文:SPOZIUM編集部長野のオリンピック記念アリーナ「エムウェーブ」内の「オリンピック記念館」が、全世界の27施設でネットワーク組織化されている「IOCオリンピックネットワークミュージアム」に4月17日、日本で初めて加盟承認されました。オ…
文:SPOZIUM編集部
長野のオリンピック記念アリーナ「エムウェーブ」内の「オリンピック記念館」が、全世界の27施設でネットワーク組織化されている「IOCオリンピックネットワークミュージアム」に4月17日、日本で初めて加盟承認されました。
オリンピック・ミュージアムとは、元々はスイスのローザンヌにあるオリンピックをテーマにした博物館のことですが、2006年に「オリンピズムの普及と子供たちのスポーツへの関心を高める」ことを目的として、オリンピック・ミュージアム・ネットワーク(OMN)が組織され、2015年の総会終了時点で全世界で27の施設がこのネットワークに加盟している状況です。
これまで日本では、1998年長野オリンピックの開催を記念し、大会の感動と遺産を伝えるために、「オリンピック記念館」という形でオリンピック記念アリーナ「エムウェーブ」内で展開されてきました。しかし、長野オリンピックから20年近くが経ち、目新しいトピックに欠け、集客が難しくなって来ている中で、2020年の東京オリンピック開催が決定したのを契機に、このOMNへの加盟の準備が始まったそうです。そして、昨年9月、バンクーバーで開かれたOMN総会で日本初の加盟が承認され、今回の記者発表イベントにより、正式に「長野オリンピック・ミュージアム」がローンチしました。(中国は既に5つの施設が加盟しているそうです。)
少し前置きが長くなってしまいましたが、この長野エムウェーブでの記者発表イベントは東京有明にあるパナソニックセンター東京のActive Learning Campと大型ビジョンで繋がっており、同時中継しながら実施されました。実はこの中継、以前「パナソニックのオリンピック・アクティベーション 「The World of Sports」体験レポート」でも取り上げた「Active Learning Camp(以後ALC)」が密接に関わっていたのです。
ALCはオリンピックやパラリンピックをテーマにした教育プログラムですが、パナソニックはOMN加盟の準備段階から長野オリンピック・ミュージアムを主導するエムウェーブ、および、長野市との間で連携を取っていて、昨年秋にスタートしたALCの実験的な運営を経て、今回長野オリンピック・ミュージアムのコンテンツとして正式に採用されることになりました。長野オリンピックの際に話題となり、今も世界のオリンピック教育の模範とされている「一校一国運動」を彼らと一緒に展開していくのがパナソニックの狙いです。
一方、これまでは長野オリンピックを回想する場として存在していた長野オリンピック・ミュージアムですが、今後は、オリンピズムの学習の場、オリンピックファン醸成の場、東京2020オリンピック・パラリンピックの地方から盛り上げる応援拠点など、様々な役割を果たして行く中で、パナソニックのサポートを受け、国内外の記念館との連携を取りながら、教育価値の高いこのALCを日本の子ども達に向けて展開していくそうです。
ちなみに、前回の記事では、このALCについてあまり説明できていなかったのですが、ここで少しご紹介までに。施設に入ると、まずオリエンテーションコーナーがあり、クーベルタンが提唱したオリンピックのあるべき姿「オリンピズム」について学ぶことができます。
次に、多様性マップがあり、世界各国の衣・食・住など多様な文化に触れることが出来ます。
さらに進むと、オリンピズムを色んなテーマ毎にブレイクダウンして学べるコーナーがあります。「フェアプレー」「技術」といったことから、「世界平和」「環境」「相互理解」など、ここまでくると、もはや「競技」の内容は一切関係ありません。
週末はワークショップが開かれ、子ども達自らで考え、意見を交換しながら、オリンピズムについて学んでいきます。この日は、聖火のレプリカが展示されていて、子ども達が聖火を掲げる姿を親御さんが写真撮影されていました。(聖火をこれほど自由に触れるのは、日本でここだけだそうです!)
前回記事のまとめでも書きましたが、このALCというプログラムは、既存の「大会、競技をいかに盛り上げるか」という視点ではなく、「オリンピックの精神をいかに拡げていくか」という視点で、これまでにはないアクティベーションだと思いました。前者の場合、どうしても大会付近でないと効力を発揮しません。(勿論、目的によってはこちらのアクティベーションも重要です。)しかし、後者の場合、オリンピックの大会、スポーツの競技とはほぼ関係なく、365日展開し続けることができ、改めてオリンピックの社会的影響力の大きさを痛感します。
さらに、こうしたプログラムを持つことで、今回の記者発表イベントのように、各自治体や施設と連携して、様々な場所で展開していくことが可能です。また、GW期間中には、アシックスや明治といったパートナー各社とコラボしたイベントも開かれるそうです。このコンテンツを軸に、各ステークホルダーとのリレーションが生まれ、次のアクティベーションに繋がるという好循環。この先どのような展開を見せるのか、引き続き、このALCの活動をウォッチしていきたいと思います。