アメリカンフットボールの大学日本一を決める第78回甲子園ボウル(全日本大学選手権決勝)が17日、阪神甲子園球場であり、関学大(関西)が法大(関東)を61―21で破り、6年連続34度目の優勝を果たした。6連覇は大会単独最多。 関学大は第1ク…

 アメリカンフットボールの大学日本一を決める第78回甲子園ボウル(全日本大学選手権決勝)が17日、阪神甲子園球場であり、関学大(関西)が法大(関東)を61―21で破り、6年連続34度目の優勝を果たした。6連覇は大会単独最多。

 関学大は第1クオーター(Q)にQB星野秀太(2年、足立学園)のタッチダウン(TD)で先手を奪った。その後も攻撃の手を緩めず、33―7で折り返した。後半も4TDを挙げて突き放した。

 甲子園ボウル最優秀選手(MVP)には関学大の星野、敢闘選手には法大の高津佐隼世(こうつさじゅんせい、2年、佼成学園)、年間最優秀選手(ミルズ杯)には関大のQB須田啓太(3年、関大一)が選ばれた。

 全国8地区の優勝校が出場した全日本大学選手権は来年から、関東と関西の2、3位の計4校を加えた12校での争いに変更される。甲子園ボウルが同地区対決になる可能性がある。

■関学大、スローガン通り「圧倒」劇

 得意のランで先制TDを奪った関学大のQB星野が、今度はパスでみせた。

 7点リードの第1Qの11分過ぎだ。ゴール付近へ走り出したWR五十嵐太郎(2年、関西学院)の動きを見逃さない。星野が投げた楕円(だえん)球は、大きな弧を描いて相手防御陣の頭上を抜け、38ヤードのTDパスになった。「僕のやりたいオフェンスができました」とにんまり。試合の主導権を握った。

 今年の関学大は攻撃面が課題と言われてきた。もろに出たのが、リーグ最終戦の関大戦。1TDしか奪えずに13―16で敗れ、3校同率優勝となった。抽選で大学選手権への出場権を得て、かろうじて甲子園への道はつながった。

 この1敗が、チームに危機感を植え付けた。「もっと速く、もっと強くならないと」とWR前島仁(4年、関西学院)。

 攻撃時のブロックや、パスのタイミングなど、細部まで詰め、ひたすら反復練習をした。試合さながらの緊迫感。ミスをすれば「ラン、通っていないぞ」などと容赦ない声が飛び交った。練習の強度を例年より上げ、この日のために仕上げてきた。

 61得点は甲子園ボウルでの関学大史上最多。主将の海崎琢(4年、箕面自由)は「あの負けがあって、今がある。あの負けを糧にここまでこられてよかった」。スローガンの「DOMINATE(圧倒)」を体現し、前人未到の6連覇で有終の美を飾った。(大坂尚子)

■監督「今季の中でもいいゲーム」

 大村監督(関) 「今シーズンの中でも、いいゲームをしたと思う。(6連覇の)実感はあまりないが、そういう記録を残せてよかった」

 星野(関) 自ら2TDを決めるなど4TDに絡み、MVPに。トロフィーを眺めながら「初めてこういう賞をもらって、本当にうれしい」。

 五十嵐(関) 同学年の星野からのロングパスをキャッチしてTDを決める。「来年は上級生として、チームを勝たせられるホットラインを作りたい」

■法大、「関西」にはね返された

 法大は出足の鋭い相手のディフェンスにQB谷口(3年、法政二)のパスを乱された。伝統的に強さを誇るラン攻撃でも45ヤードの獲得にとどまった。

 「想定以上に厳しい展開で、フィジカルで圧倒された」と谷口が肩を落とせば、1TDを含む8度のレシーブで敢闘賞に選ばれたWR高津佐も「関西のタックルは勢いが違う」と悔し涙を流した。

 甲子園ボウルは2005、06年に法大が連覇した後、関西勢の16勝1敗。来季から大会方式が変わるため、関東勢にとっては、準決勝までに関西勢と戦う可能性があり、甲子園への道のりは険しくなる。谷口は「関西の強敵を意識した体作りが必要。来季の出だしから勝負は始まっている」と危機感を口にした。