埼玉県久喜市の梅田修一市長は29日、2022年4月の市長選で公約に掲げたフルマラソン大会の開催を断念すると発表した。25年度以降の開催に向けて警察と話し合いをし、コースの見直しなどを求められて経費が膨らむ見通しになったことなどを理由に挙げ…

 埼玉県久喜市の梅田修一市長は29日、2022年4月の市長選で公約に掲げたフルマラソン大会の開催を断念すると発表した。25年度以降の開催に向けて警察と話し合いをし、コースの見直しなどを求められて経費が膨らむ見通しになったことなどを理由に挙げた。

 梅田氏はこの日の市議会の全員協議会で、経費の増大に加え、全国的に参加者が思うように集まらない大会が多く、市民の賛否が割れているとして、「苦渋の決断だが、フルマラソン大会は行わない」と述べた。

 梅田氏は18年に市長に就任した。20年に「健幸・スポーツ都市」を宣言し、22年にフルマラソン大会を公約に掲げて再選した。市によると、市内の総合運動公園を出発し、旧菖蒲(しょうぶ)町や旧鷲宮町を通り、久喜菖蒲公園をゴールとするコースを設定し、昨年10月に警察と協議を始めた。経費は1億1千万円と見込んでいた。

 ところが、警察側から、交通の安全面や渋滞を減らす観点でコースの見直しを求められ、一般の車両や歩行者向けの迂回(うかい)路をより広範囲に設けることに。コースに立てる警察官が想定より少なく、警備員の増員が必要なことも判明し、経費の増大が確実になった。

 一方、市が16年から続ける1・5キロ~ハーフの「よろこびのまち久喜マラソン大会」(3月24日)は、今年も昨年に続き参加申し込みが定員を大きく下回った。市内で長く暮らしたプロランナー川内優輝選手は一昨年、既存の大会の立て直しが先として、フルマラソン大会への疑問を表明。昨年12月には協力しないと宣言した。

 市の新年度予算案確定が2月初めに迫る中で悪条件が重なり、梅田氏は断念に追い込まれた。市は22年度に関連費用44万円を使ったほか、今年度は準備作業を委託する774万円の契約を業者と結んでおり、契約の終了に向けて協議する。(佐藤純)