第3回はジャンプ部門の久保田真知子(スポ2=長野・飯山)、池田光希(スポ1=北海道下川商)。小さいころからお互いを知っていたという2人の対談は和やかな雰囲気で進んだ。スキーに対する「楽しさ」を口にした久保田と、「勝利」への気持ちを口にした…
第3回はジャンプ部門の久保田真知子(スポ2=長野・飯山)、池田光希(スポ1=北海道下川商)。小さいころからお互いを知っていたという2人の対談は和やかな雰囲気で進んだ。スキーに対する「楽しさ」を口にした久保田と、「勝利」への気持ちを口にした池田。全日本大学選手権(インカレ)での活躍に期待が高まる2人にお話を伺った。
※この取材は2022年10月15日にZoomで行われたものです。
「小学生ぐらいから知ってる」(久保田)
――お互いに紹介をお願いします
久保田 1年生の池田光希は、北海道の上川町出身で、高校は下川商業高校です。彼女はすごく小柄なんですけど、食べるのがすごく好きです。びっくりするぐらい食べます。お菓子作りもすごく好きで、前、ようかんを作ったのを分けてもらいました。私も食べることが好きなので、よく食べ物の話をします。和菓子も結構好きだよね。
池田 はい、好きです(笑)。
久保田 競技も同じ種目、スペシャルジャンプです。コンバイント競技の方がちょっと人数が多くて、私たちスペシャルジャンプは2人しかいないので、今はコンバインドと一緒に練習することがほとんどです。光希のことは小学生ぐらいから知ってるので、お互い大体のことは知ってるかなという感じです。
池田 久保田真知子さんは、1つ上の学年、2年生の先輩です。長野県野沢温泉村出身、高校は飯山高校です。先ほど真知子さんからもあったように、ずっと小さい頃からの付き合いなので、大学で一緒になれて、入学した時はすごくうれしかったです。真知子さんはすごく身長が高くて、いつも喋る時は少し上を向いて喋ります。本当にうらやましいなって思いながら(笑)。スタイルがいいので、すごくオシャレに見えます。周りの人よりも「あー、美人だな」みたいな感じです。ジャンプを飛ぶ時も、自分の体格を生かした、ダイナミックなジャンプをしていて、すごくかっこいいなって思います。私生活の面では、食べ物をおいしく食べているところを見るととても幸せな気持ちになります(笑)。おいしそうに食べるんですよ、すごく(笑)。だから、すごくいいなって思います。ようかんを作ったときもおいしいって言ってくれて、うれしくなりました。
――小学生以来というと、かなり長い付き合いですね
久保田 そうですね。都道府県が違うので、一緒に練習することになったのは、大学が初めてなんですけど。でも、北海道とか長野に試合に行けば絶対に会うので、話もする仲ではありました。
――普段の練習や、私生活でも交流はありますか
久保田 私生活は、そんなにずっと一緒っていうほどではないです。でも、練習はみんなで合宿に行くことが結構あるので(一緒にいることが多いです)。
――オフの日はどのようなことをして過ごしていますか
久保田 私は、オフの日はベッドでゴロゴロしてるか、友達と遊びに行くかのどっちかですね。
池田 私もオフの日は布団に居座っています。あとは、サイクリングが好きなので、自転車に乗ってどこか遠くに行っています。北海道にいる時は、ロードバイクに結構乗っていたんですけど、こっちにはロードバイクを持ってきてないので、ママチャリで川越に行ったり、立川に行ったり。立川に、買い物に行く感覚で行ってますね。
――スキーを始めたきっかけを教えてください
久保田 私は、父がジャンプのコーチをしていて、小さい頃から、なんとなくジャンプ台に連れられて、一緒にジャンプを見に行っていました。地元で、小学生ぐらいの時に体験会があって、同級生の友達が結構みんな行ってたので、なんとなく行って、気付いたら始めていました。
――そこからずっとジャンプ一本ですか
久保田 はい。他のスポーツも全然やってこなくて。中学生ぐらいまではなんとなくやってたんですけど、だんだん楽しくなってきて、ここまで続けています。
――池田選手はいかがですか
池田 私は高梨沙羅(クラレ)選手と同じ上川町出身で、沙羅さんのお父さんに誘われて始めたという感じです。スキージャンプっていう競技を全く知らない状態で、スキーもまともにやったことがないのに、すごく大きなスキー場に連れて行かれて、次の週にはジャンプ台に連れて行かれてたっていう感じでした。ほぼ強制みたいな感じですかね。今はすごく楽しいなって思います。誘われなかったらやってなかったです。
――そこから、スキー一本ですか
池田 小学校3年生から6年生の間だけ水泳を少しやっていました。あとは、中学校の部活にスキー部がなかったので、陸上部でした。でも、所属してただけで、たまに練習に一緒に参加していました。
――スキー以外に得意なことはありますか
池田 水泳をやっていたので、泳ぐのは意外と得意かなと思います。あとは、器械体操とか、自分の体を使って、回っちゃう感じのことも割とできます。
久保田 私は、スポーツはあんまり得意ではなくて、本当にスキー以外何もやってこなくて、球技とかもそんなに得意ではないです。どちらかといったら、小さい頃にピアノを習っていたので、たまにリフレッシュで弾いています。結構音楽が好きです。寮で同じ部屋の先輩、本田千佳(スポ3=秋田・花輪)さんがウクレレを持っていて、「一応弾ける」ぐらいになったので、音楽ですかね。
「楽しく切磋琢磨(せっさたくま)し合いながら練習している」(池田)
――続いて早大に入った理由を教えてください
久保田 まず、監督(一戸剛、平11卒=青森・弘前工)がジャンプのコーチでオリンピックに出られていることです。大学に指導者が付いていることを他の大学ではあまり聞かないので。あと、昨年卒業した女子ジャンプの先輩もいらっしゃいました。スキー部はジャンプだけじゃなくて、ランナー(クロスカントリー)やアルペンの選手もすごく強い人たちがいっぱいいて、周りに世界や国内で活躍する選手がいる環境で、私も刺激をもらって強くなりたいなと思ったので、早大を選びました。
池田 私が早大に行きたいなと思ったのは、スキー部の卒業生に、小林諭果さん(平29スポ卒=現CHINTAI)という方がいらっしゃるのですが、その方のお父さんから「大学にもし行くとしたら、早大をお勧めするよ」と声をかけていただきました。そこから大学のことや、スキー部のことをいろいろと調べて、やっぱりすごい選手がたくさんいる中で、自分も刺激を受けて、強くなっていきたいなと思いました。あとは、早大は学業の面でも、栄養やトレーニング、トレーナーのことの勉強が充実しているので、そういうのも踏まえて、早大に入学しました。
――実際に入学してみて、早大のスキー部の好きなところはどこですか
久保田 環境の面では、寮にもトレーニングルームがあります。スキーってなると、埼玉で実際にスキーはできないんですけど、そうじゃないトレーニングをするには、環境は整っています。ローラースキーはキャンパスの周りでもできるようになっていて、ジャンプも似たような道具を使った練習ができる環境があるのがすごくありがたいなと思っています。仲間の面では、みんな目指している位置がすごく高い人が多いので、本当に刺激をもらっています。私は、一昨年にケガをして、昨年はあまり思うようなトレーニングができなかったんですけど、寮にいることで、トレーニングルームで常に誰かが練習をしているので、それを見ていると、私も「こんなんじゃダメだ」、「頑張らないと」ってすごく思います。そういう仲間がいて、環境があるのはすごくいいことだなと思います。
池田 寮にトレーニングルームがあって、キャンパスからも自転車で5分ぐらいと、すごく近い環境で陸上のトレーニングに励めることがいいことだなって思います。あとは、スキー部だけの寮なので、部員同士の仲が深いというか、みんな仲良く過ごしています。楽しく切磋琢磨(せっさたくま)し合いながら練習しているところがすごくいいなって思います。
――ジャンプの練習は、普段大学の授業がある時、どのように行われているのですか
久保田 クロカンの選手たちが行っているローラースキーとは違うんですけど、靴にタイヤがついたインラインスケートっていうジャニーズの人とかがよく歌いながら履いている感じのやつで、実際のジャンプのアプローチ姿勢、助走の姿勢を組んで、感覚をつかむ練習をします。あと、ウエートトレーニング、スクワットとかは寮でもできるので、そういうのをやったり、あとは陸上でキレを出すトレーニング、ハードルジャンプとか、ちょっと軽いサーキットで少し心臓をあおったり、ランニングをしたりっていう感じです。
――陸上部みたいな感じですか
久保田 そうですね、体の使い方の練習とか、技術が大事なので。週末は長野とかに行って、ジャンプをしています。夏も飛べるので飛ぶんですけど、飛べない期間にその感覚の調整を行ったりしてます。
――昨シーズンの全体の成績や調子を振り返っていかがですか
久保田 昨シーズンは、入学する前に手術をして、前期はずっとリハビリでした。10月ぐらいにようやく復帰してジャンプをまた飛び始めたんですけど、あんまり膝の調子も良くなかったです。成績も出ず、リハビリして飛んで休んで飛んで休んで、みたいなのが続いていました。一応、2月にあったインカレでは、出場人数は少なかったですが、優勝することはできたので、それが昨シーズンで一番良かったです。インカレ後の3月の試合も、インカレでいい感覚がつかめて、そこから3月も少しずつ調子は上がってきました。
池田 昨シーズンはまだ高校生だったので、インターハイ(全国高等学校総合体育大会)がありました。その時の成績は7位でしたが、自分の中では割とうまくいったジャンプができていました。そのインターハイが終わった後に行われた試合では、シニアの方が参戦する試合で6位の成績を収めることができました。その時飛んだジャンプ台が、ラージヒルで、国内で一番大きいジャンプ台だったんですけど、その試合ですごくいい感覚をつかめました。最後の方はコロナがはやって、あまり試合に出られていませんでしたが、そのインターハイとそのシニアの大会が一番良かった成績かなと思います。
――今年の夏はどのようなことを重点的に意識して練習してきましたか
久保田 夏も冬と同じくらい試合が続く感じでした。7月から試合が始まったので、それまでの期間はけがしていて、まだ怖い気持ちがありました。気持ちの面で、昨年は体がかみ合わなくて、調子が悪かったので、実際にジャンプ飛ぶことがあまりできませんでした。今年は毎週末、長野に通ってジャンプを飛んで慣れようということを考えました。たくさん飛べば自身にもつながるので、技術の面ももちろん意識したことはありましたが、心を強くしようというか、気持ちの面で負けないようにたくさん飛んで自信をつけるようにしました。
池田 今年の夏は、高校の時と比べてウエートトレーニングを重点的にすることと、瞬発力を上げることを目的として練習をしていました。でも、あまり噛み合っていませんでした。それが最近、体の使い方とかにも重点を置いて練習の中で、自分のジャンプの上でやりたい動きが見つかって、それをジャンプ台でやるのがすごく楽しみな状態になっています。
「すごくスキーが楽しくて、好きでやっている」(久保田)
――ご自身の競技における強みは、なんだと考えていますか
久保田 ちょっと難しい(笑)、強みですか…。身長は、競技をやっている女子選手の中ではある方です。身長がある方が面積があり得られる浮力は大きいので、光希が言ってくれたように身長を生かして、ダイナミックに。空中での進み、って言ったらいいんですかね。直すところがいっぱいなので、「これが私の強みです」と言い切れるところはちょっとまだないんですけど。身長を活かしたジャンプができるというか、ちょっと難しいです。
池田 私が自分のジャンプで強みだと思うのは、助走姿勢の時に、速いスピードで滑ってこられることです。あと、空中姿勢が安定していて、大会の時に空中の姿勢に点数を付けられるんですけど、その点数が基本高いことかなと思います。着地のときもあまり崩れたりしないので、安定してるかなと思います。
――インカレの会場である鹿角(秋田・花輪スキー場)の印象はどのようなものですか
久保田 昨年もインカレが鹿角であって、その時すごく久しぶりに鹿角に行きました。この間も鹿角でサマーの試合があったので行ってきました。夏の試合は中学生ぶりくらいでした。冬は(昨年の)インカレで初めて冬のジャンプ台を飛びました。すごく飛びやすい感じはありますが、私の苦手意識のある着地で以前ケガをしてしまいました。着地がちょっと怖いなっていうのがあります。この間、夏に飛んだ時もちょっと怖いなというかビビって飛んでしまった部分がありましたが、ジャンプ台自体は結構好きな方かなと思います。
池田 私は冬の鹿角をまだ飛んだことがありません。何年か前に、助走路が工事されていて、感覚が少し夏でも違いました。私は鹿角は割と好きなジャンプ台です。ジャンプ自体は、夏よりも冬の方が得意なので、その好きなジャンプ台と得意な冬で、好きなジャンプを飛んだらうまくいったりするのかな、楽しみだなっていうのが本音です。
――続いて、インカレの目標や、意気込みをお願いします
久保田 目標はもちろん優勝です。昨年優勝しましたが、今年の方が選手も増えてみんな出場すると思うので、その中でもしっかり自分のベストのジャンプをして、2連覇できたらなと思っています。
池田 私ももちろん、やはり大会に出るからには優勝したいです。あと、優勝するのも目標ですが、やはり真知子さんと一緒に練習しているので、インカレではワンツーを取りたいなって思います。
――最後に色紙に文字を書くとしたらどんな言葉を書きますか
久保田 私は「笑顔」です。すごくスキーが楽しくて、好きでやっているので。大会の時はいつも「あれしよう」「これしよう」って考えちゃうんですけど、最終的にはやっぱり楽しく飛ぼうって考えています。楽しい時は、結果もついてくるので、笑顔で飛べたらいいなと思います。あと、私自身が楽しく飛んで、結果が出ると、いつも支えてくれる両親や友達におめでとうって喜んでもらえるので、「笑顔」を選びました。
池田 2つで迷っているんですが、1つ目が「どうせ飛ぶなら世界一」です。私が以前所属していた下川のスローガン、座右の銘が「どうせ飛ぶなら世界一」というものだったので、気に入っています。2つ目が「腐らず地道に」です。あまり今まで自分が納得するようなことがあまりなくて、それでも途中でやめたり、投げ出したりせずにここまで続けてきているので、腐らず地道に競技を続ければ、結果で報われる時が来るんじゃないかっていう意味です。
――ありがとうございました!
(取材 堀内まさみ 編集 田島璃子氏、堀内まさみ)
◆久保田真知子(くぼた・まちこ)
長野・飯山高出身。スポーツ科学部2年。熱中しているものは韓国ドラマ。見始めたら止まらなくなり、暇さえあれば韓国ドラマを見ているそうです。2年生ながらジャンプ部門のチーフ務める久保田選手。インカレでは久保田選手のすてきな「笑顔」が見られることでしょう!
◆池田光希(いけだ・みき)
北海道下川商出身。スポーツ科学部1年。熱中しているものは取材当時、始まったばかりだった『PICU』というドラマ。池田選手の地元・北海道が舞台となっていて、地元が恋しくなったそうです。初のインカレとなる池田選手のジャンプに注目です!