透き通る晴天のもと行われた新人戦ウィンターステージ。今大会は12月4日のブロック予選、12月25日の決勝トーナメントの2日間に分けて開催された。初のフルコートでの公式戦なったが、早大の未来を担う1年生たちが躍動。初戦の慶大戦の勝利を皮切り…

 透き通る晴天のもと行われた新人戦ウィンターステージ。今大会は12月4日のブロック予選、12月25日の決勝トーナメントの2日間に分けて開催された。初のフルコートでの公式戦なったが、早大の未来を担う1年生たちが躍動。初戦の慶大戦の勝利を皮切りに連勝すると、決勝では4年生の敗れた武蔵大に見事勝利を収め、6年ぶりとなる優勝を飾った。


フェイスオフの安定感も大会を通して光った

 初戦の相手は宿敵・慶大。前後半それぞれ10分間という短期戦ということもあり、互いに積極的にショットを放つ展開が繰り広げられる。その中で、勝負を左右する重要な先制点は慶大に入る。早大ディフェンスの一瞬の隙をついたスタンシューがゴールに吸い込まれ、慶大が1点をリードする。同点に追いつきたい早大であったが、慶大の激しいディフェンスと緊張からかミスを連発。なかなか思うような攻撃ができない時間が続く。敗北のふた文字が頭をちらつく中、M F樫尾拓斗(政経1=アメリカ・テナフライ)が流れを変える。慶大ディフェンスの寄せが甘くなった一瞬、スタンシューを相手ゴールに突き刺し同点に追いつく。さらに、終了間際に、樫尾からのパスを受けたA T永岡秀斗(創理1=東京・早実)が勝ち越しゴールを決め、宿敵との激戦を制した。この流れのまま、ブロック予選2戦目大東大・国士舘大・埼玉大の連合チームとの試合に4―0と快勝を収める。この2試合の結果を受け、早大はブロック予選を突破し決勝ステージへと駒を進めた。


境内との激戦を勝利し喜びをあらわにする

 決勝ステージ初戦の相手は筑波大・日体大の連合チーム。この試合は互いに1点を奪い合うものの決勝点を上げられず延長に突入する。先に1点を挙げた方が勝利するサドンビクトリー、A T永岡のゴールで早大が勝ち越し準決勝へと進出した。第1日に続き、激戦となった初戦を勝ち切ったことで勢いづいた早大は準決勝で青学大を終始圧倒。3―0と完封勝利を収め決勝進出を決めた。迎えた決勝戦、相手は4年生が敗北した武蔵大。この試合でも若き早大選手たちは躍動する。前半に2ゴールを決め、流れを掴むと、後半は慶大戦のヒーロー樫尾が圧巻のパフォーマンス。後半開始直後に相手を突き放す得点をあげたかと思えば、1点を返された直後にもワンワンから相手をかわしてゴールを決め後半だけで2ゴールの活躍。相手に反撃の糸口を掴ませない試合運びで武蔵大にリベンジを果たした。


ゴールをチーム全体で喜ぶ姿も目立った

 6年ぶりの優勝となった早大。優勝の要因となったのは層の厚さだ。試合後小菅英祐新人担当コーチ(平28基理卒)が「全員で力を合わせて総力戦という形で優勝という結果を出せて本当に良かった」と振り返るように、試合間の短かった今大会は選手全員で勝ち抜いて行った。4年生の果たせなかった『全日制覇』という目標に向けてまだまだ課題は多い。それでも、今大会で躍動した1年生たちは早大の誇りを胸にさらなる成長を続けていく。

 (記事、写真 山本泰新)

 ▽ブロック予選 ◯早大2ー1慶大(樫尾拓斗、永岡秀斗)

 ▽ブロック予選 ◯早大4ー0大東大・国士舘大・埼玉大(杉浦寿春、山崎創太、鳥海恭平、坂本直追弥)

 ▽準々決勝 ◯早大2ー1日体大・筑波大(服部将也、永岡秀斗)

 ▽準決勝 ◯早大3ー0青学大(今井誠吾、鳥海恭平、樫尾拓斗)

 ▽決勝 ◯早大4ー2武蔵大・学習院大(樫尾拓人2、服部将也、杉浦寿春)

コメント

D F野口亮学年キャプテン(創理1=東京・早大学院)

――今日の2試合を振りかってどうでしょうか

今とにかく勝てて良かったと感じていますね。練習試合等でなかなか結果が出ていなかったので、苦しい試合展開になって予選突破自体が怪しいと思っていたので、その時に大会自体で結果を出せて良かったなという感じです。

――1試合目にミスが目立ちましたが、それは緊張からくるものなのか、それとも慶大のプレッシャーが厳しかったことによるものなのか、どちらの方が強いでしょうか

緊張と試合前にうまくアップができなかったことも要因だと思いますね。試合前にボールを使えなかったのが大きいと思っていて、それで体が慣れる前に試合に入ってしまって、パスミス、キャッチミスが続いてしまったのかなと思います。

――パスミスからちょっと失点を与えた後、うまく切り替えて逆転に繋げられたと思います。逆転できた要因はどのようなところにあると思いますか

ディフェンスなのであまりわからないのですが、A TとM Fが最後まで諦めずに続けたことですかね。後半のあのタイミングで0―1になったのは辛かったのですが、試合時間も残っていたのでオフェンスの一人一人が諦めずに点を取りにいったことが、最後2点決めきって勝ちに繋がった要因だと思います。

――1年生はどういう雰囲気の代なのですか

仲のいい代ではあると思いながらも、個性的な人が多いと思います。まとめる時も、人数が多いので片方によると一気に流されてしまったりして、一癖二癖もある人が多いので引っ張るのが少し大変な代ですね。

――決勝トーナメンへの意気込みをお願いします

今回の結果に油断せずさらなる高み、優勝に向けて努力していって決勝トーナメントでは早稲田の名を背負っている分、優勝という形で結果を出したいと思います。

小菅英祐新人担当コーチ(平28基理卒)

――今日1日3試合を振り返ってどうでしょうか

マジで疲れました笑

――どういったところで疲れましたか

まず、選手に関しては3試合連続で試合間の時間も短かったので、足をつるなり、体力を削られるなり、そういう選手がたくさんいる中で、ほんとに選手たちの疲労が溜まっている中でよく戦ってくれたと思います。体力を削られた中で、選手をやりくりするのが大変で、それを僕がやっていたのですがそれがとにかく疲れましたね笑

――全部の試合で得点力が上がっていきましたが、試合間にオフェンスに対して特別な指示を出したりしたのでしょうか

オフェンスを改善していこうというのはそこまでなくて、相手に合わせて自分たちのやるべきことをやっていこうと。スカウティングをしっかり行なって分析通りに戦えたのが結果に繋がったのかなと思っています。

――小菅コーチから見て1年生はどういうチームですか

1年生は全員で力を合わせて、仲良くやるのがいいところだとは思いますが、ただお互いに厳しく言い合って空気を占めるところはまだまだだと思うので、来年以降そこは頑張ってもらえたらなと思います。

――このチームの強みはどういったところにあると思いますか

強みは層の厚さかなと思います。やっぱりこのコロナという中で新歓も大変だったんですけれど、それでもこれだけの人数が入部してくれて、全員で力を合わせて総力戦という形で優勝という結果を出せて本当に良かったので、そこはこのチームの強みかなと思います。

――逆に今後改善していくべき課題はなんでしょうか

このウィンターの優勝はコーチとか教えてくれた4年生の力が大きかったので、来年以降は自分たちでしっかり考えて、お互いに高めあって上を目指していくというところを頑張っていってほしいですね。

――ウィンターステージまではどういう準備をしてきたのでしょうか

ウィンターステージまでは8月くらいまでミニコートでの練習をしてきて、9月くらいからフルコートの練習や試合になりました。そこから1から作り上げていくというのを9月から始めて、10月11月は練習試合をたくさんやったのですが、それでも全然結果が出なくてウィンターステージ1週間くらい前まで、やりたいことは明確だったのですが、それを徹底できないというところが課題でした。それを1週間で修正してさらに精度を上げてこの決勝を迎えることができたので、どんどんどん精度をあげることができたので良かったのかなと思います。

――最後にベタではありますが、優勝した気持ちをお聞かせください

最高の一言です!

元植 宣宏学生コーチ(社4=東京・早大学院)

――今日の3試合を振り返ってどうでしょうか

全部の試合がハラハラドキドキだったです。全試合相手が強かったので、もしこっちが気を抜いてしまったらすぐに負けてしまうなという危機感を常に感じさせる相手でした。

――緊張感のある試合を全て勝ちきれたというのはどういったところに要因があったのでしょうか

選手たちが自立できていたところかなと思います。選手たちが自分たちで考えて優勝に向かって戦うことができたことが一番大きかったのかなと思います。

――元植コーチからみてこの1年生という代はどういった代ですか

ラクロスをすごく楽しんで気ままにやっているけれども、最後締めなくてはいけないところは締める代ですね。4年生が引退してからずっと教えてきたので、本当に平野組の子どもじゃないですけれども、ちゃんと平野組の血を継いでいるなという感じです。

――4年生が果たせなかった全日優勝という目標に向けて1年生が伸ばしていかなければならない課題などはありますか

僕が思うに各個人全員が思考力を持つことかなと。まだまだ、トップ層が引っ張っているかなと思うので、一番下までしっかりと意識を持ってラクロスを取り組むことができれば、社会人クラブにも勝てるチームになるかなと思います。

――最後に4年生として後輩たちにかける言葉があるとすればどういった言葉になると思いますか。

まぁいつも言っていることではありますが、ラクロスを楽しんで4年間を過ごしてほしいなと思います。

浅見 真斗学生コーチ(商4=東京・城北)

――今日の3試合を振り返ってどうでしょうか

優勝できると思える状態は保てていたので、あとはコーチ自身がやばいと思える状況でもそれを見せないということを意識してやっていました。危ないと思えること自体があまりなかったかなと思います。

――今大会で一番危ないと感じた場面はどこだったのでしょうか

それが本当になかったですよね。決勝で3―1にされて流れが持ってかれかけた時にはやばいと思いましたけど、自分がやばいと思うよりもボックスがそういう雰囲気がなかったのでそこは良かったかなと思いますね。

――予選ブロックから決勝ステージまで時間が空いた中でどう言った準備をしてきたのでしょうか

3連戦というのがあらかじめわかっていたので、体力面であったりや、スタメンは自分たちで自立してできるのですが、M Fのセカンドセット、サードセット、アタックの控えの選手たちの成長に重きを置くこと、他にもクリアライドの精度を向上させるところを重点的にやってきました。

――今大会を通じてそこまでクリアに苦しんでいるという感はありませんでしたが、その辺りはどうでしょう

クリアは練習試合の時は苦しんでいて、正直そこでオフェンスに繋げられるのかというところは不安だったのですが、そこを練習でランクリの仕方とか、周りの動きはどうすればいいのかというところと、単純にパス技術が3週間で伸びたのでランクリができなかったところで大丈夫というのが精神的に大きく作用してうまく行けたのかなと思います。

――浅見コーチから見てこの1年生の代とはどういうチームですか

ラクロスをとにかく楽しんでいる代だと思います。それがプラスかなというところと、マイナス面は継続力が弱いとか、お互いを指摘し合うとかオンオフの切り替えが悪いとかそういうところが結構ありますね。ちょっと幼稚なところはありますけれども、逆にそれはプラスかなと思っていて、幼稚だからこそいろんなミスもするし、よくないことが露呈するけれどもなぜそれがダメなのか考える機会があるので、だからこそ強くなったのかなと思いますね。結局プラスみたいな笑

――1年生が全日優勝に向けて伸ばしていかなければいけないところはどう言ったところですか

圧倒的にこの技術力ですかね。今年のウィンターは組織というか、システムやチームのマネジメントのところで勝ったと思っているので、もちろん選手個人の能力は高いは高いのですが、他の大学のめちゃめちゃ上手い選手に比べて、うちのチームの選手はこの技術力の部分での成長が一番重要かなと思います。

――4年生として後輩たちにかける言葉をお願いします。

フルフィールドになって初めてのウィンター優勝という偉業を成し遂げたので、ここを自分たちの自信として4年後羽ばたいてほしいなと思います。すごく苦しんだ時期もあって、こんなことをやっていて意味があるのかと思うこともありましてが、こうして結果として証明できたのでこういう風に苦しい時間があっても最後優勝できるんだと思って、4年間という広いスパンで考えてやってほしいなと思います。それで強い早稲田を再び取り戻してほしいなと思います。