選考に通過した選手しか出場することができない全日本ターゲット選手権(全日)。来年のパリ五輪への出場を決めている選手や、世界大会の優勝者など、日本全国から名だたる選手が夢の島に集まった。早大からは髙見愛佳前女子主将(スポ4=エリートアカデミ…
選考に通過した選手しか出場することができない全日本ターゲット選手権(全日)。来年のパリ五輪への出場を決めている選手や、世界大会の優勝者など、日本全国から名だたる選手が夢の島に集まった。早大からは髙見愛佳前女子主将(スポ4=エリートアカデミー)、園田稚女子主将(スポ3=エリートアカデミー)、丸尾風瑛(スポ2=福岡・柏陵)、髙橋梨杏(スポ1=神奈川・横浜)の4名が出場。9月の全日本学生個人選手権(インカレ)で2位、先日の特別国民体育大会で個人優勝を果たすなど、次々に好成績を残している園田主将が、今大会でも3位に入賞した。
メダルセレモニーで笑顔の園田主将
晴れた秋空の下、予選ラウンドは70m先の的を72回射ち、その合計点数を競う70mラウンドの形式で行われた。この予選ラウンドの上位32名が翌日の決勝ラウンドに出場することができる。高校生の時から全日に出場し、今回が5回目となった髙見はまだ決勝ラウンドに進出したことがない。「今回こそは」と臨んだ今大会であったが、第1エンドで36点と苦しいスタートを切る。後半は持ち直し、点数を伸ばしたものの、予選通過のボーダーラインとなった614点にはあと少し足りず、603点で予選ラウンドを終えた。髙橋も72射を終え、590点の57位。決勝に駒を進めることができず、悔しさを滲ませたが、「(全日に)出ることができたら、来年こそは予選を通過したい」と決意を改めた。初めての全日となった丸尾は、前半は303点の79位。4日ほど前に交換したタブに慣れることができなかった、と悔いの残る射になった。後半は321点と本来の実力に近いところまで点数を伸ばしたが、決勝ラウンドに進むことはできなかった。園田主将は安定感のある行射をみせ、4位で前半を折り返す。後半の第1エンドでは59点と高得点を残し、さらに順位を上げて2位で予選を通過した。予選ラウンドで10点に射った数は27個と出場者の中で最も多かった。
行射後、悔しそうな顔を見せる髙見
予選ラウンドで的を狙う髙橋
初の全日となった丸尾
予選ラウンドの結果、早大からは園田主将が決勝ラウンドに進むこととなった。決勝ラウンドからはトーナメント戦。1セットに3射ずつ射ち、合計点数の高い方に2ポイントが入り、同点だと1ポイントずつ入る。6ポイント先取した方が勝者となる。初戦を危なげなく突破した園田主将だったが、2回戦では高校生ながら史上最年少で日本代表に選出された和田蒼(近大附高)と対戦。交互にセットを取り合い、最後の2セットはどちらも同点という接戦を制し、ベスト8入りを決めた。3回戦を6-2で勝利し、ゴールドメダルマッチへの進出をかけた試合に臨んだ。相手は2022年度のアーチェリーワールドカップにて日本人初の優勝を果たした安久詩乃(堀場製作所)。園田主将は3セット全てで26点とまずまずの結果を残すが、相手が全ての射を9点以上に収める高水準の射を見せ、上回った。園田主将は0-6で敗れ、ブロンズメダルマッチに回ることになった。ブロンズメダルマッチの相手はインカレでも対戦した渡邊麻央(日体大)。これまで切磋琢磨してきたライバルとの対戦に園田主将も「今までで1番楽しいマッチ戦になった」と振り返った。3-3の同点で迎えた第4セットを園田主将が29-28で取り、銅メダルに王手をかけた。第5セットも28-26で取り、勝利した園田主将は全日本3位という快挙を達成した。「全日本でもこうしてメダルを取れるような選手になったのかなと思うと、すごく嬉しい」と笑顔を見せた。
ブロンズメダルマッチに臨む園田主将
また今大会で上位32位以内に入ると、来月に行われるナショナルチーム選考会(選考会)への出場権を得ることができる。昨年は選考会で代表に入れず、今の好調の要因も昨年の選考会をきっかけに練習を見直してきたからだろう、と語っていた園田主将。早大から1人のみの出場となるが、この勢いのまま昨年のリベンジを果たしてほしい。またこれからは早慶戦など定期戦のシーズンに入る。今大会に出場した面々はチームの中心として点数を引っ張っていくことが求められるだろう。得られた課題を克服し、定期戦でさらに成長した姿を見せてほしい。
(記事・写真 梶谷里桜、写真 星野有哉、飯田諒、大村谷芳、神田夏希)
※掲載が遅れてしまい、申し訳ございません。
結果
▽リカーブ男子
◇予選ラウンド ※ボーダー:635点・上位32名が決勝ラウンドに進出
丸尾 55位 624点
◇最終結果
丸尾 55位
▽リカーブ女子
◇予選ラウンド ※ボーダー:614点・上位32名が決勝ラウンドに進出
園田 2位 656点
髙見 43位 603点
髙橋 57位 590点
◇決勝ラウンド
1回戦
〇園田6-0小野寺まどか(雫石町役場)
2回戦
〇園田6-4和田蒼(近大附高)
3回戦
〇園田6-2居樹佳奈江(自衛隊体育学校)
準決勝
●園田0-6安久詩乃(堀場製作所)
3位決定戦
〇園田7-3渡邉麻央(日体大)
◇最終結果
園田 3位
髙見 43位
髙橋 57位
コメント
髙見愛佳前女子主将(スポ4=エリートアカデミー)
――5回目の全日本ターゲット選手権だったと思いますが、今日の結果を振り返っていかがですか
練習で調子が良かったので、今年こそは予選通過したいなと思って、きちんと練習でも準備をしてきたんですけど、一言でいうと不甲斐なかったなという感じです。
――行射のときに弓を引き直すことが多かったように見えました
1エンド目に大きくミスをしてパニックになってしまって、怖くなって戻すことがあったり、大きく引いてしまって早切りしてしまったりして戻すことが多かったです。怖がらなければちゃんと射てるのに引き戻していたという感じです。
――最近はどのような練習をされていますか
ここ1ヶ月くらいはずっと点取りをしていて、本数をどんどん減らして点取りしています。ここ1週間は毎日6本で点取りしていました。
――今後の試合予定は
まずは1回休んで、地元の長崎でインカレインドア(全日本学生室内選手権)があるので、今年こそは1回戦勝ちたいというのと、全日インドア(全日本室内選手権)は1回も出たことがないので今年こそは出たいなと思っています。
――今後の試合に向けて意気込みをお願いします
本気でやるのはあと半年だと思うので、悔いなく終われるように最後まで頑張りたいなと思います。
園田稚女子主将(スポ3=エリートアカデミー)
――名だたる選手たちが出場する中、2位で予選通過されました。結果を振り返っていかがですか
予選は最初すごく緊張していて、不安もいっぱいだったんですけど、射ってみると、行けると思って。そんな中で今まで練習してきたことのポイントなどを押さえて射った結果が2位だったので、すごく良い調子で来ることができているなと思いました。
――全日本学生ターゲット選手権や特別国民体育大会、今回の全日本ターゲット選手権でも、70mラウンドで高得点を残されているように思いますが、要因はありますか
前のインカレ(全日本学生ターゲット選手権)の決勝で自分の良くない点が見つかって、そこを改善して練習したので、良くないポイントが減ったことでミスも減って、安定した点数を出せているのかなと思います。
――どんなところが課題だったのですか
細かいところになってしまうんですけど、弓を引いたときに引っ張ってクリッカー(常に一定の引き尺で引くための道具)を切る癖があったので、それを力ずくで切ってしまうとミスが生まれるので、あまり動かずに切るという練習をしていて、それが最近うまくいっているので良いのかなと思います。
――スタンスが今までと少し変わったように感じましたが、意識されていることはありますか。
ちょっとオープンにして、自分の身体と指の間に隙間が生まれるようにしてやっています!
――今日(2日目)の天候や会場の雰囲気はいかがでしたか。
ちょっとぴりついた感じがあって緊張したんですけど、こういう経験は国内ではあまりできないので、すごく自分にとって良い経験になったと思います。
――オリンピックラウンドで、先攻と後攻で試合に入る意識に違いはありますか。
やっぱり先攻のほうが気持ちが楽なので、今回は全部先攻を選べて良かったと思います。
――安久詩乃選手(堀場製作所)との1/4イリミネーションマッチを振り返っていかがですか
もったいないなというのと、安久選手がうまかったなと思います。自分の10点に入れる方法や、緊張した時にどうやって入れるのかという方法をもうちょっと見つけていかないといけないと思いました。
――ブロンズメダルマッチでは渡邊麻央選手(日体大)との対戦でした。振り返っていかがですか
今までで1番楽しいマッチ戦になったと思いました。今まで切磋琢磨した仲間なので、そのライバルと、本当は決勝で戦いたかったんですけど、ブロンズ(メダルマッチ)で戦えたことは自分にとって頑張ってよかったと思えたし、自信につながった一戦になったと思いました。
――3位という結果を振り返っていかがですか
全日本でもこうしてメダルを取れるような選手になれたのかなと思って、すごく嬉しいです。
――次のナショナルチーム選考会に向けて、思いを聞かせてください
去年はすごく悔しい思いをした試合なので、今回はその思いを晴らせるように、しっかり自分と向き合って練習を重ねて、試合に挑みたいと思います。
丸尾風瑛(スポ2=福岡・柏陵)
――初の全日本ターゲット選手権でしたが、会場の雰囲気はいかがでしたか
やっぱり強い選手がたくさんいるので、独特の強者感みたいなのがいろんなところから感じられて、 緊張はしなかったのですが、ピリピリした緊張感を感じてました。
――今日の天候はいかがでしたか
天候的にはいつもの夢の島だなという感じでした。風も特段強いというわけではなく、 コンディション的にはいつも通りだなと思いながら射てました。
――最近のご自身の調子はいかがでしたか
先週から全日の点数を気にしすぎてしまうところがあって、去年の予選を通過するボーダーが638点で、自分の普段通りの力を出すことができたら(予選を)通れるかなと思っていたので、だからこそ点数を意識しすぎてしまって、640に少し届かないという点数をずっと射っていたので、調子的にはあまりいいとは言えませんでした。
――今日の結果を振り返って、どのように捉えていますか
前半に比べて後半ちょっと点数を上げることができたのは収穫かなと思っているのですが、前半点数を出せなかった理由が自分の道具の管理不足であったので、そこはすごく反省するべき点だなと思いました。
――管理不足というのはどういったことがあったんでしょうか
タブ(弦を引く指先を保護する道具)が前少し汚くなっていたように感じたので、4日ほど前に交換したのですが、それに慣れることができず、自分の取りかけの型をつけることができませんでした。そこから惑わされてしまって、うまく射つことができなかったので、 そこが自分の道具の管理不足でした。
――隣の的が柏陵高時代の後輩の木村優斗選手(東京国際大)でしたが、いかがでしたか
とても楽しくできたなと思います。途中からスコーパーしてくださっていた井上さん(井上空、創理4=東京・早大学院)がいなくなった状況で、周りに見てくれる人がいなかったんですが、後ろに木村がいて、喋りながらできたので、 1人で落ち込むことなくできたんじゃないかなと思います。
――木村選手とはどういった話をされていましたか
今の得点がどうだったとか、 今何位ぐらいというアーチェリー関係の話がいっぱいでしたね。他の柏陵出身の人がどんな感じだみたいな、そういう話をずっとしてました。
――ここから定期戦シーズンに入ると思います。今後の意気込みをお願いします
自分はどっちかというと点数引っ張っていく側なのですが、まだまだ点数が足りないので、もっと点数伸ばして、周りの点数も上げられるように、一生懸命頑張っていきたいと思います。
髙橋梨杏(スポ1=神奈川・横浜)
――昨年に引き続き全日本ターゲット選手権に出場されました。今日の結果を振り返っていかがですか
今回は予選を通過することができなくて悔しいという反面、今の実力ではそうだよなという気持ちがあります。
――全日本学生王座決定戦の対談の際にライバルとして挙げられていた勝見麗選手(日体大)が隣の的でした。何か話されましたか
試合中は同的の選手とお話しすることが多かったので、あまり話しませんでしたが、公式練習や間の休憩の時は、「調子どう?」というようなたわいもない雑談をしました。
――来年に向けて、自身の課題や練習していきたいことはありますか
来年は、(全日に)でられるか分かりませんが、また全日に出ることができたら、来年こそは予選を通過したいです。また、課題としては弓が傾いていることに今日の試合を通して気づくことができたので、これからの練習でその課題を直しつつ、自分の射型を安定させていけたらいいなと思います。
―― 今後に向けて、意気込みをお願いします
定期戦のシーズンになって、新人戦や早慶戦、インドアのシーズンが始まるので、自分の調整をしつつ、しっかりと結果を出していけたらと思います。