【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】 ◆血統で振り返る朝日杯FS 【Pick Up】ジャンタルマンタル:1着  母の胎内に入った状態で輸入され、わが国で誕生した馬を「持込馬」といいます。当レースではこれまでにマルゼ…

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返る朝日杯FS

【Pick Up】ジャンタルマンタル:1着

 母の胎内に入った状態で輸入され、わが国で誕生した馬を「持込馬」といいます。当レースではこれまでにマルゼンスキー(76年)、アドマイヤコジーン(98年)、グレナディアガーズ(20年)、そして本馬と、計4頭が勝利を挙げています。また、外国産馬も7頭優勝しているので、海外血統が活躍しやすいレースといえるでしょう。

 父パレスマリスは、現役時代にアメリカで走り、ベルモントS(米G1・ダ12ハロン)やメトロポリタンH(米G1・ダ8ハロン)を勝ちました。ジャスティンパレス(天皇賞(春))とアイアンバローズ(ステイヤーズS)の半兄にあたる良血で、「カーリン×ロイヤルアンセム×レッドランサム」という構成は、アメリカ血統であっても芝適性を感じさせるものです。

 母インディアマントゥアナは、アメリカでレッドカーペットH(G3・芝11ハロン)を勝ちました。父母からそうした資質を受け継いだジャンタルマンタルは、ハイレベルな日本の芝路線でGIを制覇するという“強さ”も備わっています。中団のインで脚をためて抜け出すというレース巧者ぶりは印象的。血統的には少々距離が延びても問題ないと感じます。

 パレスマリスは来年から日高町のダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックスで供用されます。ちなみに、アメリカ供用時代の代表産駒ストラクター(BCジュベナイルターフ)も、来年から新ひだか町のレックススタッドで供用されます。

◆血統で振り返るターコイズS

【Pick Up】ミスニューヨーク:3着

 最内から差を詰めて3着。同一重賞3連覇はなりませんでした。一昨年53kg、昨年55kgで、今年は56.5kgのトップハンデ。6歳暮れの牝馬にとって楽な条件ではありませんでしたが、それでも僅差の競馬に持ち込んだわけですから、称賛すべき走りだったと思います。

「母の父マンハッタンカフェ」は、ダービー馬タスティエーラを筆頭に、砂の大物テーオーケインズ、メイショウハリオ、芝マイルのソウルラッシュ、ステイヤーのテーオーロイヤルなど、幅広いカテゴリーから活躍馬を出しています。2023年のブルードメアサイアーランキング(中央+地方)は、キングカメハメハ、ディープインパクト、クロフネに次ぐ第4位と優秀です。

 マンハッタンカフェはドイツ牝系から誕生した異色の血統。サンデー産駒とはいえ主流血統が乏しいため、強く自身の特長を主張するというより、掛け合わせた血統の良さを引き出すタイプ。ですから、母の父にマンハッタンカフェを持つ馬は、父の特長に左右されやすいため、それが幅広いカテゴリーから活躍馬を出すことにつながっていると思われます。

 ミスニューヨークの父キングズベストは、重厚なヨーロッパ血統で、少し時計の掛かる小回りコースがベスト。洋芝をオーバーシードした暮れの中山芝はぴったりの条件です。