■大相撲初場所・初日 昨年名古屋場所以来の復帰となった横綱照ノ富士は、宇良を力でねじ伏せた。3大関も安泰。綱とりの霧島は若元春を引き落とし、豊昇龍と貴景勝は落ち着いて平幕の挑戦を退けた。大関昇進を狙う関脇琴ノ若、返り三役の小結高安らも白星で…

■大相撲初場所・初日

 昨年名古屋場所以来の復帰となった横綱照ノ富士は、宇良を力でねじ伏せた。3大関も安泰。綱とりの霧島は若元春を引き落とし、豊昇龍と貴景勝は落ち着いて平幕の挑戦を退けた。大関昇進を狙う関脇琴ノ若、返り三役の小結高安らも白星で滑り出した。

■横綱の復活へ まず一歩

 場所を戦い抜く状態に戻っている。途中休場した昨年名古屋場所以来の照ノ富士の復帰戦は、そう感じさせる内容だった。

 相手は、多彩な技が持ち味で過去に金星を奪われたこともあるくせ者・宇良。立ち合い、両腕を抱えながら力強く前に出た。俵まで追い詰めると、左で小手に振って崩し切る。土俵から落ちていく相手を追いかけるように、最後まで軽快に足を送った。

 「何も変わったことはない」。支度部屋に戻り、久々の勝利の味を報道陣に問われた横綱は素っ気なかった。しかし、続く言葉には実感をこめた。「本場所、という感じはある。土俵で戦っている姿を見せたい思いで必死に一日を生活してきた」。表情には、安堵(あんど)感がにじんだ。

 昨年11月、3場所連続で休場した横綱に対し、山内昌之・横綱審議委員長(東大名誉教授)は「初場所にぜひ姿を見せて」と要望。初場所を休めば、出場を促す考えも示していた。

 この日、国技館で結びを見届け、「私たち、ファンの期待はかなえられた。一つの関門はクリアしたのではないでしょうか」。ひとまず高い評価を与えた。

 あとは、相撲を重ねるなかでどこまで本調子を取り戻せるか。「まだ何も分からない。これからじゃない?」と本人も探り探り。ただ、復活に向けた確かな一歩を踏み出したことは間違いない。(松本龍三郎)

■石川・穴水町出身の遠藤「やれることやるだけ」

 被災した石川県穴水町出身の遠藤が土俵入りすると、大きな歓声に包まれた。実家の近くまで津波が迫り、親族は避難生活となったという。「(白星で地元の人たちに)元気が出てくれれば」との思いで臨む初場所。黒星発進となったが、「歓声があれば気合が入る。しっかりやれることをやるだけ」と話した。

■綱とりへ、白星発進 大関霧島

 強引に出てきた相手をいなし、霧島が白星発進した。初めての綱とり場所でも、「全然。いつも通り」と落ち着いた相撲を見せた。大関昇進は、初めて三役で2桁勝利した昨年初場所を起点に足踏みせず3場所で決めている。最高位に向け、「自分ができることだけをやっていく。終われば結果が出る」と話した。