「失敗」に終わった札幌オリンピック・パラリンピック招致をどうしていくか。焦点となっている市の対応について、5~6日にあった札幌市議会の代表質問で質疑が相次いだ。議員からは落選の原因を指摘する声や招致の白紙撤回を求める声もあがったが、秋元克…

 「失敗」に終わった札幌オリンピック・パラリンピック招致をどうしていくか。焦点となっている市の対応について、5~6日にあった札幌市議会の代表質問で質疑が相次いだ。議員からは落選の原因を指摘する声や招致の白紙撤回を求める声もあがったが、秋元克広市長は「将来に目を向けるために」と検証の必要性を示すにとどまった。

 2030年、34年両大会を招致する可能性が消滅してから、初めての市議会。招致を推進してきた自民会派の市議は、秋元市長が開催意義を伝えきれなかった点に言及。その上で「招致活動の初期から、幾度となく懸念を示して問うてきた」と批判した。今後の活動については、「将来、札幌市が開催地となる可能性は高く、大規模ウィンタースポーツ大会の誘致開催や競技施設の確保は重要」とも訴えた。

 公明会派の議員から38年以降の招致の考えについて改めて問われると、秋元市長は15年以上先の札幌市の未来が見通せないことに触れ、「立ち止まって考える必要がある」と話した。

 共産会派の議員は「継続的な対話」から退き、白紙撤回を求めたが、秋元市長は「事実上、継続的な対話は意味を失っており、現時点で招致活動を具体的に進めていける状況ではない」というにとどめた。

 民主会派の市議は「14年に五輪招致を表明して以降、長きにわたる招致活動が実を結ばなかったことは大変残念」と述べた。

 市民の理解が広がらなかった要因について、東京大会を巡る汚職・談合事件の影響をあげ、「どういったことを改めなければならないのかなどの検証と総括が必要」と指摘した。

 秋元市長は「新型コロナウイルスや東京大会の問題など外的要因が重なった」と言及。「招致活動で得られた効果や市民理解が十分に広がらなかった要因などについて、検証し総括する必要がある」と語った。今後、国際大会への誘致に知見を持つ有識者や招致活動関係者へのヒアリングなどを通して検証する方針だ。(古畑航希)