今年初開催のUCI(世界自転車競技連合)認定のステージレース「マイナビ ツール・ド・九州2023」は10月7日、大会2日目を迎え、第1ステージとなる福岡ステージが開催された。※小倉城クリテリウムのレポートはこちらここからの3ステージは、周回…

今年初開催のUCI(世界自転車競技連合)認定のステージレース「マイナビ ツール・ド・九州2023」は10月7日、大会2日目を迎え、第1ステージとなる福岡ステージが開催された。

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ここからの3ステージは、周回コースをめぐるものではなく、複数の市町村を通りながら、福岡県を広く縦断する本格的なライン(直線型)レースが設定されている。「自然災害被害からの復興」が本大会のテーマのひとつとして掲げられているが、福岡ステージは、豪雨災害の被災地をつなぎながら、世界遺産の街・大牟田に抜けて、フィニッシュする。競輪発祥の地・北九州市小倉をスタートし、アップダウンに富んだコースである。

福岡ステージのコースは、北九州メディアドームをスタート、新大牟田駅へと至る144km。コース内には3つの中間スプリントポイントと、3つの山岳ポイントが設定されている。小倉市街を越えると、アップダウンが連続し、特に90.9km地点に控える牛鳴峠は1級カテゴリーに設定された高難度の登坂となる。ここまでで、選手はある程度、絞り込まれていくだろう。終盤に待ち受けるオレンジロードの登りも、勾配が厳しく、道幅も狭まることから、ここが最後の砦になることが見込まれる。アップダウンを越え、ゴール勝負を制し、初代勝者になるのは、どの選手になるのか注目を集めた。





アップダウンが続くタフなプロフィールだ

この日のスタートは、北九州メディアドームの中に設定された。ドームの中というイレギュラーなスタートではあったが、多くの声援と拍手に送られ、ツール・ド・九州の第1ステージが始まった。



スタートラインに並ぶ選手たち



北九州メディアドームからスタート

リアルスタートが切られてすぐに、アタックの掛け合いが始まった。一気に活性化した集団は、そのまま19.7km地点、香春の中間スプリントポイントへ向かう。



多くの観客が沿道に集まり声援を送った

ここでは隊列を組み、集団をペースアップしたチームブリヂストンサイクリングが抜群のチームワークで、兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)を送り出し、兒島は見事に先頭通過し、ポイントを獲得した。
その後、いったん落ち着いたメイン集団から、地元福岡の横塚浩平(VC福岡)、モハマド・ヌル・アイマン・モフド・ザリフ(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリング・チーム)、寺田吉騎(シマノレーシング)、クレイグ・ウィギンズ(ARAスキップキャピタル)の4名が逃げ集団を形成し先頭を走る。



先行した4名が風情あるコースを走る



美しい棚田の脇を走り抜ける集団

4名はこのまま、この日最初の山岳ポイントを目指した。

長谷峠(2級)を前に、ウィギンズは脱落。3名の中でモフド・ザリフが先頭通過を果たした。



1名が脱落し、3名で走る先頭集団

このまま3名は協調して走り、メイン集団との差は、2分程度まで開いた。順調にペースを刻み、折り返しを越え、2度目の中間スプリントポイントに到達。ここでは、横塚が先頭通過している。

残り距離が50kmとなる頃、アスタナ・カザクスタン、EFエデュケーション・NIPPOディヴェロップメントチームが、集団の先頭を固め、ペースアップを図り始めた。



先頭3名を捕らえるべく、集団がペースアップ

集団はハイペースで、1級山岳の牛鳴峠に突入。吉岡、寺田を上りの途中で吸収し、モフド・ザリフは単独で山頂を通過したものの、下りで集団に吸収された。
この時点で、メイン集団はすでに30名弱にまで絞り込まれていた。

集団は、この日最後の中間スプリントポイントへ向かい、山本元喜(キナンレーシングチーム)が先頭で通過。このあとの隙をつき、ダン・ガードナー(ボルトンエクイティース・ブラックスポーク)とケイン・リチャード(ARAスキップキャピタル)の2名が飛び出し、先行した。



ダン・ガードナー(ボルトンエクイティース・ブラックスポーク)とケイン・リチャード(ARAスキップキャピタル)が飛び出しを図る



2名は協調し、逃げ切りを目指して走る

30秒ほどの差を稼ぎ出し、順調にも見えた2名だったが、逃すわけにはいかない集団は、決死の追い上げを見せ、この日最後の山岳ポイント、2級のオレンジロードの登坂で2名を吸収。



オレンジロードの登坂で前に出るJCLチーム右京

選手は、またもやひとつの集団へとまとまり、最後の下りを駆け下りた。ここからの飛び出しは考えにくく、勝負は集団に残る25名ほどの選手間でのスプリントで決められることになった。
この中にメンバーを残した有力チームがせめぎ合いを見せる中、先頭で現れたのは、前日のクリテリウムの勝者、兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)だった。

兒島はそのまま、衰えることないスピードでロングスプリントを決め、フィニッシュラインに飛び込み、見事、連勝を決めた。この日のコース内には、兒島の出身地であるみやま市が含まれており、故郷に錦を飾る活躍となった。



圧倒的なスプリントで連勝を決めた兒島



個人総合時間賞のリーダージャージを獲得

兒島は、個人総合でも首位となり、今大会最初の個人総合時間賞リーダージャージを獲得。さらに、ポイント賞でも首位となり、ポイント賞ジャージも獲得している。山岳賞はモフド・ザリフが、新人賞はウィリアム・イーブス(ARAスキップキャピタル)が首位となった。

兒島は「レース終盤には、観客の皆さんの応援が力になりました。この4日間で一番、地元であるこのステージを狙っていました。明日、明後日とチーム一丸となって頑張ります」と喜びを語った。

翌日は、第2ステージとなる熊本阿蘇ステージ。どのような展開が待っているだろうか。

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【結果】マイナビ ツール・ド・九州2023 第1ステージ・福岡(145km)
1位/兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)3時間18分48秒
2位/ジャンバルジャムツ・セインベヤール(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム、モンゴル)+0秒
3位/ユーセフ・レグイグイ(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム、アルジェリア)
4位/レオネル・キンテロ・アルテアガ(ヴィクトワール広島)
5位/ジェームス・オーラム(ボルトンエクイティース・ブラックスポーク、ニュージーランド)

【個人総合順位】
1位/兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)3時間18分35秒
2位/ジャンバルジャムツ・セインベヤール(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム、モンゴル)+7秒
3位/ユーセフ・レグイグイ(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム、アルジェリア)+9秒
4位/フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)+11秒
5位/ウィリアム・イーブス(ARAスキップ・キャピタル、オーストラリア)+12秒

【ポイント賞】
1位/兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)28p

【山岳賞】
1位/モハマド・ヌル・アイマン・モフド・ザリフ(トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム、マレーシア)17p

【新人賞】
ウィリアム・イーブス(ARAスキップ・キャピタル、オーストラリア)

【チーム総合順位】
1位/ボルトンエクイティース・ブラックスポーク 9時間56分24秒

※( )内の国名は海外チーム在籍選手の国籍

画像提供:ツール・ド・九州2023実行委員会

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【ツール・ド・九州2023開催レポート】
小倉城クリテリウム