日本クレー射撃協会の理事たちが、加盟団体である地方協会から解任を迫られる異例の事態に陥っていることが、12日までに分かった。理事会の内紛に端を発した騒動で、19人いる理事全員についての信任投票を求められている。朝日新聞の取材に対し、複数の…

 日本クレー射撃協会の理事たちが、加盟団体である地方協会から解任を迫られる異例の事態に陥っていることが、12日までに分かった。理事会の内紛に端を発した騒動で、19人いる理事全員についての信任投票を求められている。朝日新聞の取材に対し、複数の関係者が明らかにした。パリ五輪を夏に控え、予算編成や代表選手の選考などへの影響も懸念される。

 関係者によると、理事会内は、一昨年6月に就任した不老(ふろう)安正・会長を支持する派閥と、高橋義博・前会長派が対立している。昨年3月の理事会で、選手の強化方針を巡って不老会長の解任動議が提出された。4月には、寄付金の管理や強化選手の選考を前会長派の一部が不適切に行っている――という告発が、日本オリンピック委員会(JOC)に寄せられた。

 JOCは日本協会に対し、告発内容について調査報告書を作成するよう指示。不老会長の依頼で弁護士が10月に報告書をまとめたが、前会長派の理事が内容に納得せず、JOCも「団体の機関決定をして提出するように指示した。事態を注視している」と報告書を受理していない。

 これらの混乱を問題視した47都道府県協会の代表者のうち15人が、臨時総会の招集を日本協会に請求。代表者らは、全理事を対象に解任するかどうかの信任投票を実施するよう求めている。日本協会は今月17日に予定する理事会で、総会の開催について諮るという。

 日本協会は、不明朗会計や役員人事を巡る内紛が原因で、JOCからの補助金支給が2009年から4年間停止されるなど、これまでも問題がとりざたされてきた。

 現会長派の理事は「お粗末経営を改めるためにも理事会をリセットして、いちからやり直さないといけない」と、地方協会の動きを歓迎。前会長派の1人は「報告書は調査が不十分だ。(臨時総会の開催や信任投票の実施に関しては)考えがまとまっていない」などと話した。

 昨年末には、複数の日本協会関係者が、銃弾を不適切に取り扱ったとして強化担当の理事を火薬類取締法違反の疑いで刑事告発。神奈川県警が受理する事案が起きている。(内田快、中小路徹)