東京箱根間往復大学駅伝予選会(箱根予選会)から3週間、熱田神宮と伊勢神宮を全8区間で結ぶ全日本大学駅伝対校選手権(全日本)が行われた。16大会連続28回目の出場を果たした早大にとっては、花田勝彦駅伝監督(平6人卒=滋賀・彦根東)が就任して…

 東京箱根間往復大学駅伝予選会(箱根予選会)から3週間、熱田神宮と伊勢神宮を全8区間で結ぶ全日本大学駅伝対校選手権(全日本)が行われた。16大会連続28回目の出場を果たした早大にとっては、花田勝彦駅伝監督(平6人卒=滋賀・彦根東)が就任して以来初の3大駅伝となった。1区を11位でスタートとすると、順調に順位を上げていき4区を終えた時点で2位に浮上する。中盤に失速し一時は順位を8位まで落としたものの、終盤に粘りを見せ6位でフィニッシュした。


8区、ゴール直前のカーブを曲がる佐藤

 1区に起用されたのはルーキーの間瀬田純平(スポ1=佐賀・鳥栖工)。スタート直後から目片将大(青学大)が飛び出す展開となったが間瀬田は後続の集団でレースを進めた。残り1キロを前に集団がばらけてスパート勝負になると間瀬田は「集団の中でペースの上げ下げがあり足を貯めることが出来なかった」と振り返りながらも、遅れをトップから26秒差の11位に留めて2区にタスキを渡した。


1区、名古屋・熱田神宮西門前をスタートする間瀬田

 3年連続の2区起用となった井川龍人(スポ4=熊本・九州学院)は「周りを使って上がっていくように」という花田監督の指示のもと順位を上げていき3位集団に追いつく。しかし「きつくなって耐えられなかった」と7キロ過ぎから集団から遅れて6位でのタスキリレーとなった。


2区中盤を走る井川

 6位でタスキを受け取った3区石塚陽士(教2=東京・早実)は前回大会5区4位の実力を発揮する。5キロ過ぎに前を走る中学大をかわすなど区間3位の好走を見せ、2位と3秒差の3位まで順位を押し上げた。


3区終盤を走る石塚

 4区に起用されたのはルーキー山口智規(スポ1=福島・学法石川)。3週間前の箱根予選会ではレース後半アクシデントに見舞われ、今回も「疲労が抜け切らず本調子ではなかった」と話す山口だったが、「後半しっかり上げることを意識した」と言葉通りに、序盤離された順大を10キロ手前でとらえて交わし、2位で後半区間へつないだ。初めての大学駅伝を区間3位の好走で終えた。


4区序盤を走る山口

 強い日差しが照りつける中、5区には最初で最後の全日本となる小指卓也(スポ4=福島・学法石川)が出走した。「暑さもあり調子が悪くなった」と後半は苦しい走りとなり、9キロ過ぎには両脇腹を押さえる場面も見られた。國學院大に先行を許し青学大と順天堂大と競りながらも「最後は反射で行った」と終盤に粘りを見せ3位でタスキを6区につないだ。


5区中盤を走る小指

 6区に出場した菖蒲敦司(スポ3=山口・西京)も調子が上がらず終始苦しい走り。区間15位と本来の実力が発揮できず、1分以上の差があった中大や東洋大に抜かれるなど、順位もシード権のボーダーライン上の8位まで5つ落とすことになった。


6区中盤を走る菖蒲

 しかし苦しい流れを断ち切ったのが7区の伊藤大志(スポ2=長野・佐久長聖)だった。タスキを受け取った時点で16秒前にいた梅崎蓮(東洋大)に並ぶと、その後は両者譲らず並走が続く。第7中継所手前で梅崎を引き離し、逆に差をつけた。タスキリレーの後、熱い勝負を繰り広げた梅崎と健闘を讃えあうシーンも見られた。タイムも51分18秒と早大記録を更新する見事な快走だった。


東洋大梅崎と併走する7区伊藤大志

 最終8区には佐藤航希(スポ3=宮崎日大)が起用された。前回大会で6区17位と悔しさを味わった佐藤だったが「絶対に借りを返す」という思いでレースに臨み、中間地点で中大を交わして6位に浮上しそのままゴールした。これにより早大は4年連続でシード権を獲得した。

第54回全日本大学駅伝対校選手権
区間距離名前記録区間順位
1区9・5キロ間瀬田純平27分24秒11位
2区11・1キロ井川龍人31分49秒6位
3区11・9キロ石塚陽士33分59秒3位
4区11・8キロ山口智規34分01秒3位
5区12・4キロ小指卓也37分12秒11位
6区12・8キロ菖蒲敦司38分58秒15位
7区17・6キロ伊藤大志51分18秒5位
8区19・7キロ佐藤航希58分12秒5位
早大 5時間12分53秒 6位

 箱根予選会を4位で通過した後、鈴木創士駅伝主将(スポ4=静岡・浜松日体)は全日本の意気込みを聞かれ「まず3位以内、あとは優勝争いをすることが目標」と語った。井川が「予選会から3週間でしっかり合わせられなかった」と語るように、新体制の初陣はチームとして万全の状態で臨むことは出来ず、目標を達成することは出来なかった。しかし前半区間を2位で終え、7区8区で順位を上げ、さらに総合記録も早大記録を更新するなど、一定の成果も得られた。来年1月に行われる東京箱根間往復大学駅伝(箱根)までにチームの力を一段階上げ、全員がベストの状態でスタートラインに立てることを期待したい。

(記事 廣野一眞、写真 及川知世、戸祭華子、髙橋優輔、布村果暖、湯口賢人、名倉由夏、加藤志保)

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