『3年生が強いチームは強い』、大学スポーツでよく聞かれるこの言葉はラクロスという競技にも、もちろん当てはまるだろう。そして早大ラクロス部にも各ポジションにチームを引っ張る3年生トリオがいる。AT永岡秀斗(創理3=東京・早実)、MF森田翔…

  『3年生が強いチームは強い』、大学スポーツでよく聞かれるこの言葉はラクロスという競技にも、もちろん当てはまるだろう。そして早大ラクロス部にも各ポジションにチームを引っ張る3年生トリオがいる。AT永岡秀斗(創理3=東京・早実)、MF森田翔吾(法3=東京・早大学院)、DF田中進士(商3=神奈川・桐蔭学園)の3人だ。第2回の対談では、そんな3人に3年生としての役割、そしてチームへの思いを存分に話して頂いた。

※この取材は7月1日に行われたものです。

「当時の主将の熱さに惹かれてラクロス部を選んだ」(森田)


早慶戦で優秀選手に選ばれたMF森田

 

――選手の方から見て右隣の方の紹介をお願いします

田中  永岡秀斗選手です。3年生でATというポジションをやっています。3年生の中では、ATを引っ張る立場で、プレイ面では申し分なく頑張ってくれています。性格の面ではお茶目な一面があって、そこの部分でいい意味でも悪い意味でも影響力を持っています。

永岡  森田翔吾選手です。彼は1、2年の頃は実力が伸び悩んでいて、試合に出ることもあまりなかった選手です。ただ、3年生の早慶戦(早慶定期戦)前から実力が伸びてきて、今ではもう来年のMFリーダーじゃないのかという声が出ています。

森田  田中進士選手です。彼は2年生の頃からAチームのリーグ戦(関東学生ラクロスリーグ戦)で活躍していて非常にフィジカルが強い選手です。性格面では、非常に明るくて元気なこともあって部のムードメーカーとしてチームを盛り上げてくれています。

――続いて、ラクロスを始めたきっかけを教えて下さい

田中  最初はラクロス部に入ることを決めていたわけではなかったです。コロナの時期も重なってサークルの新歓もやっていなくて。高校がハンドボール部だったので、ハンドボール部かどこか部活に入ろうかなと思っていた時にビラ配りでラクロス部に声をかけてもらいました。それで一回体験会に行ったのですけど、学生コーチの方がすごくいい人でしたし、また、僕は同期が多い組織に入りたかったので、ラクロス部への入部を決めました。

永岡  自分はサッカーやフットサルの新歓に結構行っていました。すごく楽しかったのですけど、ラクロス部の体験に行った時に先輩から、「4年後に何か残るものの方がやっぱり達成感がある」という言葉を頂いて。人生で一番自由な4年間で何かに全力で取り組んでみたいというのが理由です。

森田  僕は友達からの紹介でラクロスを知りました。当時の主将(AT平野義大、令4社卒=東京・早大学院)が自分の高校の同じ部活の人でした。その主将の話を伺って、その熱さに惹(ひ)かれて入部することを決意しました。

――今のポジションを始めたきっかけはありますか

田中  最初は皆、MFをやるのですけど、オフェンスが苦手でした。学生コーチの方からディフェンスやってみたらと言われてやってみたらうまくいって成り行きでという感じです。

永岡  学生コーチの方にATは一番花のあるポジションということを伺いました。点を取ることが多くて、チームを波に乗せることができるという点で、自分の性格的にガツガツいくのがすごく好きなので向いているなと思ってATを選びました。

森田  自分のポジションは結構、シュートを打つポジションでシュートが得意だったのもあってMFを選びました

――やられているポジションの面白さはありますか

田中  ボディコンタクトが一番多いポジションなので、熱く激しくかつ楽しくやれるところです。

永岡  先ほどの答えと似ちゃうのですけど、花形のポジションで一番点を取ることができるところです、どのスポーツも点を取るのは楽しいことだと思うので。

森田 オフェンス、ディフェンスどちらも機会があることです。ATとDFはどちらしかできないので、両方できるのは魅力なのかなと思います。

永岡  器用な選手ですね。

森田  はいすごく器用な選手です(笑)。

「3年生は角張った人が多い」(田中)


失点後も前を向くDF田中

 

――自分のプレイの強みや注目してほしいところはありますか

田中  やはり、競った時の激しさというかチェックアップしたところに注目してくれればなと思います。

永岡  自分は得点力というところで、チームの中でもトップレベルに点を取っていくのでそこに注目してほしいなと思います。

森田  自分の強みはシュートです。ただ課題として、左手のシュートは得意なのですけど右手のシュートがなかなかうまくいかないところがあります。ですので、左手で上手くいった部分をノートなどに原稿化してまとめて高い再現性を見せられるようにしたいです。

――4年生はどういった存在ですか

田中  去年も自分はAチームでやらせていただいたのですけど、距離は近いです。学年の垣根がなく、和気あいあいと一致団結しているところはいいところなのかなと思います。

永岡  仲が良くてとても頼りがいのある学年です。ただ4年生は新歓がコロナで行われていなくて、人数が少ないので自分たちも主力として引っ張らなくてはいけないと思っています。

森田  4年生については同じです。特に、すごく主将が(AT山﨑大暉、政経4=神奈川・鎌倉学園) は熱い人で求心力があって、着いていきたくなるような人なので尊敬しています

――3年生の雰囲気についてはいかがですか

田中  個性が強い人が多いです。各々の特徴を生かしたプレイや、ムードを作る点でも特徴の多い角張った学年だと思います。

永岡  1年生の頃から、当時の4年生の平野組の代からこの学年は結構やばいと言われていて。人数が多い分、個性豊かなことはすごくいいことでもあるのですけど悪いところもあるのかなと思います。

森田  同じです(笑)。

――仲が良い先輩はいらっしゃいますか

田中  4年生は基本皆仲良くさせてもらっています。

永岡  自分もみんな仲が良いのですけど、植村さん(MF植村竜也、社4=東京・早実)は出身が早稲田実業高校で一緒というのもあって、仲良くさせてもらっています。

森田  自分は杉本衡副将(MF杉本衡星副将、人科4=神奈川・桐光学園)です。去年からBチームで一緒にやってきたので色々教えてもらっています。

――注目している下級生はいらっしゃいますか

田中  同じポジションで関東ユースにも選ばれている中原健太くん(DF中原健太、商2=東京・早大学院)という子がいるのですけど、彼にはすごく期待しています。

永岡  小川隼人くん(AT小川隼人、政経2=東京・早実)が同じ高校というのもあって期待しています。グラボ(グラウンドボール)や1on1が強い選手なので、自分たちの代が上になったときに下から追い上げてほしいという気持ちもあります。

森田  寺田くん(MF寺田颯一郎、商2=東京・攻玉社)です。DMF(ディフェンスミディ)なのですけど、シュート力もあってオフェンス力が高いので注目しています。

「4年生には笑って引退してほしい」(永岡)


混戦から抜け出しボールを持ち出すAT永岡

 

――今シーズン振り返って、チームの成績はいかがですか

田中  4年生が少ないこともあって、実力面では例年よりも下がってしまうのでその分練習量でカバーしようという話になっています。六大戦(東京六大学交流戦)は準優勝まで行けたのですけど、早慶戦ではちゃんと負けてしまったので。各ポジションずつ課題をしっかり割り出して克服しているという最中です。

永岡  今年の試合の成績はあまりよくないかなと思っていて。今までは圧倒的に強い早稲田だったのですけど今年は結構他大学とも拮抗(きっこう)しているという印象です。あとケガ人が多くて強度が下がっているというところがあるので、ケガしている選手はしっかり治して、リーグ戦から巻き返していきたいです。

森田  自分も今ケガをしていてチームに貢献できていないので良くないのかなと思います。

――ご自身の結果についてはいかがですか

森田  前半シーズンケガが多くて、あまり練習できていない期間が長かったのですけど、六大戦の東大戦から調子が良くなって。そこから自信がついて精神的に余裕ができたので、プレイもよくなりました。ですので、これを継続していきたいです。

永岡  六大戦では得点が取れて調子が良かったのですけど、そのころからケガをしていて。半月板の損傷で試合も半分しか出られていない状況で、今も腰の分離症でもう1、2カ月やれていないです。リーグ戦の初戦には間に合わないので、2戦目からの参加になると思います。ケガが多くてチームに迷惑をかけているので、リーグ戦ではチームに貢献したいです。

田中  ディフェンスのユニット自体が、下級生が多い状況で、個人としてチームを引っ張る立場になって去年とのギャップに苦しんでいて、理想に近づけないというところに悩んでいました。

――今、田中選手がおっしゃったような前半戦で得た課題はありますか

森田  前半戦の総決算として、早慶戦があったのですけど、大敗してしまって敗因は何かと分析したときに個人の力で劣っていたなと感じました。ですので、リーグ戦に向けてさらに個々の力を伸ばしていきたいです。

永岡  AT陣は特に、自分、ATリーダー(AT松尾昇太、法4=埼玉・早大本庄)、主将を始めケガ人が多くて、オフェンスをコントロールできる人がいないで良い結果が残せなかったので。先ほどと被るのですけど、ケガの多さを改善できたらなと思います。

――逆に成長できた点や収穫はありますか

森田  先ほど強みはシュート力と言ったのですけど、そのシュート力をこれまではあまり試合で活かせていませんでした。ただ、前半シーズンで、自分の中で確立できたのかなと思います。

永岡  今まではチームで点を取るという考えが今までは強かったのですけど、個人でも点を取れるようになったところです。

田中  チームのディフェンスの形がそこまで完成していなかったので、逆に人の入れ替わりを含めていろいろな型を試すことができたのは良かったなと思います。

――ラクロス部で2年以上過ごしてきて、辛かったことや楽しかったことなど思い出はありますか

森田  今シーズンの初めのほうは、4年生が少なくて自分たちが出るということで責任感に押しつぶされそうになりそうな時期もあったのですけど同期の支えもあり何とかここまでやってくることができました。

永岡   自分は結構楽しい思い出が多くて、特に楽しかったことはウインター(新人戦ウィンターステージ)優勝です。学生コーチと一緒に戦う最後の戦いだったので、そこで日本一になれたことはすごく楽しい思い出です。

田中  ウインター優勝もそうですけど、去年ファイナル4(関東学生リーグ戦ファイナル4)で下馬評では勝てると踏んだ相手に1点差で負けてしまったので。すごく悔しい思い出で、今年絶対に全国優勝まで頑張りたいです。

――最後にリーグ戦への意気込みをお願いします

森田  個人としては関東のベスト12に選ばれるということで、チームとしては全国優勝というところを目指してやっていきます。

永岡  個人としては2つあってまずはケガをしないでリーグ戦の最後まで走り切るのと、リーグ戦全体の得点王を狙っていこうと思います。チームとしては4年生が笑って引退できるように頑張っていきます。

田中  ディフェンスのせいで負ける試合がないように組織で頑張ろうというのと、個人としては関東のベスト12に選ばれるようにしたいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 飯田諒、写真 廣野一眞、近藤翔太)


リーグ戦に向けて意気込みを書いてもらいました!

 

◆MF森田翔吾(※写真左)

2003(平15)年1月20日生まれ。180センチ。東京・早大学院出身。法学部3年。好きなことは3DSのゲーム「イナズマイレブン」をやること。対談でも永岡選手と森田選手に人とは少し違うと言われていましたが、まだまだ個性的な一面はありそうです!

◆AT永岡秀斗(※写真中央)

2002(平14)年7月13日生まれ。170センチ。東京・早稲田実業出身。創造理工学部3年。趣味は絵を描くことで、水墨画のタッチが好きなのだとか。お茶目と言われていた永岡選手のこの発言、真実はいかに?!

◆DF田中進士(※写真右)

2001(平13)年10月1日生まれ。177センチ。神奈川・桐蔭学園出身。商学部3年。オフは読書をよくしているそう。村上春樹や三島由紀夫が好きとおっしゃっていましたが永岡選手からは嘘だろと一言。これまた真実はいかに?!