4位通過を果たした東京箱根間往復大学駅伝(箱根)予選会から3週間。早大にとっては駅伝シーズン初戦となる全日本大学駅伝対校選手権(全日本)が11月6日、愛知・熱田神宮をスタートし、三重・伊勢神宮でフィニッシュするコースで開催される。箱根予選…

 4位通過を果たした東京箱根間往復大学駅伝(箱根)予選会から3週間。早大にとっては駅伝シーズン初戦となる全日本大学駅伝対校選手権(全日本)が11月6日、愛知・熱田神宮をスタートし、三重・伊勢神宮でフィニッシュするコースで開催される。箱根予選会はアクシデントもあり4位通過となったが、「優勝争いに絡み、3位以内」(鈴木創士駅伝主将、スポ4=静岡・浜松日体)を目標に掲げる全日本ではどのような戦いを見せてくれるか。本記事では11月4日時点での区間エントリーをもとに展望をお伝えする。

 今シーズンも各大学の戦力は拮抗(きっこう)しており、全日本でも大混戦が予想される。新春の箱根路を制した青学大や、今季の駅伝初戦の出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)を制し、学生駅伝3冠を狙う駒大のほか、選手層の厚い中大や順大などが優勝候補に挙げられる。そのほか、近年成長が著しい国学院大や東国大、創価大なども戦力が充実しており、虎視眈々(こしたんたん)と上位進出を狙う。

 チームに流れをつくる上で重要な1区にエントリーされたのは、ルーキーの間瀬田純平(スポ1=佐賀・鳥栖工)。今季前半は1500メートルを主戦場としていたが、初のハーフマラソンとなった箱根予選会でも1時間4分台とまずまずの結果を残した。ルーキーらしくチームに勢いをもたらす走りをすることはできるか。続く2区は、3年連続で井川龍人(スポ4=熊本・九州学院)を起用予定。今季は最上級生として常に結果でチームを引っ張ってきた。昨年は区間2位と好走しチームの順位を押し上げたが、区間賞は惜しくも逃した。それだけに今年は昨年のリベンジを果たし、3大駅伝初の区間賞を獲得することはできるか。


先月の箱根予選会でも日本人2位でゴールするなど、今季は上位の結果を残し続けている井川

 3区には辻文哉(政経3=東京・早実)がエントリーされた。辻は長らく故障に苦しみ、昨年の駅伝出走はなかったが、一昨年の全日本では1年生ながら1区に起用され、トップと11秒差の6位でつなぐなど役割を果たした。今年も任された区間で己の役割を果たし、チームの勢いをさらに加速させたいところだ。前半最後の区間となる4区にエントリーされたのは、ルーキーの山口智規(スポ1=福島・学法石川)。箱根予選会は終盤にアクシデントがあり、満足のいく走りとはならなかったが、大学駅伝デビュー戦となる全日本では、どのような走りを見せてくれるか。後半区間に良い流れをもたらすためにも、他大学から大きく遅れをとることは避けたい。


ルーキーながら関東学生対校選手権、日本選手権にも出場している山口

 後半区間の出だしとなる5区には小指卓也(スポ4=福島・学法石川)がエントリー。昨年は故障に泣いた1年だったが、今年の夏は4年間で一番距離を踏むなど地道なトレーニングで復活を遂げてきた。10月9日に行われた早大競技会5000メートルにおいてもチームトップでフィニッシュするなど調子は上向きだ。つなぎ区間としても重要な6区には次期駅伝主将の菖蒲敦司(スポ3=山口・西京)が起用予定。今シーズンは関東学生対校選手権3000メートル障害で2連覇を果たすなど、トラックシーズンからチームの核として活躍してきた。昨年は出雲で1区2位、全日本でも4区5位と安定した走りを披露しており、今年もその活躍に期待が高まる。


箱根予選会のエントリーからは漏れたものの、その前週の早大競技会では14分10秒台をマークし、復活を印象付けた小指

 全8区間106・8キロのうち約3分の1を占める7区と8区には、2年生と3年生がエントリーされた。7区には伊福陽太(政経2=京都・洛南)を配置。箱根予選会はメンバー入りを果たしたものの、当日出走はならず。しかし、先日行われた平国大競技会では5000メートルの自己記録を大幅に更新するなど好調を維持している。今シーズン着実に力をつけてきた伊福の3大駅伝初出走はなるか。最長区間でもあるアンカー8区には佐藤航希(スポ3=宮崎日大)がエントリー。昨年の全日本では6区を任されたものの、区間17位に沈み悔しい思いをした。しかし今季は、先月の箱根予選会で自己ベストを更新してチーム内2番手でゴールするなど、調子を上げてきている。昨年苦い思いをした伊勢路での雪辱を誓う。


箱根予選会でチーム内2番手でゴールした佐藤

 また、補欠として登録された5人の選手にも力のあるメンバーがそろう。特に駅伝主将の鈴木は、過去3年間に出走した3大駅伝すべてで区間一桁順位をマークするなど、駅伝での安定感は抜群だ。そのほか、ルーキーイヤーの昨年からチームの主力として活躍する石塚陽士(教2=東京・早実)、伊藤大志(スポ2=長野・佐久長聖)の2人も名を連ねた。さらには入学以来自己ベストを度々更新し、チームの主力になりつつある菅野雄太(教2=埼玉・西武文理)も、補員として出番を待つ。当日は最大3人までのエントリー変更が認められており、その有無にも注目が集まる。


9月の早大競技会で後続を引っ張る鈴木駅伝主将。全日本では3年連続で後半区間に出走し、全てで1桁順位を残している

 昨年の全日本は一時トップに立ちながらも6位に終わり、悔しさをあらわにした早大の選手たち。その後は箱根でもシード落ちを喫するなど苦杯をなめたが、花田勝彦駅伝監督(平6人卒=滋賀・彦根東)就任以降は鈴木駅伝主将を中心に、夏合宿で例年以上に距離を踏むなど立て直しを図ってきた。今年も例年以上に強敵は多いが、鈴木駅伝主将は常々、「3位以内と優勝争いをすること」を目標に掲げてきた。昨年の雪辱を果たし、伊勢神宮で選手たちの輝く笑顔を見ることはできるか。スタートの号砲は、明日朝8時5分に熱田神宮で響き渡る。

(記事 加藤志保)

区間エントリー

※当日のメンバー変更は補員との交代のみ、3人まで可。

1区(9・5キロ)

間瀬田純平(ませだ・じゅんぺい)

2004(平16)年2月17日生まれ。172センチ。佐賀・鳥栖工高出身。スポーツ科学部1年。自己記録:5000メートル13分57秒41。

2区(11・1キロ)

井川龍人(いがわ・りゅうと)

2000(平12)年9月4日生まれ。178センチ。熊本・九州学院高出身。スポーツ科学部4年。自己記録:5000メートル13分45秒30、1万メートル27分59秒74。第51回全日本1区区間16位、第52回全日本2区区間5位、第53回全日本2区区間2位。

3区(11・9キロ)

辻文哉(つじ・ふみや)

2002(平14)年1月4日生まれ。167センチ。東京・早実高出身。政治経済学部3年。自己記録:5000メートル13分49秒31、1万メートル28分54秒74。第25回全日本1区区間6位、区間新。

4区(11・8キロ)

山口智規(やまぐち・とものり)

2003(平15)年4月13日生まれ。172センチ。福島・学法石川高出身。スポーツ科学部1年。自己記録:5000メートル13分35秒16、1万メートル29分35秒47。

5区(12・4キロ)

小指卓也(こざす・たくや)

2000(平12年9月12日生まれ。173センチ。福島・学法石川高出身。スポーツ科学部4年。自己記録:5000メートル13分41秒01、1万メートル29分42秒82。

6区(12・8キロ)

菖蒲敦司(しょうぶ・あつし)

2001(平13)年12月16日生まれ。168センチ。山口・西京高出身。スポーツ科学部3年。自己記録:5000メートル13分52秒46、1万メートル28分58秒10。第52回全日本5区区間9位、第53回全日本4区区間5位。

7区(17・6キロ)

伊福陽太(いふく・ようた)

2002(平14)年12月23日生まれ。172センチ。京都・洛南高出身。政治経済学部2年。自己記録:5000メートル14分12秒60、1万メートル30分15秒42。

8区(19・7キロ)

佐藤航希(さとう・こうき)

2001(平13)年8月2日生まれ。168センチ。宮崎日大高出身。スポーツ科学部3年。自己記録:5000メートル13分59秒96、1万メートル29分35秒12。第53回全日本6区区間17位。

補員

鈴木創士(すずき・そうし)

2001(平13)年3月27日生まれ。176センチ。静岡・浜松日体高出身。スポーツ科学部4年。自己記録:5000メートル13分54秒40、1万メートル28分26秒41。第51回全日本6区区間6位、第52回全日本7区区間9位、第53回全日本7区区間5位。


北村光(きたむら・ひかる)

2002(平14)年1月18日生まれ。168センチ。群馬・樹徳高出身。スポーツ科学部3年。自己記録:5000メートル13分58秒64。


石塚陽士(いしづか・はると)

2002(平14)年4月22日生まれ。170センチ。東京・早実高出身。教育学部2年。自己記録:5000メートル13分48秒81、1万メートル28分36秒53。第53回全日本5区区間4位。


伊藤大志(いとう・たいし)

2003(平15)年2月2日生まれ。171センチ。長野・佐久長聖高出身。スポーツ科学部2年。自己記録:5000メートル13分35秒70、1万メートル29分42秒24。第53回全日本1区7位。


菅野雄太(かんの・ゆうた)

2002(平14)年5月7日生まれ。165センチ。埼玉・西武文理出身。教育学部2年。自己記録:5000メートル14分22秒15、1万メートル30分19秒19。