第78回国民スポーツ大会冬季大会のスキー競技会(やまがた雪未来国スポ)が21~24日、山形県内で開催される。開幕まで1週間を切る中、関係者を悩ませているのが暖冬による雪不足だ。アルペン競技の会場となる最上町の赤倉温泉スキー場では積雪量が十…

 第78回国民スポーツ大会冬季大会のスキー競技会(やまがた雪未来国スポ)が21~24日、山形県内で開催される。開幕まで1週間を切る中、関係者を悩ませているのが暖冬による雪不足だ。アルペン競技の会場となる最上町の赤倉温泉スキー場では積雪量が十分でなく、雪の搬入が急ピッチで進められている。

 同スキー場を15日に訪れると、辺りは山肌がむき出しになり、例年のような銀世界にはほど遠かった。雪があるのはゲレンデぐらい。人工スキー場のようなゲレンデにトラックが次々と訪れ、荷台から雪を下ろしていた。雪は新庄市や町内などの冬季閉鎖中の道路から搬入されている。

 スキー場は昨年12月16日にオープン予定だったが、雪不足で1月19日にずれこんだ。その後も積雪不足で滑走不能となった日も。大会に向けた雪の搬入と整備のため、2月6日から休止に入った。

 これまでに持ち込まれた雪の量は約1万立方メートルに上る。13日時点の競技コース周辺の積雪は上部(スタート付近)が約35センチ、下部(ゴール付近)が約100センチ。アルペン競技の開催には圧雪の状態で50センチ程度必要で、大会直前まで搬入を続けるという。

 気になるのが今後の天候だ。県内は15日、前日に続いて気温が上昇。最高気温が山形市で17・8度、最上町で13・8度と4月の上中旬並みの暖かさとなった。山形地方気象台によると、18~20日の山形市の最高気温は16~19度と予想されている。

 県内3会場のうち、標高の高い上山市の上山・坊平高原クロスカントリー競技場や山形市の蔵王ジャンプ台は積雪は十分で、予定通りに競技を行う。

 山形蔵王のスキー場などに変更することはできないのか。県によると、会場周辺に1千人程度が宿泊できる施設が必要なため、現実的ではないという。

 大会の準備に当たる県教育委員会の庄司雅人・教育局長は「全日本スキー連盟からは予選を勝ち抜いた選手のためにコースを短縮しても実施して欲しいと伝えられた」と話す。

 吉村美栄子知事は15日の定例会見で、今後の積雪の状況次第では「(大会関係者で)競技コースの短縮も含めて検討されるのではないか」と述べた。

 開始式を21日に控え、残された時間は少ない。16日にもスキー連盟幹部らが現地を確認し、選手らが下見する19日には最終判断を下す。

 国スポは今年、国民体育大会(国体)から名称が変わった。県内では、14年の冬季大会で強風でコースを短縮したことがあるが、少雪による中止や短縮はないという。

 一方、県外では雪不足の影響を受けた冬季大会もある。1951年に新潟県であった大会はノルディック競技が中止に。2000年の富山県での大会では、陸上自衛隊員に加え、県職員も出動して雪の搬入や整備にあたり、間に合わせた。

 吉村知事は会見で「予想外の気温の高さを心配し、毎日ため息をついている。『雪よ溶けるな』と呼びかけたいくらい」と漏らした。会場の整備について「選手たちが練習の成果を発揮できるよう全力を挙げて取り組んでいきたい」と語った。(高橋昌宏)