第103回全国高校ラグビー大会が27日、大阪府の東大阪市花園ラグビー場で開幕した。府内からは関大北陽、大阪桐蔭、東海大大阪仰星の3代表が出場。いずれもシードで、30日の2回戦から登場する。各チームを紹介する。  関大北陽は2013年創部。…

 第103回全国高校ラグビー大会が27日、大阪府の東大阪市花園ラグビー場で開幕した。府内からは関大北陽、大阪桐蔭、東海大大阪仰星の3代表が出場。いずれもシードで、30日の2回戦から登場する。各チームを紹介する。

 関大北陽は2013年創部。以来、府予選の決勝には5回進出していたが、常翔学園に3度、東海大大阪仰星に2度退けられてきた。6度目の挑戦で、大産大付を41―7で下した。

 梶村真也監督は「自分で考え、戦術もフィジカルも強化し、規律を守って体を張る。全員で守って攻撃して。すべては生徒たちの頑張り」と語る。

 花園では、これまでの戦績からシードとなった。AシードとBシードの計13チームのうち、初出場は関大北陽だけだ。初戦の30日の相手は、27日の1回戦で早稲田実(東京第1)を破った天理(奈良)になった。

 念願の花園初出場を果たした永井玲雅主将(3年)は、幼稚園のころから楕円(だえん)形のボールを追いかけてきた。「大阪のラグビーの歴史を変えたい」と、関大北陽に進んだという。チームについて「我慢できる選手が多く粘り強い」と話す。大会に向けては「点を取らなければ勝てない。アタックの力をさらに磨いている」と意気込む。

 プロ野球・阪神タイガースの岡田彰布監督の母校。阪神は38年ぶりの日本一になった。梶村監督は「阪神ファンが多いので、花園出場と同じくらい喜んでいる」。刺激になっているといい、プレッシャーも感じつつ、チャレンジャーとして挑む花園で目指すはベスト8だ。(編集委員・中島隆)

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 大阪桐蔭は3年連続17回目の出場。今年も重量級のフォワード陣がそろい、推進力が光る。

 11月の府予選決勝では、後半に上野凌大選手(3年)が相手3人を引きずりながらトライし、逆転に成功。24―3で勝利した。高校日本代表候補の野村俊介選手(同)も核になる。

 取材に行った日は、雨の影響でグラウンドは真っ白な霧に覆われ、辺りはほとんど見えなかった。そんな環境でも、はつらつとした声がよく響いていた。

 「ナイストライ!」。中でも林田力(りき)主将(同)のかけ声が目立つ。その理由を「チーム全体に自分の思いを届けられるよう、でかい声を出すよう意識している」と話す。実は、普段の声はかすれ気味で、練習とは全く違うらしい。

 けがもあって、外から試合を見る時間が長かった。逆にそうした経験を生かし、客観的な視点から指示したり、鼓舞したりすることを心がけている。綾部正史監督も「精神的に貢献してくれている。林田を中心にチームはよくまとまっている」と太鼓判を押す。

 30日の初戦は鹿児島実(鹿児島)―札幌山の手(南北海道)の勝者と対戦する。大阪桐蔭は2019年に全国を制している。林田主将は「チーム一人ひとりに日本一になれるポテンシャルがある」と気持ちを高ぶらせている。(西晃奈)

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 府予選の決勝、東海大大阪仰星は常翔学園を27―17で下し、5年連続23回目の出場となった。過去6度の全国制覇を誇り、直近では前々回に頂点に立った。

 湯浅大智監督にチームの特徴を聞いた。「今年の3年生は、将来きっと、心の温かい社会人になる」と、予想外の答えだった。

 たとえば、ある日の昼食タイム。留学生が1人でいるのを見た3年生たちは、「一緒に食べようぜ」と声をかけた。中高一貫なので中学生にラグビーを教えることが多い。記者が取材に行った日は、ラグビースクールの中学生に優しく、丁寧に教えていた。

 考え抜いて、言葉にして伝える。「『伝えた』ではなく、『伝わった』かだ」と湯浅監督。その積み重ねが試合では大事だという。瞬間、瞬間のコミュニケーションで判断し、実行する。それがラグビーだ。

 選手たちは体が大きいわけではないが、1人でダメなら2人、3人と体を張る献身的なプレーが強み。30日の初戦は、飯田OIDE長姫(長野)―高川学園(山口)の勝者が相手。和田寛大主将(3年)は「いつも『花園の決勝の前日』の気持ちで、心を一つにする」と話す。

 練習を見ていた中学生の引率者たちに、マネジャーたちが「どうぞ」とペットボトルの水を配っていた。これもチームの温かさの表れだろう。(編集委員・中島隆)