別れの春がもうすぐ。昨夏の甲子園の出場校でも選手たちがそれぞれの道を歩みだそうとしている。■1試合2本塁打で逆転勝利 「4年後にドラフト1位でプロ野球選手になれるよう頑張ります」 1月25日の山梨県高校野球連盟の理事会で、日本学生野球協会…

 別れの春がもうすぐ。昨夏の甲子園の出場校でも選手たちがそれぞれの道を歩みだそうとしている。

■1試合2本塁打で逆転勝利

 「4年後にドラフト1位でプロ野球選手になれるよう頑張ります」

 1月25日の山梨県高校野球連盟の理事会で、日本学生野球協会が選ぶ優秀選手の表彰を受けた東海大甲府高校の兼松実杜(みつと)さん(3年)は、受賞のあいさつでこう宣言した。

 高校野球生活で最も印象に残る試合としてあげたのは昨年夏の山梨大会準決勝の甲府工戦。自身初の1試合2本塁打を放って逆転勝ちした。優秀選手に選ばれたのも、この大会での活躍が評価されたと思っている。一番うれしかったのは、山梨大会で優勝して甲子園出場を決め、みんなでマウンドに駆け寄った時だ。

 一方、最もつらい経験は、2年生の新チームで主将に指名された後の年末ごろ。寮生活で時間の規則を守れないことがあり、「主将はグラウンド外でもみんなの手本にならなければ」と考えていたのに、自信を失ってしまい、主将を辞めようと思い詰めたことだという。

 しかし、仲間が「主将は兼松だ」と支えてくれ、立ち直った。「あれでスイッチが入り、自分が変わるきっかけになった」。その後は主将としてチームを引っ張り、「思いやりや心配りを学ぶことができ、人間として成長できた。主将をやって良かった」と振り返る。

■ベストナインと首位打者を狙う

 主将として出場した甲子園での試合は、接戦に持ち込んだが初戦負け。強打でならす兼松さんも5打数1安打で「自分の打撃ができず、九回のチャンスで打てていればと悔いが残る」。

 その悔しさは大学野球にぶつける。強豪の東海大で1年生からレギュラーで出場し、そのうえで、ベストナインと首位打者のタイトルもめざしたいという。

 目標とする選手は「自分の打撃スタイルから」鈴木誠也選手(米大リーグのシカゴ・カブス)だ。兼松さんも「(日本の)プロ野球で活躍できれば、さらに上の舞台でやりたい気持ちはある」と夢は広がる。

 山梨の高校球児には「山梨学院が昨年の春の選抜で優勝したので、特に夏の日本一をめざして頑張って欲しい」との言葉を残してくれた。