全国高校駅伝が24日、たけびしスタジアム京都発着のコースで行われる。宮城県は男女ともに仙台育英が出場し、特に優勝に近いのは5区間を走る女子。昨年は最終5区で長野東に抜かれ、無念の2位だった。悔しさを晴らすべく、師走の都大路を駆け抜ける。 …

 全国高校駅伝が24日、たけびしスタジアム京都発着のコースで行われる。宮城県は男女ともに仙台育英が出場し、特に優勝に近いのは5区間を走る女子。昨年は最終5区で長野東に抜かれ、無念の2位だった。悔しさを晴らすべく、師走の都大路を駆け抜ける。

 過去5年間では3位以上をキープし、一昨年は優勝。連覇をかけて臨んだ昨年の大会。最終5区。1年生アンカーだった細川あおい選手(2年)は首位でたすきを受け継いだ。だが、ゴールまで残り約2キロの地点で優勝した長野東にかわされ、そのまま追いつけなかった。試合後、涙が止まらず、タオルで顔を覆い続けた。何度も「ごめんなさい」と謝った。細川選手は「人生で一番泣きました」と当時のことを振り返る。

 山形市出身。幼少期から走ること、特に長距離が大好き。中学時代までは全国大会の経験はなかったが、高いレベルで陸上をやりたいと駅伝の強豪・仙台育英に入学。才能が開花し、昨年はいきなり1年生ながらアンカーを任せられた。

 だが、「どこか先輩たちに頼っているところがあった」というのが昨年だった。1区の杉森心音選手(現・日本郵政)を中心に前半を飛ばし、その貯金で逃げ切る作戦。細川選手は「アンカーという自覚が足りなかった。あの悔しさは一生忘れない」と言う。

 「今度は自分がチームを引っ張るんだ」と気持ちを切り替えた。練習量も2倍に増やし、誰にも負けない走りを追求した。細川選手は足の回転の速さと、姿勢がぶれない体幹が武器。身長150センチと小柄ながら、リズムの良い走りで安定感はさらに増している。

 同校駅伝女子の釜石慶太監督も「高校生でここまでテンポが良い走りはまず見ない」。10月末に行われた県予選では1区を独走し、区間新をマーク。釜石監督の想定したタイム19分30秒を大幅に上回る、19分07秒でフィニッシュ。2019年の都大路優勝時のエース・小海遥選手(現・第一生命)の記録を14秒も更新した。

 細川選手は今年の都大路で、各校の絶対的エースが集う1区を走る見込みだ。「誰が来ても絶対負けない」と意気込んでいる。

 08年、09年の豊川(愛知)以来となる「連覇」という大きな目標をめざすためのリスタート。「偉大な先輩たちから託された夢を、私たちでかなえたい」と細川選手。悔しさを糧に、成長した姿に注目だ。 昨年5位の男子も上位の常連で、男女優勝を果たせるかにも注目が集まる。(小山歩)