松井氏&阿部監督の指導を受けた翌日に活躍「2安打できたのは良かった」 巨人の宮崎キャンプは11日、サンマリンスタジアム宮崎で紅白戦が行われ、前日10日に松井秀喜臨時コーチ(ヤンキースGM付特別アドバイザー)、阿部慎之助監督から打撃指導を受け…

松井氏&阿部監督の指導を受けた翌日に活躍「2安打できたのは良かった」

 巨人の宮崎キャンプは11日、サンマリンスタジアム宮崎で紅白戦が行われ、前日10日に松井秀喜臨時コーチ(ヤンキースGM付特別アドバイザー)、阿部慎之助監督から打撃指導を受けた秋広優人内野手が、先制打を含む4打数2安打1打点と活躍した。身長200センチ、21歳の大器は一気に開花へ向かうのだろうか。

 白組(1軍主体)の「3番・左翼」でスタメン出場。第1打席では紅組(2軍主体)先発の松井楓投手から右前打を放った。3回1死満塁での第2打席は、直江大輔投手の前に遊ゴロ併殺打。そして両チーム無得点で迎えた5回2死一、二塁の好機で、育成右腕エルビス・ルシアーノ投手の148キロ速球にバットを折られながら、打球はゴロで中前に達し、先制点をもぎ取った。

 秋広は「昨日、松井さんに長い時間ご指導をいただいて、2安打できたのは良かったと思います」と感謝。それでも「タイミングとか、細かい動きは全然できていない。まだまだ練習が必要だと思います。もっともっといい形にできるように頑張りたいです」と口元を引き締めた。

 これまで耳より高く構えていたグリップの位置を下げ、トップの位置も低くなった。身長200センチの秋広がさらにトップを高く取ってバットを振り下ろすと、ボールに対して急角度で当たることになるため、「(地面に対して)バットを平行に出していった方がいいとアドバイスをいただきました」と秋広は説明する。

 もちろん、試合での結果はともかく、どれだけセンス抜群の選手であっても、たった1日の指導で打撃がガラリと良くなるほど、野球は甘くない。自分に合った打撃フォームを探して試行錯誤し、体になじませるのにも気が遠くなるような反復練習が必要だ。

 松井氏は「形というものは、すぐに身についたりはしないです。たまたま今日ヒットが出たりというのはあったかもしれませんが、彼なりにどう取り組んでいくかは、彼次第だと思います」と語り、「練習では(課題に取り組む意図が)十分感じられましたよ」と頷いた。

阿部監督「継続してやってくれたらうれしい」

 一方、阿部監督はなかなか手厳しい。紅白戦終了後の会見で、秋広の2安打について「決していい当たりではなかったけれど、ヒットはヒット。本人の気持ちは楽になると思います」と評しつつ、報道陣から「昨日指導したポイントは実現されていたか?」と聞かれると、「いや、できていないです」と一刀両断した。

 阿部監督はキャンプ期間中の実戦練習では、結果を残すことより、自分の課題に真摯に向き合い、失敗を恐れずに、普段取り組んでいることを果敢に試す姿勢を求めている。だから秋広にも「今やっていることを1日寝ても忘れないで、継続してやってくれたらうれしい」と噛んで含めるように言うのだった。

 秋広には、シーズンオフに弟子入りし自主トレをともにしている中日・中田翔内野手の存在もある。多くの一流打者に教わる中で、打撃理論がぶつかることはないのか少し心配にもなるが、そこは「教えてくださる方々は全員が『人それぞれ合う、合わないがある』と言っている。まず自分でやってみて、合うものを取り入れていこうと思います。引き出しが増えていく感じで、自分で考えることが大事かなと思っています」と心得ている。いずれにしても、潜在能力抜群の秋広に寄せられる期待は大きい。

 秋広は紅白戦終了後、前日に続いてラケットで打つ練習に取り組んだ。これも松井氏らに教わった「バットを平行に出す」感覚を養うためのものだ。

 これを聞いた松井氏は「(秋広は)野球選手としてはもちろんだけれど、テニスプレーヤーとしてもいけそうだよね? あの高い打点からのサーブとか、強烈だと思うけどね」と笑わせた。打撃を極める道の厳しさをよく知る松井氏だからこそ、あえてジョークをまぶした気がした。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)