2月11日に開催された延岡西日本マラソン。昨年は佐藤航希(スポ4=宮崎日大)が優勝したこの大会に、今年は伊福陽太(政経3=京都・洛南)が出場した。ペースメーカーが外れた25キロ過ぎに、1人抜け出した伊福。そのまま自分のペースで逃げ切り、見…

 2月11日に開催された延岡西日本マラソン。昨年は佐藤航希(スポ4=宮崎日大)が優勝したこの大会に、今年は伊福陽太(政経3=京都・洛南)が出場した。ペースメーカーが外れた25キロ過ぎに、1人抜け出した伊福。そのまま自分のペースで逃げ切り、見事優勝を果たした。タイムは2時間9分26秒で、早稲田記録を24年ぶりに、大会記録を18年ぶりに更新。さらに史上最年少でのサブ10(2時間10分以内のタイム)を達成し、伊福が歴史に名を刻んだ。


記念撮影をする伊福(中央列左から4人目)と部員たち

(記事 飯田諒、写真 早稲田大学競走部提供)

結果

▽マラソン

伊福陽太(政経3=京都・洛南)  2時間9分26秒 (優勝)

コメント

伊福陽太(政経3=京都・洛南)

――優勝した率直な気持ちを教えて下さい

 レースで勝つという経験がこれまでなかったので、嬉しいです。

――延岡西日本マラソンを選んだ理由はありますか

 昨年、航希さん(佐藤航希、スポ4=宮崎日大)が出場されて、優勝したのが一番大きいです。それに加えて、(ペースもそこまで速くないので)レベル的にちょうどいいからです。タイムを狙うのだったら、別の大会のほうが良かったかもしれませんが、30キロ超えて先頭集団にいて上位争いの経験ができる大会だと思っていました。

――優勝は狙っていましたか

 あまり意識しすぎるとよくないと思いつつ、昨年は航希さんが優勝されたので、少し狙っていました。

――調子は良かったということですか

 調子は良い方だったと思います。箱根(東京箱根間往復大学駅伝)が終わってから、上手く疲労を抜いてマラソン練習に入れました。花田さん(花田勝彦駅伝監督、平6人卒=滋賀・彦根東)から提示されたメニューをほぼ完ぺきにこなせて、調整に入れたので状態は良かったです。

――2時間10分以内(サブ10)のタイムは想定していましたか

 想定していなかったです。よくて2時間10分台かなと思っていました。

――その中で早稲田記録、大会記録を更新され、さらに史上最年少でのサブ10になりました。記録についてはどのように考えていますか

 早稲田記録更新が一番うれしいです。早稲田の記録に名前を残せたのは、良かったです。

――チームメイトの応援には気づかれましたか

 全部気づきました(笑)。最初は、6、7キロくらいのところにいたのですが、思ったよりうちわが多くて笑ってしまいました。折り返して、25キロのところにもいたのですが、余裕もあったので手を少し挙げました。

――ゴール直後は早稲田のチームメイトに飛び込まれました

 あれだけいたら行くしかないです(笑)。

――レースプランはありましたか

 ペースメーカーが25キロで離れるというのは聞いていたので、そこまではしっかり着くことを意識しました。勝負は30から35キロくらいだと思っていたのですが、25キロから先は誰かが一気に前に出たら、着こうと思っていました。自分が出る選択肢も、もちろんありました。

――飛び出した理由は、35キロを首位で通過した人に与えられる景品のブリが欲しかったからだと、他媒体の記事で拝見しました

 正直そうです(笑)。ただ、あまりペースを落としたくなかったので(出たのもあります)。ペースメーカーが外れた後に、大塚製薬の相馬崇史さんが前に出たのですが、急にペースが落ちました。牽制するような感じになってしまったので、ここでペースを落として、終盤あげるほうがきついなと思いました。そこでよし切り替えようと思って、自分のペースでいきました。1キロのラップが3分切っても楽だったので、3分切るか、少し超えるペースで10キロはいけると思いました。ペースを上げた時に後ろがついてこなかったので、とりあえずブリを取ろうと(笑)。後ろがついてこなかったら、そこから先のことは、あとで考えようと思って走っていました。

――優勝の景品は何だったのでしょうか

 景品は山のようにありました。ギフトカードもありましたけど、一番嬉しかったのが海外派遣の補助を貰えたことです。自分も海外経験をできるということで、その切符を自分でつかめたことが嬉しかったです。

――ブリを食べている様子を伊藤大志駅伝主将(スポ3=長野・佐久長聖)が、SNSにあげていました

 10キロ、80センチのブリが丸々来ました。一日で、みんなで食べきりました。美味しかったです。

――飛び出したときに後ろがついてこないのは、驚いたのでしょうか

 自分は初マラソンで、後ろも落ちてくるだろうと思ってついてこなかったと思います。「ついてこないのか、10キロはもつよ」と思いながら走っていました(笑)。このままいけば、10キロで40秒離せるので、残り5キロ少しで40秒詰めるのは難しいだろうなと思っていました。

――怖くはなかったですか

 失速する可能性もありましたけど、失速したらそこが課題になって次に生かせばいいだけなので、思い切っていきました。

――30キロの壁はなかったのでしょうか

 今回に関して言えば、30キロ、35キロのきつさはなかったです。(それよりも)残り3、4キロの向かい風がきつくてペースを落としてしまったのが悔しかったです。

――レース後花田駅伝監督から、何か言葉をいただきましたか

 監督も嬉しそうにされていました。「よくやったね」と声をかけてもらいました。

――優勝インタビューで花田監督と話した際には、「監督の記録を更新した」と言う一幕もありました

 時代も違うし、単純比較はできないのは自分でもわかっているので(笑)。ネタに走ったわけではないですけど、言ってみました。

――昨年優勝された、佐藤選手から何か連絡はありましたか

 航希さんもこっちに来ていて、「おめでとう」と言っていただきました。(早稲田勢で)2連覇できて良かったです。

――周りからの反響は

 思ったより大きかったです。今回のタイムがめちゃくちゃいいかと言ったら、そこまで良くないと思うのですけど、ほめてもらえました。

――体の疲労はありますか

 昨日、休んで今日は30分ジョグをしました。2月はまだ油断できないですが、走れないという体ではないです。

――内臓の疲労もないですか

 多少はあると思いますが、食事はとれています。ぐったりするような疲労は今のところないです。

――コンディションが涼しかったからというのもありますか

 自分の中では、集団の駆け引きもなく自分のペースで、最後まで気持ちよく刻めたので疲労は溜まっていないと思います。

――25キロまでは、余裕があったのでしょうか

 ペースメーカーの引っ張りが良かったというのもありますけど、25キロまではペース走みたいな感じでした。

――マラソンで世界にいきたいという話を、別媒体の記事で拝見しました

 今回結果が出て、やるからには上を目指したいので。競技継続はほぼ確実なので、マラソンが主戦場になると思います。

――上を目指すうえで必要なのは

 大学4年生でトラックのタイムを出したいです。まずはしっかり疲労抜いて、前半シーズンは5000・1万メートルでタイムを狙っていきたいです。スピード強化も大事なので、5000メートルも最低限、13分50秒前半はだしたいと思います。

――ご自身で、マラソン向きの理由をどのように分析されますか

 分からないです(笑)。省エネの走り方でもないので、体力がある方なのかなと思います。

――来年も箱根後にマラソンを走るご予定ですか

 状態次第ですが、多分走ると思います。そこでさらにタイムを出せるように頑張りたいです。