バドミントンの全日本総合選手権最終日は30日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで各種目の決勝が行われ、男子シングルスは桃田賢斗(NTT東日本)が渡辺航貴(BIPROGY)を2―1で破り、2年連続6度目の優勝を果たした。女子シングルスは杉…

 バドミントンの全日本総合選手権最終日は30日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで各種目の決勝が行われ、男子シングルスは桃田賢斗(NTT東日本)が渡辺航貴(BIPROGY)を2―1で破り、2年連続6度目の優勝を果たした。女子シングルスは杉山薫(同)が初優勝。対戦相手の奥原希望(太陽ホールディングス)が試合途中で棄権した。ダブルスは男子の古賀輝、斎藤太一組(NTT東日本)、混合の山下恭平、篠谷菜留組(同)、女子の桜本絢子、宮浦玲奈組(ヨネックス)がいずれも初優勝を飾った。

 第2ゲーム途中、女子シングルスの奥原希望は涙を流した。右足を痛め、「力が入らなくなった」。このゲームを奪われたところで棄権を申し入れた。

 29日の男子シングルス準決勝では世界ランキング2位の奈良岡功大がコンディション不良で試合前に棄権。桃田賢斗との初対決を楽しみにしていた観客からため息が漏れた。

 トップ選手は現在、パリ五輪の代表選考にも関わるワールドツアーで世界を転戦している。奈良岡は年間60以上の国際試合をこなした。疲労が蓄積するこの時期に、国内大会にも参加するのはリスクが大きい。女子シングルスで世界ランク3位の山口茜や混合ダブルスで東京五輪銅メダルの渡辺勇大、東野有紗組ら、多くの有力選手が欠場した。

 結果的に「全日本総合」とは名ばかりの大会になり、「ここで勝っても代表選手がいないから……」と複雑な思いを語る選手もいた。

 日本バドミントン協会の村井満会長は「見たい選手が見られず、お客さんの期待を裏切っている。大会の価値を下げている可能性を認識し、フィジカルコンディションを考慮した大会日程のあり方を考えなければいけない」と危機感を口にした。選手が力を出し切り、観客が魅力を感じられる大会へ。日程の再考は避けて通れない状況にある。(岩佐友)