ナニワの象徴、通天閣を模した覆面プロレスラーがいる。フリーで活動する「通天閣下(つうてんかっか)」。数年前に難病を発症したことを機に、プロレスの世界へ。通天閣側からは「通天閣のように大きくなって」と公認のお墨付きをもらった。 マスクにも技…

 ナニワの象徴、通天閣を模した覆面プロレスラーがいる。フリーで活動する「通天閣下(つうてんかっか)」。数年前に難病を発症したことを機に、プロレスの世界へ。通天閣側からは「通天閣のように大きくなって」と公認のお墨付きをもらった。

 マスクにも技にも、通天閣の要素が盛りだくさんだ。マスクには通天閣を模した銀色のパーツが光る。試合の入場時には、両手を上げて八の字をつくる「通天閣ポーズ」を披露。太い腕を相手の胸元にたたきつける「通天ボンバー」や、背後から相手を締め上げる「通天ロック」が飛び出す。

 身長171センチ、体重77キロ。年齢は非公表で、もちろんマスクの下の素顔も明かしていない。

 今年5月、X(旧ツイッター)で長文を投稿した。

 「私は皮膚筋炎という指定難病を患っています。(中略)同じ境遇の方や病や怪我(けが)等で苦しんでいる方に、病や怪我を理由に夢を諦めないで欲しい。情熱がある限りやりたい事は実現できる」

 皮膚筋炎は自己免疫疾患の一つで、筋肉や皮膚に炎症が生じる。発疹のほか、筋肉に力が入りにくくなったり疲れやすくなったりし、肺炎を併発することもある。

 異変を感じたのはスポーツジムのトレーナーをしていた2019年2月ごろ。手首に痛みが走り、手の指先が荒れて出血した。原因が分からず病院を転々とし、大きな病院で皮膚筋炎と診断された。

 1階から2階へ階段を上るだけで息が切れ、60キロあった握力は10キロに落ちてペンも握れない。動かなくなる体に「死を覚悟した」ほどだった。1年ほど入退院を繰り返す日々のなかで、ふと考えた。

 「病院から退院したら何がしたいだろう」。頭に浮かんできたのは「プロレス」だった。