関東学生リーグ戦(リーグ戦)、関西学生リーグ戦をそれぞれ勝ち抜いた計4校が出場し、学生日本一を決める全日本学生王座決定戦(王座)が行われた。早大からは男子フルーレが出場。初戦は同志社大と対戦し危なげなく勝利を収める。決勝では、リーグ戦で敗…

関東学生リーグ戦(リーグ戦)、関西学生リーグ戦をそれぞれ勝ち抜いた計4校が出場し、学生日本一を決める全日本学生王座決定戦(王座)が行われた。早大からは男子フルーレが出場。初戦は同志社大と対戦し危なげなく勝利を収める。決勝では、リーグ戦で敗戦を喫した法大相手に一本勝負を制し、見事日本一に輝いた。


賞状を手に笑顔を見せる男子フルーレ団体の4人(左から竹内、川村、ダグラス、藤澤)

初戦で当たったのは西の王者・同志社大。1セット目からリードを奪い、その後も安定した試合展開を見せる。リザーブ選手の竹内隆晟(スポ1=岡山大安寺中教校)は「試合前全員で緊張するって言っていました。僕は試合に出ることは少ないかなって思っていたんですけど、それでもやっぱり先輩方の緊張が伝わってきたし、こんな大舞台に立てることが初めてだったので緊張しました」と話していたが、それを感じさせないほどチームの雰囲気は明るく、45‐20と大差をつけて勝利を収めた。


ポイントを決め吠える川村

決勝の相手は、前回敗戦を喫した宿敵・法大。リーグ戦後、「このリーグ戦で一番法政を追い詰めたのは俺たちなのかなと思っているので、自信を持って優勝できるように頑張りたい」と意気込んだ川村京太(スポ4=東京・東亜学園)が先陣を切った。しかし相手も1歩も譲らず、なかなか点を取ることができない緊迫した展開に。それでも徐々に流れをつかんだ川村が1試合目を5‐2で制すると、3セット目まで15‐12とリードを保った。4セット目、藤澤将匡(スポ3=宮城・仙台城南)が対戦したのは、4月に行われたフェンシングカップの男子フルーレ個人で準優勝を果たした林祥蓮(法大)。得点できないまま相手に7ポイント連続で奪われ逆転を許した。藤澤は「正直心が折れそうになりかけた」ものの「諦めないで次につなごうという泥臭い思いが自分にはあった」と、最後に2本取ることに成功。17‐20と3点ビハインドであとに託した。


法大・林祥蓮を相手に奮闘する藤澤

次にピストに立ったのは川村。点差を縮めることを考えていたというが、「やっている中でなんかいけそうだな、と思ったので、じゃあ逆転しちゃおうと思ってやってみたら逆転できたので、結構試合中に考えてやれたかなと思います」と2点のリードを奪った。その後も僅差で試合を制した早大。そんな中、8セット目を戦ったビューワーニック・ダグラス(スポ3=埼玉・星槎国際)は「しんどいなという思いがありましたね、正直」と漏らした。ダグラスが1本取ると、相手も粘って1本取ってくるという一進一退の展開。それでも「後ろで我慢してリポストで叩いて取るっていうのができた」と最後は連続で3ポイントを奪い、40‐39で勝利を飾った。


ガッツポーズをするダグラス

そして一本勝負までもつれ込んだ最終9セット目。アンカーを任されたのは川村だった。川村は、何も考えることができない中「勝てる」という強い気持ちを持って臨んだと振り返る。44‐42と、あと1本で優勝が決まるというところで相手に2本連続で決められ同点に。ただ最後は相手の一瞬の隙を突き、念願の日本一を手繰り寄せた。試合を決めた瞬間、3人は川村のもとへ駆け寄り、抱きあって喜びを爆発させた。


日本一を決め抱き合う4人

苦しい展開の中、強い気持ち、我慢、そしてずば抜けたチームワークからつかみ取った日本一。この快挙を自信に、次の大会となる全日本学生選手権(インカレ)制覇に向けてまた新たに歩みを進めていく。

※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

※フルーレ:頭・両足・両腕を除いた胴体部への突きのみが得点となる。 両者がほぼ同時に突いた場合は、どちらの攻撃が有効だったかを主審が判定する。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は攻撃を防御してから攻撃しなければならない。

(記事・写真 槌田花、編集 吉岡直哉)

コメント

――優勝おめでとうございます。日本一を決めた率直な感想をお願いします

竹内 素直にうれしいっていうのがもちろんなんですけど、僕は今回、この試合を通して戦力として活躍することができなかったという悔しさもあって。だから今回は今回で受け止めつつ、 次に向けて今度は自分がチームの力になれるように練習を頑張りたいと思います。

藤澤 いやうれしいですね。やっぱりあんまり活躍は俺はできなかったなと思いますし、実力的にもこの二人には劣ってました。 まあ我慢して頑張ったっていうのはあるんですけど。それでもやっぱり優勝っていうのは自分は初めてなので本当にうれしいです。ありがとうございます。

川村 とってもうれしいです。大学の団体戦で優勝して日本一になるっていうのを目標にしていたので、4年生という最後の年で達成することができてとてもうれしいです。

ダグラス うれしいです。本当にそれ以外何も浮かばないぐらいうれしいです。

――今日のコンディションはどうでしたか

藤澤 悪くはなかったんですけど、やっぱり緊張はありましたね。やっぱり初戦っていうのでガチガチになっていたりだとか、決勝戦で前回負けちゃっているので、そういうのもあって固かったかなっていうのはあります。コンディションは悪くなかったんですけど。

川村 自分はバッチリでしたね。緊張の中で出せる自分のパフォーマンスは全部出せたかな、あれが俺の全力だなと思います。

ダグラス 自分も緊張していたんですけどその中ではベストを尽くせたし、前回できなかった我慢が今回はできて勝てたのでよかったかなと思います。

――同志社大学との対戦も結構緊張していましたか

全員 しました。

竹内 試合前全員で緊張するって言っていました(笑)僕は試合に出ることは少ないかなって思ってたんですけどそれでもやっぱり先輩方の緊張が伝わってきたし、こんな大舞台に立てることが初めてだったので緊張しました。

――個人への質問に移ります。藤澤さんは林選手に結構苦戦したかなと思ったのですが、どのような気持ちで戦っていましたか

藤澤 正直心が折れそうになりかけたんですけど、やっぱり団体戦っていうのもあるので、最後の2本頑張って取れたんですけど、それこそ諦めないで次につなごうという泥臭い思いが自分にはあったので。最後まで諦めなかった結果、最後ちょっと先輩たちが楽できたかなと思うのでそういったプレーも大切にできたかなと思っています。

――その後、川村さんが逆転しましたが意地というのはありましたか

川村 そうですね。逆転するまでは考えていなくて、点差を縮めて次に渡せたらいいなと思っていたんですけど、やっている中でなんかいけそうだな、と思ったので、じゃあ逆転しちゃおうと思ってやってみたら逆転できたので、結構試合中に考えてやれたかなと思います。

――8試合目、ダグラス選手は1本取ったら1本取られてという一進一退だったと思うのですが、意識していたことはありますか

ダグラス しんどいなという思いがありましたね、正直。後ろからも声があったんですけど自分が前に行ってやられてということが多かったんですけど、最後の3点は後ろで我慢してリポストで叩いてとるっていうのができたのでそこは意識しましたね。(前に)行かないっていうこと、後ろで我慢するっていうことですかね。

――竹内さんに伺います。一番しびれた試合はどれでしたか

竹内 やっぱり藤澤先輩が林選手にやられたあとに最後2本しっかり取り切って、川村先輩で逆転できた時はこれは流れに乗ったと思ったし勝てるだろうと思いました。

藤澤 そこなんだ(笑)

――そして最後は一本勝負にもつれ込みましたが、川村さんはどういう思いで戦っていましたか

川村 もう何も考えられない中でなんとなく勝てそうだなっていうのがなんかあって、理由は無いんですけど。そういう強い気持ちを持ってやったので。最後何しようっていうのも考えてなくて、相手の動きを見て自分も動き出そうと思っていたので、もう完全に気持ちの勝ちだったかな、気持ちがちょっと強かったかなと思っています。

――他のお二人は、接戦に勝てた要因は何だとお考えですか

藤澤 全員がお互いをカバーしたりだとか、自分は粘ったりだとか、ダグラスが最後3点連続で取ったりだとか、京太先輩が逆転したりだとかっていう、前回もだったんですけどやっぱりチームワークっていうのが他の大学に比べてずば抜けていたのかなと。 ベンチワークも本当に声出しが他の大学と全然違ったので、ひとえにチームワークかなと思いました。

ダグラスチームとして我慢できたし、 しんどいところもみんなでしんどい思いをしながら頑張って、選手もベンチも。そこを乗り越えてつかんだ勝利っていう感じがしますね。

―竹内さん、先輩方の戦いぶりを見て感想はいかがですか

竹内 やっぱりまだ自分じゃ及ばないなっていうのを改めて感じさせられて、特に最後の法政戦は本当に自分の出る幕がないなって思わされたのが悔しくて。次からはまだいっぱい対戦があると思うんですけど、そこでは自分が試合に出て活躍できるようにこれから一層練習を頑張りたいなと思いました。

――先輩方から見て、 竹内選手の印象、これから期待していることがあればお願いします

ダグラス 来年は川村先輩が抜けて、次の選手になるので、やっぱり大きい選手が抜けた後の代わりっていう風になるので、そこを埋めるまではいかなくても川村先輩じゃなかったからって言われないぐらいは強くなってほしいなって思います。

藤澤 キャラクター性があって、正直可愛い後輩なんですけど、それ以上に努力家で練習も全然休みませんし練習外の所でも頑張っているので、その頑張りプラスアルファで何か自分の中でこれがいいのかなって落とし込めるものを見つけていって来年頑張って欲しいかなって思っています。

川村 最後、自分がいる一年でなるべくいっぱい練習して、死ぬ気で練習してもらってこの一年でかなり強くなってもらって安心して卒業したいなと思っています。

――最後に皆さん1人ずつ次の目標をお願いします

藤澤 もちろんインカレ優勝ですよね。

――同じくですか

ダグラス そうです。

川村 自分も全日本学生選手権大会の個人戦と団体戦を優勝して正真正銘全部1番を取りたいですね、ここから。

竹内 チームとしてはもちろん次のインカレ優勝、個人としても次のインカレに出場して上位に食い込めるように練習を頑張りたいと思います。

ありがとうございました!

▽男子フルーレ

早大[川村京太(スポ4=東京・東亜学園)、ダグラス・ビューワ―ニック(スポ3=埼玉・星槎学園)、藤澤将匡(スポ3=宮城・仙台城南)、竹内隆晟(スポ1=岡山大安寺中教校)]優勝

○45-20同志社大

○45-44法大