知的障害がある若者が学ぶ福祉施設「エルズカレッジおおさか」(大阪市浪速区)の2回生・東千優(ちひろ)さん(20)が、10月に鹿児島県で開かれた特別全国障害者スポーツ大会の陸上競技に出場し、金メダルを三つ獲得した。 1位になったのは100メ…

 知的障害がある若者が学ぶ福祉施設「エルズカレッジおおさか」(大阪市浪速区)の2回生・東千優(ちひろ)さん(20)が、10月に鹿児島県で開かれた特別全国障害者スポーツ大会の陸上競技に出場し、金メダルを三つ獲得した。

 1位になったのは100メートルと200メートル、男女4人で挑んだ400メートルリレー。表彰台に立ったことを「うれしかった」と振り返る。祖母が鹿児島出身だが、大会直前に亡くなった。優勝者がもらえるブーケを霊前に供え、報告したという。

 小学4年のとき、母の由紀さん(51)の「競技経験のある父や祖父と楽しめるように」という勧めで、地元・大阪府枚方市の陸上クラブチームに入団。その後、知的障害者の陸上チーム「堺ファインズ」で練習してきた。

 「もっと速くなりたい」と練習を重ね、週4、5回はジムで筋トレ。「前傾をキープする。徐々に体を上げる。忘れない、忘れない、忘れない、忘れない……」と、コーチのアドバイスをスマホのメモに記録している。アップ中に大好きなK―POPグループ・TWICEの音楽を聴き、緊張をほぐすのが「必勝メソッド」だ。

 11月11、12日には、香川県であった日本ID陸上競技選手権大会(兼)パラ陸上競技記録会に出場。200メートルで銅メダルだった。

 エルズカレッジの担任、増田瑞希さん(28)は「何事も一生懸命。学校生活でも陸上で培った集中力や継続力を感じる場面が多い」と評価する。

 「走ることが大好き」と笑顔を見せる東さんの夢は国際大会出場。遠方での試合は父の運転で向かうなど、家族のサポートが欠かせない。由紀さんは「千優が生涯にわたって楽しんでいけることに、できる限り手を貸したい」と話している。(小若理恵)