師走の都大路を駆け抜ける全国高校駅伝競走大会(日本陸上競技連盟など主催)は24日、京都市のたけびしスタジアム京都発着のコースであった。宮城県勢は男女とも仙台育英が出場。終始、優位なレース展開に持ち込んだ女子は、2年連続で惜しくも準優勝だっ…
師走の都大路を駆け抜ける全国高校駅伝競走大会(日本陸上競技連盟など主催)は24日、京都市のたけびしスタジアム京都発着のコースであった。宮城県勢は男女とも仙台育英が出場。終始、優位なレース展開に持ち込んだ女子は、2年連続で惜しくも準優勝だった。男子は8位入賞。
2年ぶりの優勝を目指した女子(5区間、21・0975キロ)。最長6キロを走り各校のエースが集まる1区は例年より10秒ほど早いハイペースの展開になったが、細川あおい選手(2年)が先頭集団に食らいついた。トップと11秒差の区間3位で、2区のケニア人留学生デイシー・ジェロップ選手(2年)にたすきをつないだ。ジェロップ選手が区間賞の走りでトップに立つと、その後は1位をキープ。4区までに2位との差を30秒に広げた。
しかし5キロを走るアンカー区間の5区で、トップから1分20秒離れていた神村学園(鹿児島)の留学生カリバ・カロライン選手の猛追にあい、トラック勝負に持ち込まれた。橘山(きつやま)莉乃選手(3年)は粘りの走りをみせたが、ゴールまで残り約100メートル地点でかわされた。その差はわずか1秒ほど。ゴール後、橘山選手は涙にくれたが、同区間で日本人2位の力走だった。釜石慶太監督は「選手たちは、精いっぱいの走りを見せた。あれは相手をほめるしかない。完敗です」と振り返った。
男子(7区間、42・195キロ)は昨年5位からの飛躍を期した。1区の大浜逞真(たくま)選手(3年)は区間9位。その後、3区で折り返し地点を間違えるミスもあったが、7区のアンカー・鈴木大翔選手(1年)が区間4位の力走をみせ、ゴール手前約300メートル地点で小林(宮崎)を抜いて8位入賞。直前合宿で体調不良者が出て、メンバー変更するなど万全ではない状態だったが、強豪校の意地をみせた。杉浦蒼太主将(3年)は「昨年の悔しさを胸に刻んで練習してきた。やってきたことに悔いはない」と語った。(小山歩)
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「都大路でアンカー」は入学前からの目標だった。橘山(きつやま)莉乃選手(3年)は、トップでたすきを受け取った。4区から5区への中継点では、2位の立命館宇治(京都)と30秒差、3位の神村学園とは1分20秒差ついていた。夢だった優勝のゴールテープ。「切るのは私だ」。沿道の声援で、後続が迫っていることは感じたが、最後まで優勝できると信じていた。
入学時から貧血気味で、けがも繰り返した。1、2年生の時は満足に練習できないことも多かった。だが両親やチームメートの支えもあり、今年に入って本来の走りを取り戻した。3年目にして初めてつかんだ都大路の舞台だった。
アンカーの5区を告げられたのは約1週間前。釜石慶太監督との面談で「どこを走りたいか」と聞かれ「5区です」と即答。「どんな展開になっても自分が優勝のゴールテープを切る」と意気込んだ。
「まだいける、がんばれ」など、両腕はチームメートから書かれたメッセージであふれた。仲間の応援が背中を押した。
優勝した神村学園(鹿児島)のアンカーは5キロの同区間で15分を切り、同じコースを走った男子のアンカーの7位相当という圧巻の走りだった。ゴール直前に抜かれ、惜しくも2位。「ゴールテープを切れなくて申し訳ない」と涙が止まらなかった。
それでも区間6位、日本人では2位。5キロを16分11秒で走り抜いた。釜石監督は「すばらしい走りだった」とたたえた。
卒業後は実業団でマラソン選手をめざす予定だ。夢は「オリンピックに出ること」。「憧れた舞台で、一番悔しい思いをした。今度は、夢のままで終わらせたくないです」。この悔しさを、新たな夢への大きな推進力に変える。(小山歩)