関東学生選手権(関カレ)が、新横浜のリンクで2日間にわたって開催された。今大会が引退試合の主将の岡島右京(商4=東京・早大学院)をはじめ、早大フィギュア部門からは総勢7人が出場。スケート仲間やファンが集まるにぎやかな雰囲気の会場で演技を行…

 関東学生選手権(関カレ)が、新横浜のリンクで2日間にわたって開催された。今大会が引退試合の主将の岡島右京(商4=東京・早大学院)をはじめ、早大フィギュア部門からは総勢7人が出場。スケート仲間やファンが集まるにぎやかな雰囲気の会場で演技を行い、4部門で入賞を果たした。

★1日目 6級女子

 早大フィギュア部門で最初に登場したのは、副主将を務める女子6級の千葉紫織(文構3=東京・筑波大附)。今大会では2シーズン継続してきた『オペラ座の怪人』ではなく、新プログラム『エクソジェネシス』を披露した。大会前に右足の腱を痛め、直前の6分間練習で急遽ジャンプを全て1回転に抑えることを決断。「(2回転)ジャンプを跳ぶつもりでいたため、モチベーションを上げていくのは結構難しかった」というが、美しい滑りは健在。コレオシークエンスでは0・67点の加点を得て、演技構成点の項目でも評価された。満足のいく出来とはいかなかったものの、ケガを抱えながらも、「いつかは使いたいなと思っていた」というラストイヤーに選んだプログラムを滑り切った。


『エクソジェネシス』を演じる千葉

★5、6級男子

 男子5、6級の競技には、今大会が現役最後の試合となる主将の岡島右京(商4=東京・早大学院)が出場。早大フィギュア部門の選手だけでなく、他大の選手らからも歓声が送られた。『トスカ』の壮大な音楽がかかり始めると同時に、足を振り上げる動きでスタートし、激しい曲調に観客を一気に引き込んだ。冒頭の2回転アクセルは軸が外れ転倒。その後、2本目のアクセルも回転が抜け1回転になってしまうと、予定構成を変更して3本目、4本目のアクセルに挑戦。4本目にアクセルを跳ぶ練習はやっていなかったというが、「アクセルを降りないと自分でも納得できない」という想いで計4本の2回転アクセルに挑んだ。結果的には成功とはならなかったものの、最後の試合で力を出し切りたいという岡島の強い覚悟が見えた。終盤のコレオシークエンスでは、全身を大きく使って激しさを増す曲調を表現。バタフライも成功させ、情熱的でスピード感のある岡島らしい滑りで魅了した。ミスが出てしまった悔しさを感じながらも、「色々な人たちに見に来てもらって演技をして、インカレの時もそうだったのですが、幸せ者だなと思いながら滑ることができた」と振り返った。


『トスカ』を演じる岡島

★7、8級女子

 同じく4年生の馬場はるあ(社4=東京・駒場学園)は、1番滑走で演技に臨んだ。背中のケガの影響で、東京選手権以降は思うような演技ができていなかった馬場は、今大会でもエレメンツに苦戦する様子が見られた。序盤から回転の抜けや転倒が続き、着氷したジャンプも多くが回転不足の判定を受けてしまう。出方や手の動かし方が工夫されたスピンでも今回はレベルの取りこぼしがあり、技術点を伸ばすことができなかった。しかし、着氷が乱れながらも連続ジャンプに繋げ、疲れが出る終盤にも果敢に3回転ジャンプに挑戦するなど、攻めの姿勢で演技を続けた。最後まで力強い表現と馬場の強い気持ちが合わさった『ムーラン・ルージュ』で観客を魅了した。


『ムーラン・ルージュ』を演じる馬場

 第2グループには吉本玲(国教1=兵庫・芦屋国際中教校)が登場。拠点の変更などの生活の変化への対応に苦戦しながら試合に出場していた今シーズンはフリーのジャンプにミスが多かったが、この日は冒頭の3回転+2回転のコンビネーションを含むジャンプを次々と着氷。回転不足を取られたものや最後の2回転アクセルの転倒などのミスはあったものの、課題としていたジャンプの安定感の向上を感じさせる演技を見せた。演技構成点でも上位3人に引けを取らない点数をマーク。3位と僅差の81・39点で4位入賞を果たした。


『ロミオとジュリエット』を演じる吉本

★7、8級男子

 大会初日の最後に行われた7、8級男子。早大勢2人は1番滑走と最終滑走に分かれて登場した。1番滑走は廣田聖幸(スポ3=千葉・東邦大東邦)。2週間前に靴を変えたばかりで、慣らしている段階での大会だったということもあり、着氷が決まらないジャンプや、回転が抜けてしまうジャンプが相次いだが、リンクサイドからの声援を背に演技を進める。後半は、「Saturday Night」という歌詞が登場するダンサブルな曲に合わせて、歌詞通り土曜の夜に集まった観客を盛り上げた。最後は、次の滑走者で、この試合が引退試合だったリンクメイトの佐藤由基(日大)とハイタッチして氷を降りた。


『ロケットマン』を演じる廣田

 最終滑走には山田琉伸(人通1=埼玉栄)が登場。直前に体調不良があったといい、前の大会よりも難度を落とした構成で挑んだが、やはり本調子でないのか、ジャンプミスが多くあり、着氷したジャンプでもいつものような軽やかさは見らなかった。スピンでバランスを崩す場面もあり、本来の実力からはほど遠い内容と点数にはなったが、「(コンディションが悪かった中で)やるべきことはできた」と意地の4位入賞を果たした。


『ピアノ協奏曲第1番』を演じる山田

★2日目 3、4級男子

 大会2日目には、男子3、4級の坂﨑愛介(基理1=東京・早大学院)が登場。この日は早大からの出場者は坂﨑1人であったが、リンクサイドには、岡島、廣田、山田らの姿もあり、仲間に見守られながらの演技となった。『Bones』の音楽がかかると、パッと笑顔を浮かべて滑り出し、冒頭の1回転アクセルを滑らかに着氷。しかしその後のジャンプは、「タイミングなど締め方が良くなかった」と着氷が乱れるミスが相次いだ。スピンでも回転の途中でふらついてしまいノーバリューとなるなどのミスが出たが、疲れが出る最後のスピンでレベル2を獲得し加点も得るなど進化も見せた。演技後は悔しげに頭を抱えたが、3位で表彰台に登った。


『Bones』を演じる坂﨑

 1月の日本学生氷上競技選手権に続き、選手や観客の応援が飛び交うにぎやかな雰囲気で行われた関カレ。コンディション面で不安を抱えながら演技に臨んだ選手も多かったものの、リラックスした笑顔を見せる場面が多く見られた。今後もバレンタインカップや私大戦、そしてWASEDA ON ICEと演技の場が続く。シーズンクライマックス、今後も早大フィギュア部門の選手たちの演技に注目だ。

(記事 荘司紗奈、吉本朱里、及川知世 写真 吉本朱里、荘司紗奈、及川知世)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

結果

▽6級女子


千葉紫織

 

24位 48・22点


▽5、6級男子


岡島右京

 

4位 59・83点


▽7、8級女子


吉本玲

 

4位 81・39点


馬場はるあ

 

19位 52・13点


▽7、8級男子


山田琉伸

 

4位 90・45点


廣田聖幸

 

9位 60・89点


▽3、4級男子


坂﨑愛介

 

3位 34・51点


コメント

※連戦となる選手が多いため、今大会では全員にインタビューは行っておりません

▽6級女子


千葉紫織副主将(文構3=東京・筑波大付)

――今日披露された新プログラムについて教えてください

 曲は『エクソジェネシス』です。 このプログラムは昔、新田谷澟さんが使っていらっしゃったのを見てすごく素敵なプログラムだなと思って、いつかは使いたいなと思っていました。(来年は)4年生ということでラストイヤーなので、最後はこの曲かなと。静動がはっきりしている曲なので、強い部分と弱い部分をしっかり自分の表現として、(今大会は)作ってから1、2週間位だったのでクオリティはまだまだでしたが、そういうところをこの1年磨いていけたらいいなと思っています。

――今日の演技でジャンプの難易度を抑えていたのはなぜでしょうか

 結論から言うとケガなのですが、右足の腱を痛めてしまって。就活で忙しいこともあり、あまり氷に乗れていないというのもありました。朝の練習では2回転を入れて練習できていたのですが、直前の6分間練習の時に、痛みでジャンプができなさそうだなと思って1回転にしました。正直、ジャンプを跳ぶつもりでいたので、モチベーションを上げていくのは結構難しかったです。本当は今回新プロの披露ということで、もっともっと完成度を高めたものをお見せしたかったんですけど、できなかったという感じですね。

――今日の演技を振り返っていかがですか

 自分の中ではプログラムの表現面をこだわり抜いて滑ろうとかは考えていたのですが、やはりケガがあったので、本番はそこまで考えられず、とにかく滑りきることを目指す段階でした。正直、もう少しクオリティの高いものをお見せしたかったというのはありますが、何人かの方に、すごく素敵だったよと声をかけていただけました。まだまだだと思うので、これをもっともっとより良いものにしていくために、みなさんがもっと素敵だなと思ってもらえるように練習しないとなと思っています。

――今シーズンを振り返っていかがでしたか。来シーズンに向けての意気込みなどもお願いします。

 今シーズンで1番印象に残っているのは東インカレです。自分が練習で積み上げてきたものを本番で出すという経験ができたのが大学に入って初めてで、自分の中ですごく印象に残っています。やりがいがあった試合だったので、そういう経験をこれからも増やしていきたいです。一方で、全然ダメな試合もたくさんあって。自分の弱いところだったり、本番の向き合い方、練習の向き合い方とかをすごく実感した、良いことも悪いことも感じた1年でした。来年はラストイヤーで、8歳でスケートを始めてから14年間の集大成となる年なので、 もうとにかく悔いのないスケート人生っていうのをテーマに掲げています。 今後、どうなっていくかわからないですが、全部の練習、全部の試合において自分が納得のいく演技ができるように積み重ねていきたいなという風に思っています。


▽5、6級男子


岡島右京主将(商4=東京・早大学院)

――最後の大会でしたが、目標を教えてください

 ノーミスを目指してはいたのですが、かなりノーミスすることや最後の大会だということを意識しすぎてしまったのが、ジャンプのミスに繋がってしまったのかなと、振り返ってみて思いました。でも、色々な人たちに見に来てもらって演技をして、インカレの時もそうだったのですが、幸せ者だなと思いながら滑ることができました。終わった時はすごく悔しかったのですが、それで良かったのかなと思います。

――2回転アクセルに何度も挑戦されていましたが

 アクセルを4本やったのですが、3本目は練習でもアクセルが抜けた時はそこでつけようと思っていました。4本目は全く練習でもやっていなくて、でもアクセルを降りないと自分でも納得できないし、最後納得できるかたちで終わりたかったので(アクセルを跳びました)。

――終盤のコレオはいかがでしたか

 あそこはすごく良かったかなと思って。やっぱりジャンプを失敗してしまった後なので、もうここしか見せるところないという感じで(笑)。バタフライとかも良いものができたと思いますし、表現面もすごく意識してきたところを出して演技ができたかなと思います。


▽7、8級男子


廣田聖幸(スポ3=千葉・東邦大東邦)

――今大会の演技振り返っていかかですか

 2週間前に靴を変えたばかりで慣らしている段階だったので、できることはやろうという感じで望みました。ジャンプは全然できませんでしたが、スピンは頑張れたと思います。

――来シーズンに向けて

 僕は次の試合が北日本選手権になるので、そこでどれだけ良い演技ができるかという感じです。ショートのブラッシュアップと、フリーは新しいプログラムにする予定で、曲とかももう決めています。ラストシーズンになるので、いい演技を続けられるきっかけとなるような試合にしたいです。

山田琉伸(人通1=埼玉栄)

――今大会の演技を振り返っていかがですか

 前日に体調を崩し、体力や筋力が落ちた中での試合だったので、全くいい演技はできませんでしたが、その中でもやることはできたと思います。

――次戦の私大戦に向けて

 来シーズンシニアに上がるので、それに向けて、さらにジャンプやスピンをレベルアップできるように、練習していきたいです。


▽3、4級男子


坂﨑愛介(基理1=東京・早大学院)

――今大会の演技振り返っていかがですか

 僕は、ジャンプを全部締めることはできましたが、タイミングなど締め方が良くなかったと思います。練習の時からあまりジャンプの調子が良くなかったので、その割にはまとめられたと思います。

――次戦のバレンタインカップに向けて

このプラグラムを滑る最後の試合になると思うので、悔いのない演技をしたいです。