第107回日本選手権と同日、大阪・ヤンマースタジアム長居で開催された第39回U20日本選手権。今年は、女子200メートルでは関カレ(関東学生対校選手権)覇者の山越理子(人2=東京・富士)が第3位、女子100メートル障害では、内藤香乃(スポ…
第107回日本選手権と同日、大阪・ヤンマースタジアム長居で開催された第39回U20日本選手権。今年は、女子200メートルでは関カレ(関東学生対校選手権)覇者の山越理子(人2=東京・富士)が第3位、女子100メートル障害では、内藤香乃(スポ1=兵庫・北摂三田)が2位に輝くなど、大舞台で躍動した。また、男子100メートルでは由井響(スポ1=山梨・都留)が決勝に進出しエンジデビュー。懸命な走りで7位に入賞し、これからの飛躍を期待させる結果となった。
(記事 戸祭華子)
★「楽しんで走れた」 大学入学後初の大舞台で由井が7位入賞!(男子100メートル)
レースを走る由井
U20日本選手権100メートルに出場したのは由井響(スポ1=山梨・都留)だ。予選をタイムに拾われ決勝にコマを進めると、決勝も堂々と走り切り、7位入賞。大学入学後初の全国の舞台で躍動を見せた。
予選では、4着になったもののシーズンベストをマーク。タイムで拾われ決勝進出を決める。初エンジとなった決勝では、「少し動きが固苦しくなった」との言葉通り、終盤うまく伸び切らず、7着でのフィニッシュとなった。しかし、予選でマークしたシーズンベストを0・01秒更新し、目標でもあった10秒6台をたたき出した。
大学入学直後はなかなか調子が上がらず、一時期は11秒台までタイムは落ち込んだ。大学の環境に慣れることが難しく困難もあったという。しかし、この大舞台にしっかりと合わせてきた。「楽しんで走れた」と言うこの日のレースを自信に変え、さらなる成長を見せてくれるだろう。
(記事 飯田諒、写真 堀内まさみ)
★森田が堂々とした走りを見せ4位入賞(男子400メートル)
レースを走る森田
U20男子400メートルに出場したのは森田陽樹(創理1=埼玉・早大本庄)。予選は安心感のある走りで組1位通過、決勝ではスピード感溢れる走りを見せるも表彰台にあと1歩届かず、4着でレースを終えた。
大会3日目に行われた予選は全4組。各組1着までと各組2着以下のタイム上位4人が決勝に進む。森田はスタート直後から積極的に飛ばしレースを引っ張り、そのままゴール。47秒66で組1着で決勝進出を決めた。翌日の決勝では優勝を目指し、組トップのリアクションタイムで走り出した。予選と同様序盤から積極的な走りを展開。200メートルあたりでスピードが落ちるもラスト80メートルあたりから加速し、4着の47秒45を記録した。
早大の400メートルに新たな力が加わった。今大会表彰台を逃した悔しさをばねに、ここから上級生を追い越すような走りを見せてくれることだろう。創造理工学部に所属し学業と競走部の両立に励み、力強い走りを見せる森田から目が離せない。
(記事 堀内まさみ、写真 戸祭華子)
★山﨑、追い上げかなわず悔しい6位(男子5000メートル)
レース後、悔しそうに引き上げる山﨑
男子5000メートルには山﨑一吹(スポ1=福島・学法石川)が出場した。3000メートル過ぎに青木瑠郁(国学大)がペースを上げると、山﨑は付いていくことができず。6位入賞は果たしたものの、課題も見えた。
スタート直後はスローな展開となったが、400メートル手前で綾一輝(明大)が先頭に立つ。山﨑は綾のすぐ後ろに付き、最初の1000メートルを2分50秒で通過した。集団はそのまま3000メートルを8分33秒で通過すると、3000メートル過ぎに青木が1人ペースアップし、集団から抜け出す。山﨑は青木には付いていかず、第2集団でレースを進め、4000メートル過ぎには一時先頭に立つ場面も見られた。しかしその後は、表情が徐々に苦しくなり始め、集団からも遅れをとるかたちに。「得意のラストスパートも発揮できなかった」と追い上げもかなわず、14分16秒77の6位でフィニッシュした。
大学入学後、立て続けに自己記録を更新していた山﨑にとって、今レースは悔しい結果となったが、今後に向けての糧にもなっただろう。「今以上に練習を積む」と語った山﨑。今後の飛躍に期待がかかる。
(記事 加藤志保、写真 戸祭華子)
★鶴澤、セカンドベストで4位入賞も後半試技に課題を残す結果に(男子やり投)
力強い投てきを見せる鶴澤
男子やり投に出場したのは、鶴澤元基(スポ2=東京・富士森)。関カレ(関東学生対校選手権)では、自己記録を大きく更新した入賞で早稲田に流れをもたらした。今大会では、セカンドベストとなる64メートル68を記録するも、4位とわずか表彰台に届かず。悔しさが残る大会となった。
7位に躍進した関カレのときよりも調子が良かったという鶴澤。今大会の目標を、『表彰台、全カレ(日本学生対校選手権)のB標準記録(69メートル00)』を目標にすえ、大舞台に挑んだ。1投目では、やりが大きく右に逸れてしまい、ファールに。続く2投目で64メートル68をマークし、暫定2位におどり出る。しかし、ここまでの2投を「無理やり投げにいってしまった」という鶴澤。その後は、記録を上げることはできず。結局、有効試技は6投中わずか2投にとどまり、最終順位は4位で唇をかんだ。
ビッグゲーム2戦連続で自己記録、セカンドベストと実力を遺憾(いかん)無く発揮したことは、紛れもなく力をつけた証拠だ。このことに関しては、鶴澤自身も「自分自身のベースが上がっていると感じた」と成長を認める。しかし、後半試技の質には課題が残る結果に。約2時間後に行われた日本選手権では、上位3名がいずれも4投目以降に記録を伸ばしていることも考えれば、「後半で試合の流れを他の選手に持っていかれてしまっている(鶴澤)」ことが課題だ。日本トップレベルの特徴を肌で感じた鶴澤の今後から目が離せない。
(記事 戸祭華子、写真 戸祭華子)
★山越が悔しさを残しつつも3位で表彰台に(女子200メートル)
レースを走る山越
U20日本選手権200メートルに登場したのは、山越理子(人2=東京・富士)。関カレ(関東学生対校選手権)女子200メートルで、優勝を果たした勢いそのままに、U20日本選手権でも優勝への期待は高まったが、結果は3位。悔しさの残る大会となった。
予選は2レーンからのスタートに。コーナーで外側の選手を一気に抜き去ると、最後は「停滞した」と振り返るが1着でゴール。さらには、全体トップのタイムで決勝に進出し、強さを見せつけた。翌日の決勝では、前半を離されすぎずに、想定通りの展開で進めた。しかし、「カーブ抜けから加速する」というプランを立てていたが、なかなかスピードを上げることができない。その結果、4着でのフィニッシュとなった。しかし、3着の選手が自分のレーン以外を走ったことで失格に。不本意ながらも3位での表彰台となった。
意外にも、試合後のインタビューからは悲壮感を感じ取れることはなかった。敗北を経てさらに強くなると確信しているのだろう。思い返せば、昨年の関カレで予選敗退した彼女は、今年優勝を果たした。今回の反省を糧に来年、シニアの舞台でどのような走りを見ることができるのか、期待せずにはいられない。
(記事 飯田諒、写真 加藤志保)
★内藤、目標を超え堂々たる2位!(女子100メートル障害)
レースを走る内藤
女子100メートル障害には、内藤香乃(スポ1=兵庫・北摂三田)が登場。専門種目外の100メートル障害での出場となったが、先日行われた関東学生対校選手権(関カレ)でも同種目で決勝進出を遂げ、好調を窺(うかが)わせる内藤は、目標としていた決勝進出を決めるとともに、2位表彰台という輝かしい結果を残した。
大会2日目の予選に出場した内藤は、スタートでやや遅れをとるものの、2台目、3台目のハードリングで流れを作り、猛烈な追い上げから2位でフィニッシュ。「あまりまとまりのないレースだった」(内藤)と振り返ったが、タイムで拾われ、念願の決勝進出を果たした。
予選と打って変わって快晴となった3日目に行われた決勝では、「前半をしっかり速いリズムで走るということ(内藤)」を意識し臨んだ。スタートから片山心菜(中京大中京高)が飛び出し、それに続く形で後続は混戦状態に。その中でも、先頭の流れに乗った内藤は、徐々に集団から抜け出し、向かい風ながら最後まで果敢(かかん)に攻めた走りでスパートにかかる。最後は3位とわずか100分の1秒差、13秒87のタイムで競り勝ち、見事2位でフィニッシュ。堂々とした走りで華々しい結果を叩き出した。
今回の大会で、同種目において自身の実力を確固たるものとし、目標にしていた決勝進出を超える結果を残した内藤。しかし、内藤は「2位でしたが、タイムがあまり良くなかったので、悔しい」と語り、順位のみに満足せず、貪欲な姿勢を示した。400メートル障害(ヨンパー)、100メートル障害とマルチに活躍する彼女の伸びしろに期待が膨らむ。
(記事 草間日陽里、写真 加藤志保)
結果
▽男子
▽100メートル
予選(4組1着+4)
由井響(スポ1=山梨・都留) 10秒70(+0・2)(1組4着)
決勝進出
決勝
由井 10秒69(+0・4)(7着)
▽400メートル
予選(4組1着+4)
森田陽樹(創理1=埼玉・早大本庄) 47秒66(4組1着)
決勝進出
決勝
森田 47秒45(4着)
▽800メートル
予選(3組2着+2)
水嶋優斗(スポ1=東京・高輪) 棄権
▽1500メートル
予選(2組5着+2)
岩下和史(スポ1=神大付) 棄権
▽5000メートル
決勝
山﨑一吹(スポ1=福島・学法石川) 14分16秒77(6着)
工藤慎作(スポ1=千葉・八千代松陰) 棄権
▽400メートル障害
予選(3組2着+2)
平田和(スポ1=鹿児島・松陽) 棄権
▽やり投
決勝
鶴澤元基(スポ2=東京・富士森) 64メートル68(4等)
▽女子
▽200メートル
予選(2組3着+2)
山越理子(人2=東京・富士) 24秒30(+1・4)(2組1着)
決勝進出
決勝
山越 24秒33(ー0・5)(3着)
▽400メートル
予選(3組2着+2)
山本真菜(スポ1=三重・伊勢) 57秒75(2組3着)
▽100メートル障害
予選(4組1着+4)
内藤香乃(スポ1=兵庫・北摂三田) 14秒04(+0・3)(1組2着)
決勝進出
決勝
内藤 13秒87(ー1・4)(2着)
▽走高跳
決勝
矢野夏希(スポ1=愛知・時習館) 1メートル60(11位)