国連総会(193カ国)は21日、2024年夏に開催されるパリ・オリンピック(五輪)・パラリンピックに合わせて休戦を求める「五輪休戦(Olympic Truce)」決議を賛成多数で採択した。ロシアの要請により無投票でのコンセンサス(議場の総…

 国連総会(193カ国)は21日、2024年夏に開催されるパリ・オリンピック(五輪)・パラリンピックに合わせて休戦を求める「五輪休戦(Olympic Truce)」決議を賛成多数で採択した。ロシアの要請により無投票でのコンセンサス(議場の総意)ではなく、初めて投票が行われた。国際オリンピック委員会(IOC)への批判が飛び交うなど、政治的な「劇場」と化した。

 開催国のフランスが提出し、日本やイスラエルなど80以上の加盟国が共同提案国になった決議は、118カ国の賛成で採択された。反対する国はなく、ロシアとシリアは棄権、73カ国は無投票だった。決議はパリ大会に選手や関係者が安全に参加できるよう、五輪開幕の7日前からパラリンピック閉幕7日後までの約2カ月の休戦を各加盟国に求めている。

 IOCのトーマス・バッハ会長は演説で決議の重みを強調した。「この脆弱(ぜいじゃく)な世界において、五輪休戦決議は今まで以上の意味をもつ。たとえ戦争や危機でも我々は団結できる、手を取り合い、より良い未来に向けて協力できる。決議はこの困難な時期に世界に明確なシグナルを送る機会になる」と語った。会合後には「圧倒的な支援を歓迎し、感謝している」と述べた。

 しかし、「平和の祭典」に関する会合で目立ったのは政治的な対立だった。五輪休戦決議は、近代五輪ではリレハンメル冬季五輪(1994年、ノルウェー)に向けた93年に初めて採択され、以降30年ほど、15回連続で投票がないまま採択されてきた。