今週は2歳マイル戦線の王者を決める、第75回朝日杯フューチュリティS(GI、芝1600m)が阪神競馬場で行われる。 今年は、東京スポーツ杯2歳Sを制したシュトラウスや、デイリー杯2歳S覇者ジャンタルマンタル、札幌2歳Sを制したセットアップ、…

今週は2歳マイル戦線の王者を決める、第75回朝日杯フューチュリティS(GI、芝1600m)が阪神競馬場で行われる。

今年は、東京スポーツ杯2歳Sを制したシュトラウスや、デイリー杯2歳S覇者ジャンタルマンタル、札幌2歳Sを制したセットアップ、小倉2歳S勝ち馬アスクワンタイムと、重賞ウイナーが4頭参戦。そのほか、エコロヴァルツ、エンヤラヴフェイスなど骨っぽいメンバーが集結し、見応えのある一戦となりそうだ。

そんな中、デビューから2戦無敗のダノンマッキンリーが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。

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■2歳GIに縁のない名伯楽

昨年のセレクトセール1歳セリ部門で、2億4200万円と超高額で落札され、デビュー前から注目を集めていたダノンマッキンリー。その期待に応えるように、新馬戦から2連勝で、勇躍GIへ駒を進めてきた。

デビュー戦は好位から進み、着実に勝ち上がることを意識したレース運びだったが、前走の秋明菊賞(1勝クラス)では、敢えて中団に控え、終いでどれだけ伸びるかを試すような競馬に。結果、上がり3F34秒0と、強烈な決め手を発揮して快勝を果たし、今後を見据える上では、レース幅を広げる内容となった。

問題は、1400mしか経験しておらず、距離延長となる点が今回の懸念材料。血統背景から、距離は問題ないようにも思えるが、過去のデータから紐解くと、そこまで絶大なる信頼感は置けない。

阪神開催に変わった2014年以降、過去9年で、前走が1勝クラス以下だった馬の成績は【4.0.2.42】で、オープン・重賞組と比較すると少し分は悪いが、勝ち馬を4頭も輩出しており、決して無理筋ではない。

しかし、3着以内に入った6頭は、すべて1600m以上(勝ち負けを問わず)のレースを経験したことがある馬。前走1400mの未勝利勝ちから朝日杯FSを制した20年グレナディアガーズも、一度はマイル戦を走っており、距離経験値の有無は、当レースでの結末に大きな影響を与えそうだ。

また、ダノンマッキンリーは藤原英昭厩舎の管理馬だが、これまでにダービー2勝、GI通算11勝を誇る伯楽も、阪神ジュベナイルFやホープフルSも含めて、2歳GIにはなぜか縁がない。

これまでの2歳GIの成績は【0.0.1.8】と、20年朝日杯フューチュリティSで、レッドベルオーブが1番人気で3着に敗れるなど、結果が伴っていない印象。出走数も少なく、2歳時に目イチに仕上げてタイトルを奪取、というよりも、あくまで翌年のクラシックなど、先々を見据えた調教スタイルが、この数字に表れているのかもしれない。

2戦無敗で来ているダノンマッキンリーだが、これまで戦ったメンバーの戦績などを見てみると、やや低調な相手関係だったイメージもあり、重賞ウイナーたちを相手に、実際はどこまで戦えるのか、微妙な印象もある。ましてや、藤原英昭×ルメールというコンビだけで、おそらく人気も過剰になりそうで、妙味を考えると、ここは思い切って「消し」でいきたい。

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◆著者プロフィール

石川豊●いしかわゆたか 20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。