休場明けの横綱照ノ富士に土。長い相撲の末に若元春に寄り切られた。3大関は2日続けて全員が勝利。綱とりの霧島は、速い攻めで高安を攻略し、貴景勝は熱海富士との圧力勝負を制した。大関昇進を狙う関脇琴ノ若、新入幕の大の里、島津海が2連勝。■若元春…

 休場明けの横綱照ノ富士に土。長い相撲の末に若元春に寄り切られた。3大関は2日続けて全員が勝利。綱とりの霧島は、速い攻めで高安を攻略し、貴景勝は熱海富士との圧力勝負を制した。大関昇進を狙う関脇琴ノ若、新入幕の大の里、島津海が2連勝。

■若元春が初金星、左四つの本格派が横綱に寄り勝つ

 国技館の観客席に座布団が舞い飛ぶ。2024年最初の波乱は、復活を期す横綱の敗北だった。

 土俵中央、けんか四つの両者が組み合う。照ノ富士と若元春。左四つは若元春の形だ。横綱はまわしが遠く、相手には上手も下手も引かれてしまった。俵を背にしてこらえた場面もあったが、最後は寄られて力尽きた。

 東の支度部屋に戻った照ノ富士は大粒の汗を流し、乱れた呼吸がなかなか整わなかった。

 「相手十分の形になったが……」と記者に問われても、沈黙。空気を読んだ付け人が「今日はすみません」と取材を遮った。唇をかみ、舌を鳴らした横綱。表情やしぐさが、収まらない悔しさを物語っていた。

 結びを見届けた八角理事長(元横綱北勝海)は、敗者への苦言ではなく、勝者への称賛を口にした。

 「動きの中から(若元春が得意の)左四つになったよね。(相手には)上手を取らせなかった。いい相撲じゃない?」。一方の照ノ富士に対しては「これだけよく残ったからね。明日からでしょう」とねぎらった。

 横綱にとって金星配給が痛いのは事実だ。とは言え、とらえようによっては、ただの「1敗」とも考えられる。むしろ心配なのは、黒星よりも取組で負ったダメージの方。1分40秒の消耗戦が、不安を抱える腰やひざに悪影響を与えなければいいのだが。(松本龍三郎)

■立ち合い「変化」で決着した因縁の優勝決定戦 再戦は大関が意地

 「因縁の一番」で貴景勝が意地を見せた。立ち合いから突き続け、一瞬、両差しに。ここで熱海富士が引くと、相手の腹に頭をつけるようにして寄り切った。昨年秋場所の優勝決定戦、大関は立ち合いで変化。勝ちはしたが、その取り口に厳しい声が上がった。正攻法での勝利に「集中してやった。(最後の場面は)出るしかないので」。

 ○若元春 初金星。テレビ中継のインタビュー後に通路でカメラのフラッシュを浴び「すげー! 優勝したみたい」と笑顔。

 ●熱海富士 初日から大関相手に2連敗。「内容がいいと言っても負けは負け。(大関とは)結局いつかは当たるんで」

 ○剣翔 過去6戦全勝と得意の佐田の海を押し倒し、今年の初勝利。「(好相性は)たまたま。勝っている方に『得意意識』なんてないっすよ」

 ○十両・白熊 高橋から名を改めて初白星。「思った以上に歓声が大きい。動物の名前は子どもたちも言いやすいのかな」 ○大の里 琴勝峰には先場所、十両の本割と優勝決定戦で左上手を許し、敗れた。この日は与えず。「考えていった。同じ失敗をしなくてよかった」