12月10日(日)、阪神競馬場で2歳牝馬によるGⅠ阪神ジュベナイルフィリーズ(芝1600m)が行なわれる。 昨年の勝ち馬リバティアイランドは、その後に同じ阪神・芝1600mの桜花賞、オークス(東京・芝2400m)、秋華賞(京都・芝2000…

 12月10日(日)、阪神競馬場で2歳牝馬によるGⅠ阪神ジュベナイルフィリーズ(芝1600m)が行なわれる。

 昨年の勝ち馬リバティアイランドは、その後に同じ阪神・芝1600mの桜花賞、オークス(東京・芝2400m)、秋華賞(京都・芝2000m)までGⅠを4連勝。2020年の勝ち馬ソダシも翌年の桜花賞を勝ったように、翌年のクラシック、特に条件が同じ桜花賞の結果に直結することが多いこのレースを血統的視点から占っていこう。

 今回の出走馬の父の中で、最もこのレースの勝利数が多いのはダイワメジャー。2015年のメジャーエンブレム、2019年のレシステンシアの2頭が勝利していて、2016年にはレーヌミノルが3着に入っている。

 今年はアスコリピチェーノ(牝2歳、美浦・黒岩陽一厩舎)が出走予定だ。同馬はデビュー戦となった今年6月の新馬戦(東京・芝1400m)と、前走の新潟2歳S(新潟・芝1600m)と2連勝。新馬戦は4コーナー11番手からの差し切り、新潟2歳Sは5番手からの差し切りで、いずれも上がり3Fは33秒3という非凡な瞬発力を見せた。



前走の新潟2歳Sを勝ったアスコリピチェーノ

 アスコリピチェーノは半兄アスコルターレ(父ドゥラメンテ)がもみじS(京都・芝1400m)勝ち馬。半姉アスコルティアーモ(父キタサンブラック)は現3歳で5戦2勝、3着以下がない素質馬だ。

 叔母はGⅡローズS(阪神・芝1800m)のタッチングスピーチで、その産駒が昨年のGⅠホープフルS(中山・芝2000m)3着のキングズレイン。さらに、叔父にはGⅠ菊花賞(京都・芝3000m)2着のサトノルークス、祖母が2歳英GⅠフィリーズマイル(ニューマーケット・芝1600m)勝ち馬リッスンと、近親に活躍馬が多い。

 アスコリピチェーノの血統で最も注目すべきは、その配合だ。母の父はダンチヒ系デインヒル産駒のデインヒルダンサーで、祖母の父がサドラーズウェルズ。このダンチヒとサドラーズウェルズの血が、過去の勝ち馬メジャーエンブレム、レシステンシアと共通している。

 特にレシステンシアは、母の父リザードアイランドがデインヒルダンサーの産駒であり、祖母の父がサドラーズウェルズ産駒のポリグロート。1代ずつ血は薄くなっているが、母の父デインヒルダンサー系、祖母の父サドラーズウェルズ系という血統構成も共通だ。

 ちなみに、今年のGⅠマイルチャンピオンシップ(京都・芝1600m)を勝ったナミュールは母の父がダイワメジャー、父がデインヒル系のハービンジャーという血統で、同馬を逆にしたような配合ともいえる。

 アスコリピチェーノの脚質は、2019年に阪神JFのレースレコードとなる1分32秒7で逃げ切ったレシステンシアとは異なるが、最近のダイワメジャー産駒はアドマイヤマーズ、セリフォスなど差し脚鋭いタイプのGⅠ馬も増えてきている。アスコリピチェーノもその流れに乗りたいところだ。

 もう1頭はシカゴスティング(牝2歳、栗東・庄野靖志厩舎)を推す。同馬はデビュー2戦目の新潟・芝1400mの未勝利戦を快勝後、OPフェニックス賞(小倉・芝1200m)を勝利。前走のGⅢファンタジーS(京都・芝1400m)では3着に入っている。

 血統でいうと、父ロゴタイプはGⅠ皐月賞(中山・芝2000m)、GⅠ安田記念(東京・芝1600m)、GⅠ朝日杯フューチュリティS(中山・芝1600m)などの勝ち馬。また、同馬の産駒ラブリイユアアイズは、2021年のこのレースで8番人気ながら2着に入っている。

 ラブリイユアアイズは札幌・芝1200mで新馬勝ちし、クローバー賞(札幌・芝1500m)で2連勝。続くGⅡ京王杯2歳S(東京・芝1400m)で3着に入ってから阪神JFに臨んでいた。シカゴスティングとは「芝1200mで勝利」「オープン特別で勝利」「前走が芝1400m重賞で3着」「1600mは未勝利」「社台ファーム生産馬」と共通点が多い。

 牝系を見ると、伯母にGⅠ桜花賞のマルセリーナ、いとこにGⅡ目黒記念(東京・芝2500m)のヒートオンビート、GⅢ京成杯(中山・芝2000m)勝ち馬のラストドラフトがいる。桜花賞は今回と同じ阪神・芝1600mということもあり、牝系からの距離適性も期待できそうだ。

 以上、今年の阪神ジュベナイルフィリーズは、ダイワメジャー産駒アスコリピチェーノ、ロゴタイプ産駒シカゴスティングの2頭に期待する。