日本大学アメリカンフットボール部の違法薬物事件をはじめ、大学スポーツ界で不祥事が相次いでいる。アメフト部の廃部を決めた日大をめぐっては、大学当局による管理運営の問題や、他の部員も巻き込んだ連帯責任の是非も議論を呼んでいる。 ワシントン大学…

 日本大学アメリカンフットボール部の違法薬物事件をはじめ、大学スポーツ界で不祥事が相次いでいる。アメフト部の廃部を決めた日大をめぐっては、大学当局による管理運営の問題や、他の部員も巻き込んだ連帯責任の是非も議論を呼んでいる。

 ワシントン大学でアメフトチームコーチ経験があり、日米の大学スポーツの人材育成に詳しい追手門学院大客員教授の吉田良治さん(スポーツマネジメント論)はこう話す。

 「学生のプライベートは守らなければいけないし、私生活の部分までチームや指導者が責任をとることはできません。部の寮で起こったことだとしても、私生活での罪と、部としてのオフィシャルな場で起こった不祥事は、切り分けて考えた方がいいと思います」

 部の方針の延長で引き起こされた問題についてはそれに関する部のあり方を見直し、個人に起因する問題は個人がそれを改めるといった区分けが必要だという。

 吉田さんは今回の問題から、大学スポーツ界のあり方が根本的に問われているという。

 「スポーツ推薦入学者を無節操にとり、100人を超えるような部も少なくなくありません。そういった部では、試合に出られない絶望感で退部したり、退学したりする学生もいます。また、学業成績や練習時間の制限も設けないまま、大学が目先のスポーツ強化に走る状況もある。誰もが競技を引退する時期は来ますが、その時に向けて、自分は何をすべきか、学生が考える機会もなく卒業するのは、不幸です」

 スポーツ活動の正常化とともに、大学が、受け入れた運動部学生をしっかりと支援し、大学スポーツの真の価値を高める努力に向かうきっかけにするべきだ、と吉田さんは考える。

 大学スポーツ界の不祥事の背景や解決策について、どう考えればいいのか。朝日新聞フォーラム面がネットを通じて「大学スポーツ界の不祥事を考える」アンケートを行っている。2月8日午後2時まで実施する予定で、誰でも参加できる。サイトでは回答者の自由記述を読むこともできる。