今年の中央競馬もいよいよラスト開催。フィナーレを飾るのは、2歳GIのホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)だ。 2017年にGIに昇格して以降、サートゥルナーリア、コントレイル、ダノンザキッドら人気の実力馬が期待どおりの強さを示…

 今年の中央競馬もいよいよラスト開催。フィナーレを飾るのは、2歳GIのホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)だ。

 2017年にGIに昇格して以降、サートゥルナーリア、コントレイル、ダノンザキッドら人気の実力馬が期待どおりの強さを示してきていたが、昨年は14番人気のドゥラエレーデが勝利。3連単では240万円超えの超高額配当が飛び出して、"堅いレース"といったイメージから一転、年末の"ビッグボーナス"が見込める一戦になった、と言えるかもしれない。

 とはいえ、ドゥラエレーデにしても翌年のダート戦線で活躍。将来性ある素質馬、実力馬が結果を出している点は変わらない。それについては、日刊スポーツの松田直樹記者も同意してこう語る。

「GI昇格初年度の2017年から4年連続で1番人気が勝利。2021年も2番人気のキラーアビリティが勝って、"堅いGI"といった印象でした。

 それが昨年、大波乱となってガラッと変わった感がありますが、戴冠したドゥラエレーデは今年に入って海外重賞のUAEダービー(UAE・ダート1900m)で2着。暮れのGIチャンピオンズC(中京・ダート1800m)で3着とダート戦線のトップレベルで活躍しました。2着のトップナイフも、GII弥生賞(中山・芝2000m)で2着と好走し、夏場にはGII札幌記念(札幌・芝2000m)で古馬相手に2着と健闘。力のある馬たちが勝ち負けを演じていることに変わりはありません」

 では、力のある馬のなかでも、どういったタイプが狙い目になるのか。松田記者はこんな見解を示す。

「GI昇格以降の過去6年間で共通しているのは、"先行有利"ということ。連対馬12頭中11頭は、4角5番手以内でした。2017年の勝ち馬タイムフライヤーを除いたすべてが、自在性、または先行力を発揮して好成績を収めています。

 その背景としては、2歳牡馬戦線はマイル戦のGI朝日杯フューチュリティS(阪神・芝1600m)と2000m戦のホープフルSとで、距離指向が明確化したことが挙げられます。その結果、ホープフルSでは自滅覚悟のペースを刻む馬が少なくなった、という点で差し勢台頭の目を薄くしていると思います」

 そして、松田記者は今年もその傾向が続くという。

「今月の20日、実際に中山競馬場の芝を歩かせてもらいましたが、今年の馬場は例年と比べても良好。時計的にも比較的速い決着が続いています。Aコース使用4週(8日間)を終えたあとであっても、極端な外差し馬場に変貌するとは思えません。つまり今年も、過去の傾向にならって先行馬狙いの組み立てでいいのではないでしょうか」

 これらのことを踏まえて、松田記者は2頭の穴馬候補をピックアップする。

「一発候補として、まず名前を挙げたいのはウインマクシマム(牡2歳)です。松岡正海騎手が大きな期待を寄せる1頭で、デビュー前から将来性の高さを評価していました。初陣を前にした最終追い切りの際にも、『能力は世代トップクラス』とお墨つきを与えていました。

 ただ同時に『成長が思っていたよりもゆっくり』と話していただけあって、新馬戦(8月20日/札幌・芝2000m)で2着に敗れたのも仕方がないでしょう。石川裕紀人騎手が騎乗した2戦目の未勝利戦(11月12日/東京・芝1800m)も大きく構えすぎたこともあってか、2着と惜敗。

 ともあれ、2戦とも勝ち馬とはタイム差なしの2着。能力の片りんを十分に示して臨んだ3戦目の未勝利戦(12月3日/中山・芝2000m)では、鮮やかな逃げきりで待望の初勝利を飾りました。

 その勝ち方からもわかるとおり、本質的に瞬発力で勝負するタイプではない馬。常に前で立ち回れる器用さは、今の中山の馬場、ホープフルSの特性にも合っていると踏んでいます」



ホープフルSでの一発が期待されるウインマクシマム。photo by Sankei Visual

 気になるのは、ローテーション。今回の一戦に向けては、中2週、中3週といったタイトなスケジュールとなるが、松田記者は「問題ない」と言う。

「秋3戦目のうえ、短い間隔での連戦でおつりが残っているかどうか不安視されていますが、有馬記念当日(12月24日)に松岡騎手が追い切りに騎乗。美浦ウッドでしっかり動かして、ラスト1ハロンで自己最速の11秒0をマークしました。これなら、蓄積疲労は心配なさそう。立ち回りのうまさを発揮して、上位争いに加わってくるはずです」

 松田記者が推奨するもう1頭は、「単勝オッズで旨味がありそう」というレガレイラ(牝2歳)だ。

「GI昇格後、牝馬の参戦は2017年のナスノシンフォニー(5着)、リュヌルージュ(11着)の2頭のみ。2歳牝馬のGI阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神・芝1600m)に向かわず、牡馬相手のこちらを選ぶのは、来春の狙いが『GI桜花賞(阪神・芝1600m)よりもGIオークス(東京・芝2400m)』と、陣営が見込んでいるからこそでしょう。そしてレガレイラも、血統的にも走り的にも中距離タイプです。

 前走のリステッド競走・アイビーS(10月21日/東京・芝1800m)は3着でしたが、極端な瞬発力勝負になったことでの位置取りの差が出たもの。勝った評判馬のダノンエアズロックとコンマ2秒差なら、評価を落とすことはないでしょう。

 函館の新馬戦(7月9日/函館・芝1800m)では、牡馬相手に中団追走から差しきり勝ち。同レースでマークした上がり34秒3は、当舞台での2歳新馬戦では歴代最速でした。

 この一戦で、小回りに対応しつつ、じわじわと長くいい脚を使えることを実証。中山への対応の下地はあり、牝馬でも侮れません。ゴンバデカーブース(牡2歳)ら2勝馬たちに人気が集中すれば、穴馬として大いに期待できます」

 今年最後の大一番。昨年同様"荒れる"ようなら、ここに挙げた2頭が高配当の使者となるかもしれない。