12月28日(木)、中山競馬場で2歳馬によるGⅠホープフルS(芝2000m)が行なわれる。 2017年にGⅠに昇格から7回目の開催となる。2018年の勝ち馬サートゥルナーリアがのちに皐月賞を、2019年の勝ち馬コントレイルがクラシック3冠…

 12月28日(木)、中山競馬場で2歳馬によるGⅠホープフルS(芝2000m)が行なわれる。

 2017年にGⅠに昇格から7回目の開催となる。2018年の勝ち馬サートゥルナーリアがのちに皐月賞を、2019年の勝ち馬コントレイルがクラシック3冠を制したほか、2017年2着のジャンダルム、2018年3着のニシノデイジー、2019年6着のパンサラッサ、2020年4着のタイトルホルダー、2021年2着のジャスティンパレスと、毎年のようにのちのGⅠ馬が出走。出走馬の将来性も含めて注目のレースだ。

 このレースを血統的視点から占っていこう。今回、筆者が本命に推すのはヴェロキラプトル(牡2歳、栗東・高野友和厩舎)だ。



前走の野路菊Sを勝利したヴェロキラプトル photo by Sankei Visual

 同馬は6月24日の新馬戦(東京・芝1800m)を逃げ切り勝ち。続く野路菊S(阪神・芝1800m)を勝ってここに臨む。野路菊Sでは新馬戦とは打って変わって、3、4番手から末脚を伸ばす自在性を見せた。

 血統を見ると、伯父に仏GⅠイスパーン賞のルーソヴァージュ、GⅠ仏グランクリテリウムのルーソリテールなど、近親に活躍馬が多い活発な牝系だ。父スワーヴリチャードの産駒は今年デビューで、GⅡ京王杯2歳Sを勝ってGⅠ阪神ジュベナイルフィリーズ3着のコラソンビートなど、20頭が勝ち上がる活躍。今年のJRA新種牡馬リーディングはほぼ確定だ。

 スワーヴリチャードは現役時代、GⅠ大阪杯、GⅠジャパンCを勝った馬で、4歳以降に本格化したイメージもある。だが、2歳時にGⅢ東京スポーツ杯2歳Sで2着に入り、3歳2月のGⅢ共同通信杯を勝つなど、早い時期から頭角を現していた。

 その父は、今年の有馬記念を制したドウデュースなどの父としても知られるハーツクライ。ハーツクライ産駒はこのレースと好相性で、2017年にタイムフライヤーが勝利し、2019年にはワーケアが3着。後継種牡馬ジャスタウェイの産駒も、2020年にダノンザキッドが勝利し、2018年にアドマイヤジャスタが2着に入っている。

 母の父ジャイアンツコーズウェイは今年、ダートGⅠ/地方交流GⅠを3勝したレモンポップの母の父として有名だ。母の父としてはダートや障害の活躍も目立つが、芝重賞の2勝は2017年GⅢ中山金杯のツクバアズマオー、2022年中山牝馬Sのクリノプレミアムと、いずれも中山の中距離戦となっているだけに、このコースは合いそうだ。

 もう1頭はサンライズジパング(牡2歳、栗東・音無秀孝厩舎)を推す。地方交流GⅢJBC2歳優駿(門別・ダート1800m)の2着馬で、勝利したレースも阪神ダート・1800m。芝は新馬戦(東京・芝1800m)の4着のみだが、血統を見ると芝向きだ。

 父キズナはGⅠ日本ダービーの勝ち馬で、産駒にはソングライン、アカイイトといった芝GⅠ馬がいる。ほかに、現2歳世代もGⅠ朝日杯フューチュリティS3着のタガノエルピーダ、GⅡ東京スポーツ杯2歳S2着のシュバルツクーゲルなど実力馬が揃っている。

 兄グランシエロは現1勝だが、2歳時にアイビーSで1着ドウデュースとクビ差の2着に入り、のちのGⅠ菊花賞馬アスクビクターモアには先着。3歳時にはGⅡ青葉賞で、勝ち馬から0秒4差の4着に入っている。

 また、伯父コントリビューターは芝の1600mと2000mの豪GⅠを2勝した一流馬。母の父ゾファニーも2歳戦の愛GⅠフィーニクスSを勝っており、配合的にも芝の要素が濃い。前走はダート1600mのカトレアSで15着という大敗を喫しているため、人気にならなそうだが「穴馬」として面白い存在だ。

 以上、今年のホープフルSは、スワーヴリチャード産駒ヴェロキラプトル、キズナ産駒サンライズジパングの2頭に期待する。