<大相撲十一月場所>◇三日目◇14日◇福岡・福岡国際センター  若い行司にとって、物言いによる協議ほど、ハラハラする瞬間もないだろう。序二段六十二枚目・鶴ノ海(錣山)と序二段六十四枚目・肥州山(境川)の一番は、土俵際で両者が同時に倒れ込んだ…

<大相撲十一月場所>◇三日目◇14日◇福岡・福岡国際センター

 若い行司にとって、物言いによる協議ほど、ハラハラする瞬間もないだろう。序二段六十二枚目・鶴ノ海(錣山)と序二段六十四枚目・肥州山(境川)の一番は、土俵際で両者が同時に倒れ込んだ際どい勝負に。親方による審判団から物言いがつくと、協議が4分超にも及ぶものになり、21歳の若手行司がきょろきょろと親方衆を見渡すシーンが誕生した。

【映像】4分間の長い協議に若手行司の視線がきょろきょろ

 接戦となった一番を裁いたのは、錣山部屋の21歳・木村俊太。立ち合いから有利に進める肥州山が土俵際まで迫ったところ、なんとか組み止めた鶴ノ海が粘りこんで逆転のうっちゃりを狙った。どちらが先に倒れるかという激戦になったが、そのまま譲らず両者同時に土俵へドスン。館内のファンからも「おー」とその迫力にため息が漏れた。

 木村俊太は、少し悩んだ様子だったものの、軍配をスッと肥州山に上げたが、ここで審判を務める親方衆から手が挙がり、物言いに。1人、また1人と土俵に上がる元名力士たちに、小柄な木村俊太が囲まれる様子が、中継カメラにも映り込んだ。

 ただ、ここからが長かった。時折、笑みを見せながら協議する親方衆だが、木村俊太は自分が挙げた軍配が正しかったのか、ハラハラな状態。しかもビデオの判定でも際どい勝負だったため、協議は4分を超える長いものになった。目をきょろきょろさせて、親方衆の顔色をうかがうことになった木村俊太だが、協議の結果は同体取り直しに。行司としてはどうしても避けたい差し違えとはならず、本人にとってもホッと一息といった瞬間だった。
(ABEMA/大相撲チャンネルより)