昨日、法大に完敗し初陣を白星で飾ることのできなかった早大。関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)第2戦の相手は日大だ。関東学生春季リーグ(春季リーグ)では下級生が奮起し、早大の理想的な試合運びである「堅守速攻」で完勝した。とはいえ、日大は春季リ…

 昨日、法大に完敗し初陣を白星で飾ることのできなかった早大。関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)第2戦の相手は日大だ。関東学生春季リーグ(春季リーグ)では下級生が奮起し、早大の理想的な試合運びである「堅守速攻」で完勝した。とはいえ、日大は春季リーグで3位の実力を誇る強豪校であり、油断はできない。試合は春と打って変わって接戦となった。序盤から点の取り合いとなり、前半を13ー14の1点ビハインドで終える。後半点差を離される場面もあったが、底力を見せ、一時は逆転に成功。しかし最終的に意地と意地のぶつかり合いは両者譲らず。25ー25で勝敗つかず引き分けに終わった。

 「今日を迎えるにあたってしっかり切り替えてちゃんと全員でやろう」(白築)と気持ちを切り替えて迎えた日大戦。先制点を挙げたのは、そう語る白築琢磨(文構3=東京・早実)だった。フリースロー直後にステップシュートを放ち、これには相手キーパーも反応できない。さらに相手のシュートミスから速攻で小柴創(スポ1=千葉・昭和学院)がゴールを決め、昨日とは一変して順調なスタートを切ることに成功。その後は激しい打ち合いになると、前半16分、17分と立て続けに相手が退場者を出す。ここで突き放したい早大だったが、焦りからかオフェンスミスで点差を離すことができない。すると、ついに前半21分で10ー11と逆転を許し、22分に今度は早大が退場者を出してしまう。ピンチの後にチャンスありと言わんばかりに日大がサイドを中心に得点を重ね、10ー13と点差を離す。しかし早大も簡単には引き下がらない。前半終了間際に連続得点を決め、13ー14。最後に塚本智宇(スポ4=富山・高岡向陵)がサイドシュートを止め、1点ビハインドでありながらも良い流れで前半を終えた。


ゴールを狙う白築 今試合14得点の活躍を見せた

  後半、日大は戦術を大きく変えてきた。ディフェンスを3ー3ディフェンスから1ー5ディフェンスに変え、オフェンスではサイド中心の攻撃からフローター中心の攻撃に変えると、再び点差は後半4分で13ー16と3点差に。だがここから上級生が意地を見せる。後半10分、まず口火を切ったのは狩野直樹(スポ4=埼玉・浦和学院)。強烈なロングシュートを決めると、次は白築がノールックで鮮やかにポストパスを出し、鍋島弘樹(スポ1=福井・北陸)がこれを沈める。さらに白築がパスカットからワンマン速攻を決め、日大に追いつくと、再び白築が遠目からのステップシュートで後半13分に19ー18で試合をひっくり返した。怒涛(どとう)の4連続得点でリードを奪った早大。さらに後半19分には、狩野がくるりとターンフェイントでディフェンスをかわし、華麗にシュートを決めて会場を沸かせた。だが日大も引き下がらない。3連続得点で後半24分に23ー24と一気に逆転。その後交互に一点ずつ取り合い、後半27分に白築がミドルシュートを決めて25ー25と同点にする。ここで早大にチャンスが再び巡ってきた。後半28分に日大のオフェンシブファールでボールは早大ボールに。試合終了まで残り1分、逆転のゴールを決めたい早大だったが、パスがかみ合わずスカイプレーに失敗。残り30秒。この日大の攻撃が最後のプレーとなったところで日大はタイムアウトを要求した。「残り30秒で同点になったので、向こうがスカイプレーなど特殊なトリックプレーをしてくるんじゃないか」と田井健志主将(スポ4=香川中央)がタイムアウト時に話をしていた通り、予想は見事に的中。スカイプレーを警戒していた早大はパスカットに成功し、日大の逆転を防いで25ー25の引き分けで試合終了となった。


強烈なロングシュートを放つ狩野

 昨日の悪い流れを断ち切ろうと臨んだ今回の試合。惜しくも勝利を手にすることはできなかったが、何度も追いつく粘り強さを見せた。春季リーグでは下級生の活躍が目立ったが、今回の試合では勝負所で頼りになったのは、やはり狩野や白築といった上級生だ。特に白築は14得点とチーム全体の半分以上のゴールを決める活躍で、春季リーグ得点王は健在だ。この安定感のある上級生のプレーに下級生の勢いが加われば、早大はさらなる飛躍を遂げるだろう。次週は筑波大戦を控える。春季リーグでは筑波大から初白星を挙げ、その勢いのまま3連勝を飾った。秋季リーグも筑波大から初白星を飾り、リーグ戦躍進への足がかりにしたい。

(記事 丸山勝央、写真 廣野一眞 芦刈れい 三浦佑亮)

関東学生秋季リーグ

早大2513―14
12―11
25日大
GK 塚本智宇(スポ4=富山・高岡向陵)
CP 外種子田峻汰(スポ2=鹿児島・国分)
CP 田井健志(スポ4=香川中央)
CP 守屋雄司(スポ2=神奈川・法政二)
CP 狩野直樹(スポ4=埼玉・浦和学院)
CP 西村悠吾(人2=千葉・市川)
CP 白築琢磨(文構3=東京・早実)
コメント

田井健志主将(スポ4=香川中央)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 昨日初戦負けてしまって、その試合のイメージを払拭しようというのと、あとは良い流れに乗れるように、勝ち点取れるようにしようっていうのは話していました。あとは60分間通して戦おうと話をしていたので、前半も3点差くらいついてしまった時もありましたが、何とか粘って試合の中で後半に逆転することができたというのはチームとして良かった点だと思います。

――後半追いつかれた際のタイムアウトでは何を話されていましたか

 追いつかれたタイミングでも60分間通して戦おうと。まだ10分程度あったので、そこでの戦い方や一喜一憂しないようにと話しました。喜ぶのはいいですが、シュートを決められた際もしっかり逆速攻でリスタートし、自分達が決めてもちゃんとバックチェックで帰ってくることを徹底しようと話をしました。

――最後勝ち切るには何が必要でしたか

 やっぱり最後の勝ちを意識する10分間、ラスト後半20分になると1点差とか2点差とかで勝っていた時にチーム全員が勝ちを意識したと思いますが、その勝ちを意識したタイミングで慎重になってしまったり、前を見なくて消極的なプレーが生まれてしまったりしたことが勝ちきれなかった原因かなと思います。

――最後のタイムアウトでは何を話しましたか

 残り30秒で同点になったので、向こうがスカイプレーなど特殊なトリックプレーをしてくるんじゃないかっていう話をしていて。それに対して最大限に対策しようという話と向こうのキーマンである10番の植松(彬、4年)くんが何かしらプレーに絡んでくるだろうということで僕がマンツーマンについてそのきっかけを封じようとやってみて、それがうまくはまって最後に失点することがなかったので、それはチームとして大きな収穫かなと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

 来週は筑波大で、春は勝っている相手で去年の秋も勝っているのでみんな勝ちには慣れていると思うんですけど、昨日の試合を見た感じ、筑波大学はとても仕上がっていて一年生から四年生までチーム全体に纏まっている良いチームだったので、そこに勝って早稲田の方が良いチームだって言えるような試合をしたいと思います。

狩野直樹副将(スポ4=埼玉・浦和学院)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 最終的に同点ということで、勝ち切れる試合だったのかなと思います。

――最後勝ち切るには何が必要でしたか

 後半ちょっと勝ちがよぎっているときに簡単なミスが発生してしまったのでそういった球際の部分をもっとつめれば、自分たちの勝ちにつなげることができたのかなと思います。

――大事な場面でシュートを決めていましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

 同点や一点離したい時にシュートを決められたのはよかったですが、その後ミスを続けてしまい、さっき言った球際での集中力を継続させてもっとチームに貢献して行きたいと思います。

――日大の特殊な3ー3ディフェンスに対してどのような作戦を立てていましたか

 上にいる僕が切ってポストに入ったり、ポジションチェンジをして下のディフェンスを惑わしたり、空いているスペースを使ったりすることを意識しました。

――途中交代した時はどうされましたか

 ちょっと指が腫れてしまって。そのテーピングを巻いてもらっていました。

――今後への影響はありますか

 大丈夫だと思います。ちょっと気になった程度なので、来週には影響はないかと。

――最後のタイムアウトでは何を話されましたか

 最後しっかりディフェンス一本止めてから速攻いって一点取ろうと。しっかりルーズボールまで、まずは守ろうと話していました。

――次戦への意気込みをお願いします

 筑波大は昨日の試合を見ていて、結構完成度高くて強いと思うので、しっかり自分たちのハンドボールができれば良い試合ができると思います。

白築琢磨(文構3=東京・早実)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 勝ちきりたかったというのが第一にありますが、昨日の試合でチームのやるべきことがなにも出せなくて雰囲気も悪い状態で今日を迎えるにあたってしっかり切り替えてちゃんと全員でやろうというふうには話しました。得点が停滞する部分はありましたがチームとしては雰囲気良くやれていたと思います。

――チーム最多得点ですが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

 昨日は自分もいこうとしたし周りもいかせようと無駄に考えすぎてしまったところがありました。ただ今日は切り替えて自分の中でシンプルにやろうということを試合前から自分の中では決めていたのでそれが結果として現れたのは今後につながるかなと思います。

――最後勝ち切るには何が必要でしたか

 後半の中盤で得点が止まったり相手に押されたりする場面があったと思いますが、そういう時こそチーム全員で声を出して足を動かして雰囲気良くやれれば勝ち切れたのかなと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

 昨日から切り替えられてチームとしても悪くない状態にはあるので、このままあと一週間で成長して来週を迎えられればと思います。