【静岡】大相撲九州場所で熱海市出身の前頭8枚目、熱海富士(21)が初優勝をかけて千秋楽に臨んだが、賜杯(しはい)には届かなかった。優勝すれば県出身力士として初となるため、地元熱海市や母校の飛龍高校(沼津市)では秋場所に続きパブリックビュー…

 【静岡】大相撲九州場所で熱海市出身の前頭8枚目、熱海富士(21)が初優勝をかけて千秋楽に臨んだが、賜杯(しはい)には届かなかった。優勝すれば県出身力士として初となるため、地元熱海市や母校の飛龍高校(沼津市)では秋場所に続きパブリックビューイング(PV)が開かれ、声援を送った。

 熱海市のPV会場では秋場所を上回る約120人が集まった。熱海富士は前日、2敗同士の直接対決で大関霧島に敗れて3敗を喫した。千秋楽で霧島が敗れ決定戦に持ち込めば初優勝に手が届くとあって期待が高まったが、関脇琴ノ若に引き落としで敗れると、参加者から大きなため息が漏れた。

 後援会副会長の渡辺修一さん(65)は「最後は若さが出た。ただ2場所連続で優勝を争える力士になったのは素晴らしい」と健闘をたたえた。

 後援会員は600人弱と秋場所の1・5倍になった。千葉県白井市に住む祖母みさ子さん(73)は熱海を訪れ、PV会場に足を運んだ。「こんなに応援を頂いてびっくりです。熱海の皆さんに感謝しかない。ご苦労さまとしか言えないです」と話した。(田中美保)

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 熱海富士の母校飛龍高校では、後輩の相撲部員や生徒ら約60人が逆転の初優勝を信じて、視聴覚教室の大スクリーンで観戦した。

 九州場所は相撲部OBが大いに沸かせた。翠富士(焼津市出身)は幕内最小兵ながら正攻法の取り組みで9勝6敗と健闘し、熱海富士の付け人を務める19歳の幕下・聖富士(同)は7戦全勝で優勝した。熱海富士は秋場所で初賜杯(しはい)をあと一歩で逃しただけに、同校関係者は「今場所こそ」との思いが強かった。

 相撲部顧問の井伊あおいさん(57)は「来場所は番付が上がりさらに厳しい道のりになるが、三度目の正直で優勝してほしい」。

 相撲部は全国屈指の強豪校で、3年の白坂湧人さん(18)、鈴木塁智さん(18)、松本莉音さん(18)が角界入りする。鈴木さんは「自分も先輩たちに一日も早く追いついて、優勝争いできるような力士になりたい」と誓った。(南島信也)