暮れの大一番となるGI有馬記念(中山・芝2500m)が12月24日に行なわれる。 過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気が6勝、2着1回、3着1回とかなり安定した成績を残している。ただその一方で、伏兵の台頭もしばしば見られる。直近3…

 暮れの大一番となるGI有馬記念(中山・芝2500m)が12月24日に行なわれる。

 過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気が6勝、2着1回、3着1回とかなり安定した成績を残している。ただその一方で、伏兵の台頭もしばしば見られる。直近3年だけでも、11番人気のサラキア(2020年)、5番人気のディープボンド(2021年)、6番人気のボルドグフーシュ(2022年)がいずれも2着に突っ込んできている。

 こうした傾向から、人気薄の激走を見越してオイシイ配当を狙ってみるのも悪くはないだろう。そこで、過去の10年の結果を参考にして、今年のレースで波乱を起こしそうな馬をあぶり出してみたい。

 まず狙いたいのは、牝馬だ。

 この舞台で牝馬が強いのは、データからも明らか。過去10年で延べ7頭、最近5年では延べ5頭が馬券圏内(3着以内)に入っている。となれば、今年も牝馬の躍動には注意を払うべきだろう。

 そして今回、出走予定の牝馬は計6頭。ウインマリリン(牝6歳)、スターズオンアース(牝4歳)、スルーセブンシーズ(牝5歳)、ハーパー(牝3歳)、ホウオウエミーズ(牝6歳)、ライラック(牝4歳)である。

 どの馬も上位進出のチャンスはあるだろうが、過去10年で馬券圏内に入った延べ7頭の馬齢を見ると、5歳馬が5頭と最も多かった。ということで、ここでは5歳馬のスルーセブンシーズを推したい。



前走の凱旋門賞でも4着と善戦したスルーセブンシーズ。photo by Kyodo News

 同馬は上半期の"グランプリ"GI宝塚記念(6月25日/阪神・芝2200m)で、世界ランク1位のイクイノックスとタイム差なしの2着と好走。その後も、海外GIの凱旋門賞(10月1日/フランス・芝2400m)で世界の強豪相手に4着と健闘している。

 さらに、父は2009年の有馬記念の覇者ドリームジャーニー。当舞台との相性もいいはずで、海外帰りの一戦とはいえ、その地力の高さから一発への期待は膨らむ。

 次に注視したいのは、3歳牡馬だ。

 こちらも牝馬同様、ここ最近の有馬記念で際立った強さを見せている。実際、過去10年で9頭が馬券圏内に入っているが、そのうち6頭が直近5年に集中。3頭が勝利を飾っている。まさに"3歳牡馬優勢"のトレンドは上昇曲線を描いており、今年も積極的に狙っていきたいところだ。

 今回の出走馬には、ソールオリエンス(牡3歳)とタスティエーラ(牡3歳)の2頭がいる。前者が皐月賞馬(ダービー2着、菊花賞3着)で、後者がダービー馬(皐月賞2着、菊花賞2着)であり、どちらも勝ち負けを演じる可能性は高い。

 しかしながら、過去10年の結果をあらめて振り返ってみると、その年のダービー馬が有馬記念で馬券に絡んだことは一度もない。単純に出走頭数が少ないこともあるが、皐月賞馬や菊花賞馬が勝っていることを考えると、見逃せないデータと言える。

 その点を重視するなら、タスティエーラよりも、ソールオリエンスのほうを上に見たい。

 最後にピックアップしたいのは、この舞台を最後に引退するGI馬、それもGI3勝以上の実績を持つ馬だ。

 有馬記念では古くから、GIで数々の激闘を繰り広げてきた名馬が有終の美を飾るシーンが見られてきた。ここ10年においても、2013年のオルフェーヴル、2014年のジェンティルドンナ、2017年のキタサンブラック、2019年のリスグラシューらが、現役ラストランで見事な勝利を披露してきた。

 そして、これらの馬たちに共通しているのが、それまでにGI3勝以上を挙げていたこと。それからすると、今回が引退レースとなるタイトルホルダー(牡5歳)は無視できない存在となる。

 同馬は、GI菊花賞(阪神・芝3000m)、GI天皇賞・春(阪神・芝3200m)、GI宝塚記念(阪神・芝2200m)と、GIで3度栄冠を獲得。今年はGI勝ちこそないものの、春にはGII日経賞(3月25日/中山・芝2500m)を勝って、前走のGIジャパンC(11月26日/東京・芝2400m)でも5着と善戦し、極端な衰えは見られない。

 自らが主導権を握ってレースを進められれば、"名馬"として華々しいフィナーレを飾ってもおかしくない。

 これまでにも、さまざまなドラマが生み出されてきた有馬記念。今年はどんな名シーンがファンの心に刻まれるのか。好メンバーが集った白熱の戦いから目が離せない。