第2クールの初日、今季から抑えに転向する東北楽天ゴールデンイーグルスの則本昂大がブルペンで変化球を交えて106球を投げ込み、ペースを上げてきた。 昨季まで2年連続でセーブ王に輝いた松井裕樹が大リーグに移籍。今江敏晃新監督が真っ先に決めたの…

 第2クールの初日、今季から抑えに転向する東北楽天ゴールデンイーグルスの則本昂大がブルペンで変化球を交えて106球を投げ込み、ペースを上げてきた。

 昨季まで2年連続でセーブ王に輝いた松井裕樹が大リーグに移籍。今江敏晃新監督が真っ先に決めたのが、その後釜だ。通算114勝を誇るエースも意気に感じ、役割変更に迷いはなかった。

 抑えに求められる才能の一つは空振りを奪えるか。2014年から5年続けて最多奪三振に輝いた右腕も33歳になる。タイトルを取ったシーズンはいずれも奪三振数が投球回数を上回ったが、昨季はチームで唯一、規定投球回数に達する155回を投げたものの、奪三振数は111個にとどまった。短い回なら剛腕が復活できる、という監督の狙いがある。

 本人も自覚し、この日はセットポジションよりも振りかぶって投げる球数が多かった。「(球に)勢いをつけたい。そこがなくなれば『出力』は下がってくると思う。球威や勢いが大事」と狙いを説明する。

 スローカーブも交え、持ち球の感覚も確かめた。ピンチの場面で緩い球を投じるのは容易ではない。それでも、「緩い球は投げる勇気が必要だが、その勇気があるかどうかだけ。打たれたら悔いが残るかもしれないが、そこは投球の精度で何とかカバーできるところだと思う」。プロ12年目を迎える経験を頼りにする。

 「投球フォームのバランスやタイミングがばらけているところがあるが、一致すれば高い『出力』でいける」。2年連続のBクラスから抜け出す鍵を握る右腕に、充実感があふれている。=金武(笠井正基)