自転車競技の藤村一磨選手(18)が、宮崎県立都城工業高校の卒業式を待たずに欧州へ向かった。世界から約20選手が集うプロ育成チームに加入し、自転車の本場でトップ選手を目指す。 宮崎県三股町出身の藤村選手は、市民レーサーの父修平さん(44)に…

 自転車競技の藤村一磨選手(18)が、宮崎県立都城工業高校の卒業式を待たずに欧州へ向かった。世界から約20選手が集うプロ育成チームに加入し、自転車の本場でトップ選手を目指す。

 宮崎県三股町出身の藤村選手は、市民レーサーの父修平さん(44)にあこがれ、小学3年生のころからロードバイクに乗った。中学生では競泳に打ち込み、個人メドレーで県2位に入ったことも。自転車のロードレースに本格的に取り組んだのは中学3年生の夏から。強豪の都城工高に入り、1年生で全国高校総体2位に入った。

 宮崎は天候に恵まれ交通量も少ないため、自転車の練習環境に恵まれている。日南方面やえびの高原までペダルを踏み、自然のアップダウンに鍛えられ、藤村選手は「のぼりが得意」になった。

 全国高校選抜大会を制したり、ツアーオブ九州で総合優勝したりして、2022年度からは日本自転車競技連盟の強化指定選手になった。欧州でホームステイしながら短期の武者修行を繰り返すうち、「ヨーロッパのプロが、本当の自転車のプロ。そこを目指したくなった」と振り返る。

 修平さんによると「プロになれるのは本当に狭き門。うまくいかないことの方が多いとも伝えたが、それでも本人が『いきたい』と言った」と藤村選手の決意は固かった。

 育成チームは南仏のマルティーグを拠点にする。藤村選手はフランス語はわからないそうだが、「色んな国の人がいて基本は英語」と動画などで語学の勉強もしてきた。「世界選手権など大きなレースで20位以内に入り、認められる結果がまず必要」と意気込んでいる。(森田博志)