(3日、全国高校ラグビー大会準々決勝 福岡・東福岡26―10茨城・茗渓学園) 11大会ぶりに8強に進出した茗渓学園が、前回王者を苦しめた。 前半はほぼ互角だった。素早いパス回しでグラウンドを大きく使った攻撃をする東福岡に対し、「ボールが浮い…

(3日、全国高校ラグビー大会準々決勝 福岡・東福岡26―10茨城・茗渓学園)

 11大会ぶりに8強に進出した茗渓学園が、前回王者を苦しめた。

 前半はほぼ互角だった。素早いパス回しでグラウンドを大きく使った攻撃をする東福岡に対し、「ボールが浮いている間に防御できた」とFWリーダーでフッカーの川村航平(3年)。

 そのFW陣が得点でも見せ場を作った。

 敵陣でのスクラムで相手の反則(コラプシング)を誘うと、ゴール手前5メートルのラインアウトからモールを形成し押し込む。最後は川村が持ち込み、2試合無失点だった東福岡から一時同点となるトライを奪った。

 「FW一丸となって取ったトライだった」と川村。

 展開ラグビーが茗渓学園の伝統だった。だがこの1年間はFWリーダーの川村を中心に「日本一のFWを作ろう」と基礎練習を徹底した。

 OBでリーグワンのクボタスピアーズ船橋・東京ベイのアシスタントコーチも務める今野達朗コーチから、ラインアウトをはじめとした基礎をみっちり教わった。

 川村をはじめ、選手の多くは付属中から上がった選手だ。就任1年目の芥川俊英監督は、それまでも中学ラグビー部の監督を務めながら、時おり高校のコーチも務めていた。選手たちとは、長い時間をかけて築いた信頼関係があった。

 前監督は自主性を重んじた。その方針を受け継ぎ、選手との対話を重ねてチームを作ってきた。

 練習メニューも選手任せ。「大まかな方向性を自分が決めて、選手がかみ砕く」と芥川監督。夏場まで続いたFW陣の基礎練習も、選手と監督らで話し合って決めたことだった。

 最後までチーム一体となってトライを狙い、東福岡を苦しめた。92回大会以来となる4強入りはならなかったが、川村は「全国で通用したFWが茗渓の新しい武器になる。後輩たちには日本一のFWになってほしい」。(大坂尚子)