東京五輪・パラリンピックをめぐり、石川県の馳浩知事が、高額のアルバムをつくり、投票権を持つ国際オリンピック委員会(IOC)の委員におみやげとして渡したと話した。この発言によって、改めて注目が集まった五輪招致活動の実態はどのようなものだった…

 東京五輪・パラリンピックをめぐり、石川県の馳浩知事が、高額のアルバムをつくり、投票権を持つ国際オリンピック委員会(IOC)の委員におみやげとして渡したと話した。この発言によって、改めて注目が集まった五輪招致活動の実態はどのようなものだったのか。当時の招致委員会会長で、都知事だった猪瀬直樹氏(77)に聞いた。

 招致委会長を務めた猪瀬氏らが、先に五輪を開催したロンドンの関係者に引き継ぎを受けていたのが、IOCの倫理規定を厳守するということだったという。

 倫理規定は、招致活動でおみやげを贈ったり、もてなしなどの便宜を図ったりすることを厳しく禁じているほか、招致側とIOC委員が個人的な理由で会うことも制限していた。

 このため、猪瀬氏らは海外出張の際、偶然という形でオペラの隣席に座って接触したり、レセプション後のパーティーで、芸術を話題にスポーツの歴史と絡めて話しかけたりして交流を深めていったという。「規定に反しない『ぎりぎり』のラインで活動をしていた」と振り返る。

 そして、猪瀬氏が最も重要視し、実際に影響力があったのは、たびたび行われた公式なプレゼンテーションでのアピールだったという。(岡戸佑樹、太田原奈都乃)