今回は早大男子の強みの一つ、自由形短距離陣の須田悠介(スポ4=神奈川・湘南工大付)、菅野遼(スポ4=大分・佐伯鶴城)、山口遼大(スポ1=東京・暁星)の三人と対談を行った。「早稲田の最強スプリンター時代」(須田)の中迎えるインカレ(日本学生…

 今回は早大男子の強みの一つ、自由形短距離陣の須田悠介(スポ4=神奈川・湘南工大付)、菅野遼(スポ4=大分・佐伯鶴城)、山口遼大(スポ1=東京・暁星)の三人と対談を行った。「早稲田の最強スプリンター時代」(須田)の中迎えるインカレ(日本学生選手権)に向けての思いを聞く。

※この取材は8月16日に行われたものです。

競技以外の面でも、成長できる環境(山口)


初対談ながら落ち着いた様子で話した山口

――須田選手の紹介をお願いします

菅野 悠介は競技面で、とにかくコツコツと努力を重ねられる人だなと思います。練習がきついなと感じるときもよくあるんですけど、その中でも自分のやるべきことをしっかりと毎日見つめて、愚直に。センスもすごいと思うんですけど、その中でもコツコツと努力を重ねられる人だなというのは4年間でずっと思っています。人柄としては僕がちょっと抜けている部分もあるので、お兄ちゃんのような感じでしっかりするところはしっかりと締めてくれるので、そういったところではすごく頼りになるなと感じています。でもふざける時は一緒にふざけてくれるので、バカ騒ぎできる友達だなと思っています。

山口 悠介さんの練習に対しての態度については、すごくいろいろなことを考えているなという印象があります。水泳に関して体の使い方などを僕たちに教えてくれる時に、言語化する能力を持っていて、分かりやすく理解できるし、多分それも自分の中では理解できてるから、悠介さん自身ができるんだろうなというのをすごく感じています。普段の練習でも、やっぱりセンスはすごいあるんだろうなと思うんですけど、それを持ち合わせていても、努力ができるというのはすごいなと思っています。普段は遼(菅野)さんも言ってたんですけど、メリハリがすごいしっかりしてて、やる時はやる、ふざける時はふざけるで、僕も結構かわいがってもらってるなと思います。

――お2人の話を聞いていかがですか

須田 いいところだけ言ってもらえて、とても助かっています(笑)。

――続いて菅野選手の紹介をお願いします

須田 菅野くんは同期として何度も正面からぶつかった仲で、たくさん喧嘩もしましたけど、その分僕が一番信頼しているのは彼です。(自分は)人に気を遣って生きていくタイプじゃないんですけど、菅野くんも多分そうで、それ故にたくさん喋ることがありました。でも4年生になると全部いい話になって一番信頼できる仲間だなと思っています。競技者としては、彼は毎年インカレの出場種目で個人種目よりもリレーが速いことが多いです。自分のために頑張るより人のために頑張る方が頑張れるタイプ、気分も乗るタイプなので、そういった献身的な姿はやっぱりすごいなと思います。今年は個人種目も期待していますが、リレーも一緒に頑張ろうと思います。

山口 遼さんは入った時からすごく親身というか、たくさん話しかけてくれた優しい先輩というのが僕の第一印象です。練習を一緒にする中でもいろいろなことを話して、相談にもすごく親身になってくれる先輩だと思っています。練習に関しても結構競り負けたり、置いていかれたりすることもあるんですけど、目標にできる先輩というか、一緒に切磋琢磨していて楽しいと思える先輩です。普段もすごく話しかけていただいて、お兄ちゃんみたいな先輩だなと感じています。

――菅野選手、いかがですか

菅野 僕も褒めていただいて、少し照れくさいですけど、すごく嬉しいです。

――最後に山口選手の紹介をお願いします

須田 学年は僕と菅野が4年生で山口は1年生ということで、スプリンター、短距離チームでは末っ子です。彼はお兄ちゃん2人のダル絡みにも笑顔で応えてくれるようなかわいらしい後輩です。練習中にお尻ペンペン触ったり、ちょっかいかけたりしてもニヤニヤして応えてくれるんですけど、もしかしたら内心こいつだるいなって思われてるかもしれません(笑)。

山口 思ってないです!

須田 競技者としては彼は高校時代に日本代表になった経験があり、実力がある選手です。にも関わらず「大学では須田さん菅野さん、ミドルにいる田中(大寛、スポ4=大分・別府翔青)さんという大きな先輩に勝てるようにとか、練習でついていくように」とか言うんですけれども、勝てるほどの能力を持っていると思うので、今回のインカレではその実力を示す機会だと思って頑張ってもらいたいと思います。

菅野 スプリンターの選手は尖っている選手が多い印象がありますが、僕から見た遼大は試合の時はすごく集中していてかっこいいオーラが出ています。普段は「遼さん、悠介さん」とすごく柔らかい表情と雰囲気で、かわいらしい後輩だなというのを4月からすごく感じています。練習に対してもどんどん吸収しようという姿勢がいつも目立っていて、だからこそどんどん成長していって、僕も遼大のそういう姿勢を見て、もっとこうしないとなと日々感じることも多い存在です。

――山口選手いかがですか

山口 こうやって先輩からまっすぐな意見を聞くのが初めてなのでちょっと照れくさい気もしますけど、うれしいです。

――最近ハマっていることはありますか

菅野 最近ハマり始めたことではないんですけど、昔から漫画やアニメを見ることが多いです。夏場は新しくアニメがでることが多いので、それをよく見ています。水泳部内でも漫画を好きな人が多いので、その話をしたりすることが特に多いです。

――菅野選手的に今一番きてる漫画は何ですか

菅野 僕的にはワンピースもいいと思うんですけど、今は特に呪術廻戦が漫画もアニメもきてるなと思います。

――お2人はいかがですか

山口 僕は音楽を聞くのが好きでいろんな人を聞いているんですけど、最近はとくにMrs. GREEN APPLEが好きです。ライブに応募して、今年は外れたんですけどいつか行きたいなと思っています。つい最近も近くの西武球場であって、電車に乗るとグッズを持ってる人がいて羨ましいなと思いました。

須田 最近の趣味は授業が終わって暇な時間が多いので、自分の部屋でギターを弾いています。

――いつ頃から弾き始めたんですか

須田 1年半くらい前からです。

――続いて競技の話に移っていきます。世界水泳を見て印象に残ったレースはありましたか

菅野 いちばん印象に残ったのは50メートル自由形、オーストラリアのキャメロン・マケボイ選手(世界水泳50メートル自由形優勝、21秒06)のレースです。自分も自由形の短距離をやっているというのもあるんですが、ここ最近ずっとあんまりタイムが伸びなくて、今年4月頃から一気にタイムが上がってきていてそのレースも感動したし、すごいなと思いました。彼のインスタグラムに、特別なことを試合でやったんじゃなくて、練習でやってきたことをそのまま出したんだよ、みたいなことを書いててその段階からすごいんだなとそれも含めて感動しました。

山口 僕も遼さんと一緒で50メートル自由形です。記録として20秒台があんなに近いレース、東京五輪の時のドレセル選手(アメリカ、2020東京五輪男子50メートル自由形優勝、21秒07)のレースもそうだったんですが、世界のレベルはこんなに高いんだとまず肌で感じました。マケボイ選手は特にストロークの進みが決勝に進んだ選手の中でも1人レベルの違う進み方をしていて、僕自身ストロークで進むというよりはスタートやドルフィンの方が得意なタイプではあったので、逆に吸収するものというか、学ぶものはいっぱいあるなと思いました。インスタグラムにもレースの映像が残っているので、何回か見返して進み方やキャッチ、プル、プッシュの方法はすごく勉強になるなと思いました。

須田 印象に残ったのはサマー・マッキントッシュ選手(世界水泳200メートルバタフライ優勝、400メートル個人メドレー優勝)です。理由はすごくかわいいからです(笑)。まあでも、競技者、アスリートとして4歳くらい下で、どこの国の選手だっけ。

山口 カナダです。

須田 カナダ。カナダの選手なんですけれども調子の上下があったように思えて、その中で最後まで気持ちを切らさずに多種目に出場して頑張ってたんですけど、自分より年下の選手が自分の国のためにあそこまで頑張ることができるってすごいなと思いました。あと、かわいかったです(笑)。

――須田選手はワールドユニバーシティゲームズ(中国・成都)に出場されましたが、収穫や次につなげたい課題はありましたか

須田 今月出場したんですが、チームジャパンとして国内で直前合宿をやっていました。その時にコロナにかかってしまい入国がすごく遅れました。もともとは試合開始1日目の4日前ぐらいに入る予定だったんですけれども、前日の12時に選手村に着くというスタートでした。体力的にも結果も思うようにはいかなかったんですが、その中でもどうやったらタイムが出るかを考え、試行錯誤というのは一時も止めておらず、コロナ中も食事はたくさん食べ、復帰のためにどんな過ごし方が必要か、復帰してからはどうやったら体力が戻るか、7日間戦い抜くにはどういったコンディショニングが必要かというのを常に考えることができたので、それに関しては非常に良かったと思います。次に向けての課題はコロナになってしまったので、適切な評価というのは難しいですが、その中でも海外選手と比較して僕の強みでもある飛び込みと、15メートルまでの水中動作は圧倒的に通じました。そこだけは海外選手にも負けずに戦うことができたので、自信を持って今後も臨んで行けたらと思います。また、逆に泳速の部分では今までと考えていたことは一緒ですけれども、強化の内容は今後も継続して頑張っていかなきゃなと思える大会だったと思います。

――山口選手に伺います。早大に入学した理由と、入学してから約4カ月を振り返っていかがでしたか

山口 入学した理由は、僕は高校3年生の時に進学に迷っていて水泳を辞めるという選択肢もあり、いろいろな大学を見てかなり迷っていろいろなところを受けました。早稲田を選ぶきっかけになったのは、高校3年生の時にインカレを見ていてその時に早稲田は短距離で1フリ(100メートル自由形)はワンツー、しかも決勝に3枚残っていました。半フリ(50メートル自由形)も2人残っていて、スプリンターとして成長できる場所としてすごくいい場所なんだろうなと感じました。その後紆余曲折を経て早稲田にご縁があり入学することができました。早稲田のスプリンターの人たちを見てかっこいいなと思ったのはありました。入学してからは大学生活で初めて寮に入り、1人で生活するようになり最初は、(今まで)身の回りのことを親に頼ってたなという部分は痛感して、自立しなきゃいけないなというのを感じ、良い成長の場でもあると思います。人間面というか競技以外の面でも、成長できる環境だと感じています。もともと水泳と勉強の両立はやってきてはいたので、そこに関しては高校の習慣を継続することが重要かなと思っているので、授業期間はそれを心がけていました。

きついタイミングや頑張ろうというタイミングで同期が思い浮かぶ (菅野)


一番いい結果をと意気込んだ菅野

――今シーズンの調子や目標の達成度を振り返っていかがですか

須田 まずは4月の日本選手権(日本選手権競技大会)で、ユニバーシアードの代表に選ばれたことは良かったかなと思います。タイムとしては納得のいくレースというのは数少なかったんですけれども、その中でも長期的に何を達成したいのかというのを常に頭に入れて。その達成したい目標というのはインカレで活躍することや、さらに先を見据えると来年のパリ五輪を目指してという状況で、それを常に頭に入れて何を頑張ったらいいのかというのを考え続けられたのは良かったんじゃないかなと思います。1つの試合で一喜一憂しないというのが僕の中で常に考えていることであって、いい時も悪い時も冷静に考えて次の試合をどうやって立ち回ろうか、次の試合までにはどういう練習をしようかと考えることができました。それは1年生の時にはできなかったことだったので、成長も見られてそして4年生という集大成としての動き、立ち回り方で自分のベストを尽くすことができたと思います。

菅野 今シーズンは4月から9月まで自分自身のことですることが多かったので、水泳以外のこともしないといけなかったんですけど、その中でも1年生から3年生で経験したことの中で、こういうところはどんなに忙しくても気をつけようとか、練習の中でこれだけは毎日意識しようというのが、経験を活かして練習にも工夫して取り組むことができたので良かったと思います。その中で自己ベストでほぼ同じようなタイムでというのが何度も今起こっていて、昨年も同じような感じて終わってしまったので今年こそはそのくすぶっている自己ベストと同じくらいっていうのを最後のインカレで、ポンと外せるようなレースができるように取り組んでいきたいなと思っています。

山口 入学して最初の1、2カ月ぐらいはまず環境に慣れるというので、僕の場合あまり調子が上がらなくて。大学に入る前、高校生の時から1年くらいベストか出ていなかったので、なんとかしたいなとはずっと思っていました。僕のレースのスタンスとしては1回のレースにつき何か課題を1つ見つけて、次の試合までにそれを潰していく。そのしらみ潰しにしていく方法は高校生の時からやっていて、その方法がうまくハマったのが早慶戦(早慶対抗水上競技大会)の時でした。そこで1年振りくらいにベストが出たというのはその方法を続けてきて良かったなと。しらみ潰しにして出てきたもの1つに対して練習に取り組む。練習に取り組み続けることを続けてきて良かったと思います。いろいろ吸収することもあり、練習中に学ぶこともあり、その練習に活かしきれていない部分をいろんなことをやらなきゃと考えはするんですが、全部できるということは少ないので、なるべく1個1個習慣づけて。いろいろなことを考えずに習慣的にできるというのが1番いいと思うので、1つずつ習慣づけていければいいなと思います。

――今、重点的に取り組んでいる課題はありますか

須田 コロナにかかってしまっていたので、今は体力をいち早く戻そうという段階ではあります。あとは足のケガがずっと続いているんですけれども、その状態を見ながらできるだけ体力を戻して。(インカレまで)あとちょうど2週間なので、まだやれることはたくさんあります。精神的にも自信のつくような練習というのはまだまだ積みたいなと思っているので、体力をつけることと自信をつける練習を進めればなと思っています。

菅野 自身の強みは泳速の部分だと思っているので、そこをうまく活かせるように、飛び込みの勢いを殺さずに浮き上がりにつなげて、そこから浮き上がって25メートルまでの前半の部分をいかにうまく泳げるかというところを意識して取り組んでいます。

山口 僕は泳速が課題としてあげられると思っています。今回インカレは個人として50メートル自由形のみのエントリーなので、そこにフォーカスしてラスト15メートルで伸びるような、ラスト15メートルで上げる意識を。あと最近意識しているのは呼吸を1回に減らすことを意識していて、今まで3回くらいしていたのを最近のレースでは1回にするようにしています。ゴールに向かってまたスピードが上がっていくような、そういうレースを想定して練習しています。

――改めてインカレでの出場種目と具体的な目標をお聞かせください

須田 個人の目標は50メートルについては優勝します。昨年、予選は1位通過で決勝に進むことができましたが、結果は3位だったのでもちろん悔しかったです。雪辱を果たしたいと思っています。そしてもう1種目の100メートルについては昨年、早稲田で同期の田中大寛とワンツーをすることができました。ただワンツーのツーが僕で嬉しい反面悔しくて、喜ぶにも喜べない自分がいたので今年は勝負に徹するような泳ぎができたらなと思います。順位を上げて優勝できるように頑張ります。

菅野 僕は昨年50メートル自由形に出場させていただいて初日だったので、悠介の活躍や昨年度4年生の今野太介(令4卒)さんの活躍を見て、全く点を取れていない自分がすごく悔しくて情けなく感じていました。今年こそは決勝に進出して点を取ることもそうですが、A決勝で大量に点を取ることができるようにと思っています。しっかりと確実に点を取って決勝に進出することが目標です。

山口 僕は50メートル自由形のみの出場となりますが、初めてのインカレということで、インカレの雰囲気や空気感をまずは感じ取ってインカレとはこういうものなんだっていうのを学んでいきたいなと思っています。個人種目に関しては遼さんもおっしゃっていましたがA決勝というのが1つ大きな目標になってて、おそらくこの3人で残れると思っています。僕は3人で決勝に行って、早稲田3枚残っている、すごいというのを見せたいなと思っています。

――山口選手はインカレにはどのようなイメージを持たれていますか

山口 昨年インカレを見ていて、今年関カレをやった印象というか高校3年間で応援のある試合を経験していなかったので、関カレや早慶戦で応援のある試合というのがすごく新鮮でした。インカレになると全国の大学がそれぞれの選手を応援し合ってすごく盛り上がる、お祭りみたいな試合なのかなという印象を抱いています。

――ご自身以外で早大の注目選手はいらっしゃいますか

須田 注目する選手は一緒にユニバーシアードに行った松本信歩(スポ3=東京・東学大付)さんです。ユニバーシアードで出場したリレーで100メートルの引き継ぎタイムが、世界水泳代表の池江璃花子(横浜ゴム)さんと0.3秒しか変わらないですね。えー、やばいです。絶対速いです。彼女は勝負強さもありますが、もう3年生で先輩として、上級生として後輩をどうやって引っ張っていくのかというところも見ています。タイムで引っ張るのはもちろん、チームに必ずいい影響を与えてくれると思うので、注目選手として挙げさせていただきます。

菅野 一つ下の代の3年生、バタフライを専門としている山本拓武(スポ3=千葉・成田)に期待しています。インカレという舞台はすごく盛り上がる反面、すごく緊張すると思うんですけど、拓武はそういう雰囲気も楽しんで練習したことを全部出すんだぞと、いつも楽しむことを大事にしながら高い目標に貪欲に挑んでいます。拓武だったらそういう雰囲気の中でもより力を出してくれ、100メートルバタフライもメダルの圏内にいると思うので、ベストを出してメダルを取ってくれるんじゃないかなと期待しています。

山口 僕の注目選手として、同期の新開誠也(スポ1=鹿児島情報)をあげたいと思います。僕と新開は昨年一緒に日本代表として海外に行っていて、それ以前からの知り合いです。今年200メートル自由形のタイムがかなり良くて、1年生男子の中では唯一リレーメンバーに入りそうです。関カレ(関東学生選手権)を見ていた時に1年生1人でやっぱりすごくプレッシャーを感じていて、そういうのを見て(プレッシャーに)押しつぶされないでよく頑張っているなというのをすごく感じました。個人の2バタ(200メートルバタフライ)に関しても、ベストタイムとしてはかなり早いタイムを持っているので、すごく注目しています。とくに僕は同期の新開の8継(800メートルフリーリレー)でメダルを取るところを見たいなと思っているので、そういうところを注目しています。

――これまで、4年生との思い出はありますか

須田 ここにいる菅野ともう一人、田中はすごく小さいころからライバル関係でやっています。大学に進学してまさか田中大寛と菅野遼と同じ大学になるとは思っていませんでしたし、その反面一緒に練習することが楽しみだなと感じたところがありました。僕の大学1年生は、インカレも出場できないくらい調子を落としていて、本当に無の1年間でした。この二人のライバルは僕を見捨てない、見捨てないという言い方は間違いかもしれませんが、ここまで来いよ、ちゃんと練習やれよとみたいな感じの雰囲気をを出してくれて、引っ張り上げてくれてやっと戦えるようになりました。そして最後の4年生を迎えるので、同じチームのライバルですがやっぱり勝ちたいですし、そして一緒に喜びたいので、そういった複雑な関係ではありますが集大成として早稲田のスプリンター三人で暴れ回りたいと思います。

菅野 同期のエピソードとして何か特別なものはないですが、4年間やっていると悠介もさっき言っていたように、それぞれが落ち込むタイミングがあって、僕もそういう時期があったんですけど、そういう時にいつも頑張ろうと、気持ちが盛り上がるタイミングは同期が頑張っています。そういう姿を見た時にまた頑張ろうと思えるので、自分のきついタイミングや頑張ろうというタイミングで同期が思い浮かぶというのはすごく恵まれていることだなと感じています。だからこそみんなで結果を出したいし、この4年生がいい結果でチームにより勢いをつけられたらなと感じているので、僕自身も誰かのきっかけじゃないですけど、そうなれるくらいの結果を残したいと思うのでしっかり頑張りたいと思います。

山口 僕が印象に残っているのは悠介さんとのエピソードです。早慶戦のレセプションの後に、僕本当に嬉しかったんですけど、一緒に頑張ろうなって仰ってくださって、(早慶戦では)結構久しぶりにベストが出て充実した1日でした。その締めじゃないですけど最後に一緒に頑張ろうなっておっしゃってくださったのが、すごくモチベーションにもなります。悠介さんは特にインターハイを見てて、僕もドルフィンが得意で目指すべきところはここなのかなって。昨年のインカレの予選、決勝を見てもタイプとしてすごく似ていると思うので、そういう先輩から言葉をかけていただいたのはすごく嬉しかったです。

勝つのは当たり前です。圧勝します(須田)


須田はインカレに向けて強気の言葉を多く口にした

――今回のインカレをどのようなインカレにしたいか一言で表すとしたら、どういう言葉を選びますか

須田 「圧勝」でいきたいと思います。今、早稲田大学短距離チームは全国的に見ても相当レベルが高いです。多分歴代に見ても一番に近いぐらいレベルが高いです。勝つのは当たり前です。圧勝します。半フリ(50メートル自由形)は3枚残しというどの種目でも滅多にないことなんですが、今のこの早稲田の最強スプリンター時代ならいけると僕は思っています。

山口 「学びのインカレ」にします。初めてのインカレで動き方や雰囲気など1年目は学習の年かなと入学の時から考えてはいたので、先輩方を見ていろいろなことを学んで、吸収できるインカレにしたいなと思っています。

菅野 「最高の集大成」と思っています。4年生は特にこれが最後になる人が多いので、自分なりに満足してという終わり方よりも一番いい結果で納得できる成績というのが一番いいと思います。そこはしっかりこだわって、自分なりとかじゃなくて誰が見てもよくやったねと思ってもらえるような結果で終わりたいと思うので、そこを目指して頑張ります。

――ご自身の注目ポイントはどこですか

須田 僕の強みは飛び込みと15メートルのドルフィンキック。あとは25メートルまでの最高速度なので、もう飛び込みの時点で勝負を決めます。

菅野 僕はスタートが得意じゃなくて逆に後半に自信があるので、25メートルまでの間で悠介や遼大が近くでついていってると思ったら、遼はここから行く、と思いながら見てもらえたらと思います。スタート25メートル頑張ります。

山口 僕はスタートが得意なのでスタートから15メートルまでの速度が須田さんに勝るとは言いませんが、勝負できるレベルまでは持っていきたいなと思います。注目ポイントとしてはスタートから浮き上がり、前半の泳ぎにとくに注目してほしいなと思います。

――最後にインカレに向けての意気込みをお願いします

須田 エントリーは僕が1番です。昨年は3番で、上二人は学年が上の方たちだったので、現時点では僕がチャンピオンです。チャンピオンとしてのプライドと意地を懸けて戦い抜きます。

菅野 もう一言で、全力でいきます。

山口 僕は4年生の二人の先輩が抜けても大丈夫だと思えるような、そういうレースをしたいなと思います。先輩が安心して卒業できるようなレースをしたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 新井沙奈、堀内まさみ)

◆菅野遼(かんの・りょう)

183センチ。大分・佐伯鶴城高出身。スポーツ科学部4年。漫画やアニメを見ることが好きな菅野選手。今一番きているのは『呪術廻戦』だそうです。これまで競い合ってきた早大水泳部の仲間と一緒に泳ぐのも残りわずか。「最高の集大成」を飾るべく、キレキレの泳ぎを見せてくれることでしょう!

◆須田悠介(すだ・ゆうすけ)

179センチ。神奈川・湘南工科大附高出身。スポーツ科学部4年。最近の趣味はギターを弾くこと。今回の対談では須田選手の競技に対する真剣な眼差しと、明るく周りを盛り上げる人柄が伝わってくるものとなりました。インカレでは速くて強い須田選手の圧倒的な泳ぎに期待が高まります!

◆山口遼大(やまぐち・りょうた)

179センチ。東京・暁星高出身。スポーツ科学部1年。音楽を聞くことが好きな山口選手の最近のイチオシはMrs. GREEN APPLE ですが、今年のライブは残念ながら外れてしまったそうです。インカレ初出場の山口選手の泳ぎの実力は、須田選手からもお墨付き。早大の強力なスプリンター陣に加わった新戦力に注目です!