秋季関東大学リーグ戦(秋リーグ)第9戦は順大と対戦した。組織力を武器によくつなぎ、テクニカルなスパイカー陣が決めきる順大のスタイルに苦戦する場面も見られたが、早大の個の攻撃力が上回った。セットカウント3―2(25―23、23―25、25―…

 秋季関東大学リーグ戦(秋リーグ)第9戦は順大と対戦した。組織力を武器によくつなぎ、テクニカルなスパイカー陣が決めきる順大のスタイルに苦戦する場面も見られたが、早大の個の攻撃力が上回った。セットカウント3―2(25―23、23―25、25―13、23-25、15-6)で今季初のフルセットの末、勝利を収めた。

 第1セットは開幕からブロックのミスが相次ぎ、4―8と先行を許したが、途中出場の佐藤遥斗(スポ1=東京・駿台学園)が丁寧な高いファーストタッチや、コースを突く軟打のサーブで攻守に貢献。攻撃面では、OH山田大貴(スポ4=静岡・清水桜が丘)が得意のバックライトからのアタックを中心に追い上げ、22-22と同点のまま終盤にもつれこんだ。リベロ荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西)のレシーブから、OH水町泰杜主将(スポ4=熊本・鎮西)のパイプ攻撃でセットポイントとする。ディグリベロ布台駿(社4=東京・早実)がブロックのワンタッチをカバーしてつなぎ、山田が決めきってセットを先取した。


第3セットにサーブで大量得点した畑

 続くセットも順大優位で、先行される展開が続いた。9―11の場面で、着地の際に足に違和感を覚えた山田が一時コートから離れたことをきっかけに、4年生を中心に奮起。水町主将やMB伊藤吏玖副将(スポ4=東京・駿台学園)、MB麻野堅斗(スポ1=京都・東山)のブロックポイントで背中をつかむも、終盤のアタックミスが響いてセットを取られた。第3セットは一転、一方的な試合運びとなった。OP畑虎太郎(スポ2=福井工大福井)のサーブで幕を開けるなり、ネットにかかってミスするまではなんと9連続得点。3本のサービスエースを含むなど、波に乗ったときの強さを見せた。好調な畑にボールが集まり、彼もその期待に応える。25-13と圧倒的な点差でセットを取った。

 良い流れのまま取り切りたい第4セットだったが、終盤まで一進一退の攻防が続いた。先20点台に乗せたのは、ブロックをうまく利用し得点を重ねる順大。相手にサービスエースもあり、再び2点差でセットを献上した。最終第5セットは伊藤のクイックで1点目を得ると、エース勝負とはならずに多彩な攻撃を展開し、前に出る。終盤にかけてブロックが3枚きっちりそろい、相手のスパイクを阻んだラリーが2本。最後は畑がブロックアウトを取り、フルセットを勝ちきった。


麻野のブロックポイントで喜び選手たち

 組織力で戦う順大に対し、個の力が非常に高い早大。白熱した試合になったが、「まだ個人のプレーになってしまう、チームとしての粗さが2点差の失セットつながった」(山田)というように、明確な課題も見えた。今の早大がさらに組織としての連携を強めて良ければ、いよいよつけ入る隙のないチームになるだろう。全日本大学選手権(インカレ)まで、天皇杯ブロックラウンドを挟んで、秋リーグは残すところ2戦。今回の反省を糧に、調整を重ねて欲しい。

(記事 五十嵐香音、写真 渡辺詩乃、小川ゆりえ)

セットカウント
早大25-23
23-25
25-13
23-25
15-6
順大
スタメン
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ4=熊本・鎮西)
アウトサイドヒッター 山田大貴(スポ4=静岡・清水桜が丘)
ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ4=東京・駿台学園)
ミドルブロッカー 麻野堅斗(スポ1=京都・東山)
オポジット 畑虎太郎(スポ2=福井工大福井)
セッター 前田凌吾(スポ2=大阪・清風)
リベロ 荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西)
途中出場
布台駿(社4=東京・早実)
浅野翼(スポ3=宮城・東北)
安食浩士(スポ1=宮城・東北)
佐藤遥斗(スポ1=東京・駿台学園)
コメント

山田大貴(スポ4=静岡・清水桜が丘)

――今日の試合を振り返って

 最近、ずっと松井先生(松井泰二監督、平3人卒=千葉・八千代)に、組織力というかチームとしての基礎基本が徹底できてないと言われていて。逆に、順天堂さんはチーム力で戦ってくるようなチームで、序盤から主導権を握られる展開が多かったです。その中でも、個々のスキル自体は早稲田は負けてないと思っているので、打破できた部分があったかなと思います。取られたセットに関しては、まだ個人のプレーになってしまう、チームとしての粗さが2点差の失セットつながったのかなと。課題が明確になっているので、もっと自分たちがチームとしての連携を 強めることができれば、最終戦に向けてもインカレに向けても、もっと強くなれるのかなと思います。

――第1セットは山田選手の得点が非常に多かったと思いますが、振り返っていかがですか

 結果として決まったのは良かったかなって思って。前からずっと泰杜(水町主将、スポ4=熊本・鎮西)が守備の面でも攻撃の面でもチームの中心になっていて、誰もが認めるキャプテンで、エースだと思うんです。じゃあ、その泰杜のその負担を減らせるものはなんだって考えたとき、やっぱ自分は攻撃だと思っています。攻撃の面で自分が泰杜の片方、半分を負担したいなって思っているので、トスもどんどん呼ぶし。決まらなくても、自分が引いたら誰もいないというくらいの気持ちでやってます。だから、1セット目は良い方向につながってよかったかなと思います。

――前にダブルエースになりたいとおっしゃっていたのが印象的で。今のところはいかがですか

 どうだろう(笑)。でも、最近思ったのは、自分が自信を持たなかったら、逆にこのチームでは誰が泰杜以外に打つんだって。今は泰杜とプレーして、「すごいな」と学ぶこともありますけど、泰杜にもできないプレーがあるんじゃないかと思います。自分の良さがアクセントになってるんじゃないかな。上手さとか、スピードとかではなくて、自分は高さとパワーとかでは、ダブルエースになれてきているのかなって思います。

――実際、水町選手の調子が少し上がってきてないときでも、山田選手が決めていたりと補完している印象です。リーグを通してご自身の調子はいかがですか

 お互いに積極的にずっと声かけ合っているかっていうと、別にそうでもないんですけど、泰杜が2段トスを打つときは本当に自信持って見ていられるし、泰杜がトス上げるときには自分に預けてくれと言うようにしていて、そこの関係性ができているのかなって思います。自分自身の調子も上がってきているというか、春に比べて何かのプレーが悪かった時にも全部ダメになるわけじゃなくて、ある程度他で補うことが増えてきたのかなと思います。

――残りのリーグ戦、どのような目標で挑みたいですか

 自分らは秋リーグ最後ですし、もう残された試合は少ないので、1戦1戦、勝敗もそうですけど、まず出し切って後悔しない試合にしたいです。出し切らないで負けたら後悔につながるので。まあ、難しいですけどね。負けたらそれはそれで後悔につながるかもしんないですけど、それでも今の自分の中では、まず終わった後に後悔しないような内容にしたいなと思ってます。

――次戦、天皇杯ブロックラウンドに向けて意気込みをお願いします

 普段戦ってないようなチームで、多分大学生とはまた違うような大人のバレーをしてくると思います。それに対応しつつ、自分たちの形がしっかりしてれば、自分たちが強いっていうのはわかっているので。どのような相手が来たとしても、自分たちの実力を出すのを心がけて試合に臨みたいです。

布台駿(社4=東京・早実)

――今日の試合内容を振り返ってみて、チームとしていかがでしたか。

 昨日の試合はチームとして内容が良くなかったので、今日はもう1回役割を理解して取り組んでいこうということを意識していました。まだまだ獲れるところの基礎的なミスであったり、連携が上手くいかないところであったり、もうあと2点差獲るということに当たっては、もう少しそういったところを詰めていかなければいけなかったかなと思います。

――今日の相手はテクニックのあるスパイカー陣であったという印象を受けましたが、ブロックを使ってきたり抜けてきたりするなかで、ディグリベロとして意識していたことはありますか。

 テクニックがあるチームではあったのですが、傾向・癖といったものは見ればわかるところがあって、それは怜音(荒尾、スポ4=熊本・鎮西)だけでできるところではないし、僕もやらなければいけないところだと思うので、そこはお互い情報共有していました。あとは、もしもブロックが上手くいかないと僕たちは活躍できる場がないので、ブロックをどう使っていくかということはディグリベロとしてというよりリベロとして、チームを動かしていくうえで意識しています。

――2枚リベロであったときと、今のように要所に絞って投入されることで何か心情の違いはありますか。

 サイドアウトがとれないと、チームとして確実に試合には勝てないので、そういったところで2枚だとリズムが作れなかったりして、チームとしてあまり良くないなというところがありました。だからチームが向かっていくときにどこが大事かなということを考えていくのであれば2枚でも、そうでなくても、チームがプランを持って進んでいくのであればそんなに変わらないかなと思っています。

――残りのリーグ戦をどのような意識、目標でプレーしたいですか。

 筑波大も日体大も速くて拾ってくるチームなので簡単な試合ではないと思いますが、ブレイク局面で自分も含めてディフェンスする人間がもう少し活躍しないと、絶対に勝てない試合です。そこに向けてアナリストやチームとして指針をしっかり立てていき、とにかく悔いがないようにします。勝つことでしか後輩たちに何かを残すことはできないので、そこは4年生として頑張っていきたいと思います。

――次戦天皇杯に向けての意気込みをお願いします。

 天皇杯は3セットマッチのダブルヘッダーで、相手も大学生ではない実業団のチームなどいろんな選手が出られる機会があります。そこはレギュラーメンバーだけではどうしても勝っていけないところがあると思うので、チームを鼓舞して、レギュラー、リザーブの垣根なく一つになって戦っていけたらなと思います。