今年のマイルチャンピオンシップ(3歳上・GI・芝1600m)の最大の注目は、セリフォス(牡4、栗東・中内田充正厩舎)の連覇なるかということだろう。昨年はD.レーン騎手を背に大外一気の差し切り。この一戦が評価されて、JRA賞の最優秀短距離…

 今年のマイルチャンピオンシップ(3歳上・GI・芝1600m)の最大の注目は、セリフォス(牡4、栗東・中内田充正厩舎)の連覇なるかということだろう。昨年はD.レーン騎手を背に大外一気の差し切り。この一戦が評価されて、JRA賞の最優秀短距離馬に選ばれた。その後はドバイターフが5着、安田記念が2着と勝ち切れていないが、ここで史上7頭目の連覇となるか。過去に連覇を果たした6頭を振り返りつつ、その可能性を探りたい。

 間違いなく言えるのは、マイルCSは連覇が多いレースということ。レースが創設された84年、続く85年とニホンピロウイナーがともに1番人気で快勝。その後も91〜92年のダイタクヘリオス、97〜98年のタイキシャトル、03〜04年のデュランダル、06〜07年のダイワメジャー、20〜21年のグランアレグリアまで、いずれ劣らぬ名馬6頭が連覇を成し遂げている。

 この6頭の共通項を探ると、大きく2つのポイントに行きつく。一つ目はローテーション。海外からの帰国初戦だったタイキシャトルを除く5頭が、10月以降に少なくとも1回はレースを使っていた。タイキシャトルにしても前走は8月16日のジャックルマロワ賞だから、レース間隔は約3カ月。海外遠征明けにしては、極端な休み明けではなかった。

 もう一つは、年が明けて以降の成績である。ニホンピロウイナー、タイキシャトル、ダイワメジャー、グランアレグリアは同年にGIを制覇。残る2頭もダイタクヘリオスはGIIを2勝、デュランダルはGIを2戦してともに2着と、素晴らしい成績を残していた。逆にGIの2着が1回あったのみの05年のデュランダルは1番人気で8着、同じくGIIの2着が最高着順だった14年のトーセンラーは2番人気で4着に終わっている。

 以上の2項目を踏まえると、連覇を成し遂げるには秋に1戦していること、そしてGI馬にふさわしい走りを続けていることが重要といえる。セリフォスは今回が秋初戦。それも前哨戦に予定していた富士Sを夏負けの影響で見送る誤算があってのものだから、大きな減点となる。安田記念でソングラインから1馬身1/4差の2着は胸を張れるが、どうしてもローテーションが気がかり。最終追い切り、そして当日のパドックまで、状態面のチェックがしっかりとしたい。