ジャパンCを制したイクイノックス(牡4、美浦・木村哲也厩舎)が現役を引退することが30日、報じられた。  まずは足跡を振り返ろう。今から思えば意外だが、3歳春までは同世代の中でも突出した存在ではなかった。皐月賞は僚馬ジオグリフに敗れて、…

 ジャパンCを制したイクイノックス(牡4、美浦・木村哲也厩舎)が現役を引退することが30日、報じられた。

 まずは足跡を振り返ろう。今から思えば意外だが、3歳春までは同世代の中でも突出した存在ではなかった。皐月賞は僚馬ジオグリフに敗れて、初黒星の2着。そして日本ダービーではドウデュースに差し届かずの2着。しかし、結果的にこれが最後の敗戦となった。その後は天皇賞(秋)でGI初制覇を果たすと、続く有馬記念も制して、年度代表馬に選出される。

 そして4歳を迎えて本格化。初の海外遠征となったドバイシーマクラシックを悠々と逃げ切ると、決して万全ではなかった宝塚記念も制覇。秋になって天皇賞(秋)を1分55秒2のレコードで連覇すると、先日のジャパンCではリバティアイランド以下の強豪を撃破し、GI6連勝を飾った。レーティングは世界一、そして総獲得賞金は歴代1位となる22億円超え。一部のファンからは「父キタサンブラックを超えた!」「いや、ディープインパクトも超えたんじゃないか!?」という声も聞かれるが、それも納得のパフォーマンスを続けてきた。

 来年からは北海道の社台スタリオンステーションで種牡馬になるとされるが、成功の可能性が高い。もちろん、最大の理由はイクイノックス自体の能力だが、決してそれだけではない。種付料はまだ発表されていないが、他馬と比較すれば最低でも1500万円。2000万円に迫る可能性も十分にある。これだけの高額となると、社台グループはもちろん、それ以外の牧場もエース級の繁殖牝馬を送り込むことは間違いなく、質量ともに万全のサポートを受けることとなる。

 また、父のキタサンブラックをはじめ、コントレイルやスワーヴリチャードといった同価格帯のトップサイアーがサンデーサイレンスの孫であるのに対し、イクイノックスはひ孫。産駒から見るとサンデーは4代前にあたるので、サンデー系の繁殖牝馬に種付けしやすいというセールスポイントがある。いや、それどころかディープインパクト産駒の牝馬との配合ならブラックタイドとディープインパクトの全兄弟クロス3×2が発生。数年後にはこのカップリングがトレンドとなっていることも考えられる。

 産駒のデビューは4年後の夏。今からイクイノックス二世の誕生を心待ちにしたい。