばそこかなっていう感じです。

髙橋 ほぼぶっつけみたいな(笑)。

髙見 ここから2週間でどれだけ頑張るかっていう感じですかね。

――続いて、個人としての強みと課題をそれぞれ教えてください

髙橋 高校生の時に基本的に褒められてこなくて。あまり褒めてくださる先生ではなかったので、むしろ「もっとできるだろう」みたいな、「もっとちゃんとやりなさい」みたいな考え方の先生でした。結構厳しく育ててきていただいたことで、やっぱり自分をコントロールする力もある程度備わっていると思います。試合の行射中に「この立ち全然当たんないな」と思ったら、その立ちの中で自分がリセットできるポイントも自分の中で理解しているつもりです。それができるっていうのはやっぱり自分の中で強みなんじゃないかなっていうふうに思います。課題は無意識の領域で自分の気持ちが高ぶっている時に、どうしても外してしまう、調整できないことがあります。それも高校の先生にずっと言われ続けていて、「お前興奮するなよ」ってずっと言われていました。私は落ち着いているつもりなんですよ。私は全然落ち着いていていつも通りだし、冷静なのに落ち着きなさいって言われるくらい、もろに矢に出てしまうタイプなので、そういうところも含めてちゃんと自分でコントロールできるようになるのが自分の中で課題かなっていうふうに思います。

髙見 課題はさっきも言ったんですけど、自分に勝てないってところがやっぱり1番課題かなと思っています。過去に私はターゲットパニックになっていて、(矢を)放せない状況になる病気なんですけど。いわゆる野球のイップスみたいな感じになったことがあって、もう大分改善したつもりではあったんですけど、やっぱり時々それが出てきます。自分に勝てないし、点数帯的に練習でやっているのにそれを試合で乗り越えられないってところがあって、やっぱりそこが1番の課題だなとは思っていて。そこの切り替えをもっとしっかりやっていかなきゃなっていうのは思っています。強みはポイントをぶらさないことかなと思っています。大体前日にノートを書くんですけど、そのノートに次の日に絶対に気を付けなきゃいけないことを書くんですよ。試合の前とかはそれだけをしっかり意識してやり続けられる、昔はそれができなくてぐちゃぐちゃでした。今はちょっとミスっても、1回これをちゃんとやろうっていうので、ずっと同じポイントを考えて点取りできるようになったのは強みというか、改善したところかなと思います。

――王座に向けて、チームとしての目標をお願いします

髙見 もちろん王座制覇です!

――個人としての目標、チームの中で果たしたい役割を教えてください

髙橋 まず決勝ラウンドに選手として進むことと、チームを引っ張っていくっていうよりは、ちゃんと盛り上げられる、チームをちゃんと鼓舞できるように、ちょっと自分も気持ちを上げていきたいなっていうのが目標です。役割的には自分が点数で引っ張っていくとか、リーダーシップを発揮して引っ張っていくとかそういう立場ではありません。点数もそれなりに稼ぎつつチームを盛り上げるっていう意味で楽しく、選手の4人を中心にたくさんしゃべって、試合中自分でいっぱいいっぱいにならないで、笑顔やアイコンタクトなど、そういうことがちゃんと周りを見てできるようにしたいなっていうふうに思います。盛り上げ役みたいな。

髙見 まず個人としての目標は、しっかり予選で点数を出して、次の日のトーナメントでちゃんといい山に入れるようにすることが1番の目標です。その上でさっき梨杏も言っていたと思うんですけど、団体戦は3人しか出ないので、その3人にしっかり入って、自分が団体で勝ち進んでいきたいっていう思いはやっぱりあります。役割は主将なんですけど、本当は前から引っ張っていくタイプじゃなくて、後ろから押すタイプの方が本当は性に合ってるんですよ。でもみんなが見ている私は前から引っ張っていく方じゃない?

髙橋 割と。

髙見 多分私はそれを頑張って演じていた部分ではあるので、もうここまできたら演じ切ろうっていうのが1番です。何かあってもみんなを元気に励まし続けて、自分自身は自分自身でどうにかするので、前からしっかり引っ張っていける存在でありたいなと思います。

――これからの質問は髙見さんにお聞きします。主将として今まで心掛けていることや、王座で心掛けたいことはありますか

髙見 私が目標にしているチームは諦めないチームで、誰も置いていかないことを1番意識してやっていました。今回もなるべく(部員が)辞退しなくて済むような(王座メンバーの)選考日程にしたり、今回だけではなく全員がちゃんと目標に向かって頑張れる環境をつくりたかったのが1番です。なので点差帯的にメンバーに入りづらい子たちも多かったのですが、諦めないで一緒に頑張っていきたい気持ちがあったのでそこだけはこの1年間ずっと意識してやっていました。

――諦めないチームをつくるという目標の到達度はいかがですか

髙見 個人的には、8割ぐらいはできたと思っています。私の中ではここまで高評価にできるかなとは思うんですけど、やっぱり点数帯が難しい子たちもいた中でずっと言ってきた部分ではあったので一人一人が自分に諦めないでアーチェリーに取り組んでいてくれていると思います。私が見ている中ではそこは頑張れたのではないかなと思います。言ってしまえば、もっとできたところはあったという感じです。

――これからは髙橋さんにお聞きします。髙橋さんにとって髙見さんはどんな主将ですか?

髙橋 言葉では表しづらいんですけど、すごく親しみやすく相談がしやすいと思っています。気にかけてくださっているのもわかりますし、いろいろな人をよく見てフォローして、全体をちゃんと見て指示を出してくださってます。決めることは本当に細かく決めてくださりますし、何か質問した時も、もう一度聞かなくても分かる答えをいつもくれて、自分がすぐ行動に移せます。すごく気配りが隅々まで行き渡っていて、チームのメンバーとしてやりやすいです。部活がすごく楽しいと思わせてくれるような主将だと思います。

――早稲田に進学するのを決めたきっかけは

髙橋 1番初めに早稲田に行きたいと思ったきっかけは、稚さん(園田稚) が早稲田にいることを知った時です。高校生の時から稚さんのことは知っていて、稚さんがギリギリ高校生で(私も)記録会に出てた時に、すごい雨だったんですけど(髙橋の)70mのデビュー戦で。たまたま(園田と)同的だったんですよ。「園田稚さんって先生からよく聞く名前の人だ」と思っていて、その時から稚さんが出てた試合をYouTubeで見ていましたし、ユース(世界ユース選手権)の決勝の動画も何十回も見てるぐらい稚さんのアーチェリーを見てると引き込まれるんです。こんな風に自分も射ちたいと思えるような存在だったので、その先輩(園田)がいるのを高校2年生の時に知って一緒にアーチェリーをしたいと思ったのが1番最初です。衝動的で、好奇心だったんですけど「早稲田に行きたい」と思って先生に相談しました。決めては昨年度の王座で、本当に惜しかったじゃないですか。あの時ワクチンの副作用で熱を出していて寝込んでたんですけど、王座の決勝が今日だから、わざわざベッドでパソコン開いて寝っ転がりながら王座を見ていたんです(笑)。決勝だけは絶対に起きて見なければいけないと思って、お母さんを呼んで一緒に見てたんですよ。それぐらい掛川でやっている今をどうしても見たくて、意識がもうろうとしている中、フルセットで最後の最後で惜しくも負けてしまったのを見て。早稲田が王座制覇を目標にしていることも知っていたので、「この大学に行って、私が絶対メンバーに入って、この出てる先輩たちと一緒に王座を制覇したい」と思ったのが早稲田に入ったきっかけです。

――実際に早稲田に入学してみてどうでしたか

髙橋 部活がどんな雰囲気なのかは全く未知の領域で、受験が終わって、合否が出て、入学できるのが決まってから初めて練習に来たので。早稲田に行くことが確定の状態で練習したので、ガチガチに厳しかったらどうしようと思ってたんですけど、全然思っていたのと違かったです。大学だと厳しいのかと思っていたんですけど、先輩たちもたくさん話しかけてくれますし、練習中とか点取り中にみんな笑顔が多くて。女子チームは特になんですけど、女子だけじゃなくて男子も笑顔が多くて、チームの雰囲気が良い大学だと思いました。

――髙見さんにお聞きします。早稲田に髙橋さんが入った時、初めて会った時の印象は

髙見 今初めて言うんですけど、最初に会ったとき「絶対に合わない」と思ってたんですよ(笑)。最初の印象はすごく気の強い子だと思っていて、ただそれはアーチェリーだけの姿であって、アーチェリーは気の強い姿を見せて気持ちで勝たなきゃいけないから、その部分が見えていただけで話してみたら妹感満載で猫ちゃんみたいな(笑)。私は後輩と仲良くなるのに時間がかかるし、厳しくしすぎるから後輩に好かれないタイプなんですけど、懐にすっと入ってくれる子だったので私の中ではすごくやりやすかったと思います。

――去年の王座を現地で見ていて改めていかがでしたか

髙見 自分が出ていた王座が無観客だったので、有観客を初めて見たんですけど、「応援がある王座はこんなににぎやかなんだ」というのが第一印象です。今年はもっとそのにぎやかさを超えると思うので、私自身は有観客での王座は初めてなのですごく楽しみです。去年はすごく惜しい結果で悔しかったと思いますが、ここまで迫れたなら来年こそと希望が持てる試合でした。応援側で見ていただけですけど、今年につながる経験になったと思います。

――再びお2人にお聞きします。昨年の王座のチームと比べて今年の王座のチームの特徴は何かありますか

髙見 まだチームが決まったばかりなのでわからないところもあるんですが、キャラクターが(みんな)違うのが1番かなと思っていて、去年は統一してなーさん(矢原七海氏、令5スポ卒=福岡・柏陵)色が強かったので、「よく行くぞ!」みたいなそういうテンション感で、なーさん色のチームでした。でも今年は私はカラーをあんまりつくっていないので、私ってカメレオンみたいな感じなので。そうじゃない?

髙橋 確かに(笑)。

髙見 場面によってすぐキャラクター変えるのでそういう意味では何にでもなれるっていうところはあるかなと思ってて、どう転ぶかわからないですけど、でもたぶん梨杏色が強くなるんだと思います(笑)。多分この子(髙橋)の色が強くなるかなとは思うんですけどみんな適応しやすいし、それがいろんな味になるからいろんな色が混ざってもっともっといいものになるのかなと現段階では思ってます。

髙橋 去年はお会いしたことないんですけど画面越しに見てても七海さん(矢原七海)の力がすごく大きかったのかなと思っていて、私がお母さんと一緒に動画見ていても、私もお母さんも七海さんの笑顔にやられて、「やばいこの人本当にすごい人だ」って。もし試合の早稲田としての流れが悪かったとしても七海さんの笑顔を見ること、目を合わせるだけでまた切り替えて頑張ろうって思えるような方なのかなと思いました。そういう面では今年のメンバーでそういう「絶対的な精神安定剤」みたいなそういうタイプの人はいないですけど、みんなで支え合ってちゃんとコミュニケーションとって、全員で安定させられる、そんなチームなのかなと勝手に思っています。

「自分の競技人生の集大成」(髙見)


女子主将としてチームを引っ張ってきた髙見

――王座を控えた今の心境をお願いします

髙橋 やはり憧れだった王座に大学入ってから1年目で出られるということで、1番初めにも言った通り、女子の先輩はもちろんですけど、今年王座に出られなかった男子の先輩たちや新しく入ってくれた同期みんなの気持ちを背負って、ちゃんとこれから2週間自分でしっかり調整してもっともっといいパフォーマンスが本番でできるようにこれからもっと頑張っていきたいと思っています。

髙見 やはり私は4年間の集大成でもあって、個人的には今年(アーチェリーを始めて)12年目なんですけど、基本的に多分本気でやるのは今年が最後なので、自分の競技人生の集大成でもあります。だから1番は後悔なく終わりたい、笑顔で終わりたいというのがあって、やはり今年は男子が出られなくて女子だけになってしまって、部員全員の背負って代表として出るからにはみんなの思いを集結させて自分たちの射に繋げていきたいなというのはあるので、それができるように練習していきたいなと思います。

――意識している大学や選手はいますか

髙橋 私の中で1番大きいのは日体大だと思っていて、同じ年に勝見麗ちゃんという滋賀県出身の子がいるんですけど、私すごい仲がいいんですよ。私と同じで高校生から(アーチェリーを)始めたのに、私より全然上手くて点数も高いですし、選考会とかにもたくさん出ていて、同じ年だけど、目標だしライバルみたいな感じに思っています。大学としても(日体大は)ライバルですし、個人でも、同じ1年生で仲がいいからこそ1番私自身のライバルにしやすい。稚さん(園田稚)だったら麻央さん(渡邉麻央、日体大2年)みたいな存在が今の私にとっては(勝見)麗ちゃんなので、今の点数は負けてますけど、もっともっと自分も強くなって麗ちゃんに負けないくらいになれるように、と思っています。

髙見 やはり上に上がってくるのは今梨杏が言った日体大、近大、同大、この辺が絶対に上がってくると思っていて、今年私同大強いと思うんですよ。ユース(世界ユース選手権大会)出てた子も今年同大入って、県は違うんですけど、中学からずっとアーチェリーを一緒に頑張ってきた私の同期が今年主将としているし、もう1人その子の同期がいるし、結構今年同大強いなと思って。私が出た王座は2年間とも同大に負けているんですよ。コーチで私が1番仲のいい先輩も絶対入るし、だからやっぱり同大には絶対に勝ちたいなっていうのはあります。でも同大だけじゃなくって、早大が勝つためにはきっとまた近大ともやることになるだろうし、意識してはいますけどとにかく一戦一戦勝つしかないなと思います。

――最後に王座に向けた意気込みをお願いします。

髙橋 今年こそ62代の集大成の王座で絶対に王座制覇するので応援よろしくお願いします。あとちゃんと笑って終わりたいなと思っています。

髙見 最後の王座、絶対に王座制覇して笑顔で終わります!

――ありがとうございました!

(取材・編集 梶谷里桜、星野有哉 編集 星野有哉、矢彦沢壮真、渡辺詩乃 写真 矢彦沢壮真)


王座の意気込みを一言で書いていただきました!

◆ 髙見愛佳(たかみ・あいか)(※写真左)

2001年(平13)年6月5日生まれ。エリートアカデミー/東京・足立新田高出身。 スポーツ科学部3年。山下健友選手(スポ3=愛知・東海)から「長崎弁で王座への意気込みを」とのリクエストがあった髙見選手「絶対王座制覇ばするけん応援しとってね 」とのことです!

◆ 髙橋梨杏(たかはし・りあん)(※写真右)

2004(平16)年12月21日生まれ。神奈川・横浜高出身。スポーツ科学部1年。NMIXXという韓国のガールズグループにはまっているという髙橋選手。推しの歌のうまさを熱く語っていただきました!